貴乃花光司

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貴乃花 光司(たかのはな こうじ、昭和47年(1972年8月12日 - )は、東京都杉並区出身[注 1]の元大相撲力士、タレント、実業家。本名、花田 光司(はなだ こうじ)。

概要[編集]

現在はタレントとしてTV出演の傍ら、一般社団法人貴乃花道場を主宰している。

大相撲現役時代は、相撲部屋藤島部屋に所属し、兄の3代目若乃花(花田虎上)と兄弟横綱となって空前の相撲ブームを起こした。引退後は一代年寄・貴乃花で二子山部屋の部屋付きを経て、貴乃花部屋の師匠。日本相撲協会退職前は、理事として審判部長や総合企画部長、巡業部長などを歴任した。第65代横綱。愛称は「コウジ」。

家族[編集]

父は元大関貴ノ花利彰次男。母は藤田紀子。兄は花田虎上。元妻は河野景子で、1男2女の父親。長男花田優一[注 2]、次女はタレントの白河れい初代若乃花は伯父(父の兄)。二代目若乃花はかつて義理のいとこ(伯父の娘婿)、大豪久照は義理の伯父(伯母の夫)だった。

生涯[編集]

東京都杉並区で出生し、先代貴ノ花独立後に中野区に転居。小学校4年生で当該学年のわんぱく横綱を獲得。明大中野中学校では武井美男の師事の下、相撲部で活躍。中学期は同学年の加藤耕市が好敵手だった。
中卒見込時に、父が師匠を務める藤島部屋(のちの二子山部屋)に入門し、千代の富士全盛期の1988年春場所で初土俵を踏む。同期には高卒で先に横綱になる曙太郎、実兄で後の横綱若乃花勝、後の大関魁皇博之と錚々たるメンバーがそろっていた。

1989年九州場所に新十両、1990年夏場所に新入幕、大関旭富士が優勝したが貴花田は負け越した。その後、旭富士が活躍する中で番付を伸ばしていき、1991年名古屋場所で新三役。初日に千代の富士を破り、千代の富士の引退につながった話が有名だが、旭富士の最後の勝ち越し場所でもあり、世代交代が急速に進む頃であった。この後短いながらも、小錦・霧島の両大関の時代となる。1992年初場所で史上最年少の19歳5ヶ月で幕内優勝を果たした。

その後小錦・霧島に代わり曙が台頭し、1993年春場所で新大関、同時に曙は横綱に昇進し、曙貴時代が幕を開けた。曙はその後休場が多くなる一方で貴乃花は好成績を続け、1995年初場所で新横綱。1996年頃が最盛期で毎場所13~14勝前後と好調で、武蔵丸は横綱になるのに長期間を要し、貴ノ浪は横綱になれなかった。現役中に、史上6位の優勝22回を果たした。

2003年初場所中に引退して一代年寄「貴乃花」を襲名する。平成16年(2004年2月に二子山部屋を継承し、部屋名を変更する。平成22年(2010年)2月に日本相撲協会理事に初当選。この立候補に伴い阿武松部屋大嶽部屋間垣部屋所属の親方衆とともに二所ノ関一門から離脱し「貴乃花グループ」を立ち上げた。日本相撲協会では、理事として相撲教習所所長、審判部長、地方場所部長(大阪)、総合企画部長、巡業部長を歴任。他にスポーツニッポン評論家(大相撲担当)も務めた。

平成29年(2017年10月末に弟子の貴ノ岩義司の暴行事件が起こり、それを協会に事前に報告しなかったとして問題となり、12月28日に臨時理事会で理事解任決議が出され、年明けの平成30年(2018年1月4日に臨時評議会で理事解任の決定をへて役員待遇委員へ降格。2月2日、理事候補選挙に立候補するも落選し、役員待遇委員から委員への降格となり理事会メンバーからも外れることが決定された。3月場所直前の3月9日には内閣府の公益認定等委員会に告発状を提出し協会との対決姿勢をあらわにするも、中日(3月18日)に弟子の貴公俊剛による暴行事件が発生。途端に態度を軟化させ、後日内閣府の公益認定等委員会に提出した告発状取り下げを表明した。場所後に開かれた3月28日の年寄総会では貴乃花に対する非難が集中し、一部の親方から契約解除を求める声が挙がったものの見送られている。翌日開かれた理事会において審判部への配属とともに、貴公俊の暴行事件の監督責任により平年寄への降格が決定した。6月になると貴乃花一門の解散を宣言し、一門から離脱することを明らかにした。8月21日には夏巡業中の秋田市で稽古中に倒れ、病院に搬送されている。

9月25日、代理人により協会に引退届および所属力士・床山・世話人の転籍願いが提出された。同日午後記者会見を開き引退理由として協会から内閣府の公益認定等委員会に提出した告発状の内容に関して事実ではないことを認めるよう話があったものの、告発状の内容は事実でありそれを否定することは出来ないということ。また、7月場所後の理事会で各部屋は5つある一門(出羽海、二所ノ関、時津風高砂伊勢ヶ濱)に所属することが決定し、所属しない親方は解雇もあり得るという話を9月場所後半に耳にしたが、前述の告発状の一件からどの一門にも所属できないであろうという結論に至ったことであるという。協会は貴乃花に対して、告発状の内容に関して事実ではないことを認めるよう話をした事実は無いとしたうえで、退職に必要なのは退職届であり引退届ではないとして提出された引退届を受理していない。その後の10月1日に開かれた臨時理事会において、貴乃花部屋に所属する力士・床山・世話人の千賀ノ浦部屋への移籍と自身の退職が承認された[1][2]

相撲協会退職後、かつての弟子であった貴景勝が大関に昇進した。

主な成績[編集]

通算成績[編集]

  • 通算成績:794勝262敗201休 勝率.752
  • 幕内成績:701勝217敗201休 勝率.764
  • 横綱成績:429勝99敗201休 勝率.813
  • 大関成績:137勝28敗 勝率.830
  • 年間最多勝:5回
    • 1992年(60勝30敗)、1994年(80勝10敗)、1995年(80勝10敗)、1996年(70勝5敗15休)、1997年(78勝12敗)
  • 連続6場所勝利:83勝(1994年9月場所~1995年7月場所、1994年11月場所~1995年9月場所)
  • 連続勝ち越し:17場所(1994年1月場所~1996年9月場所)
  • 連続2桁勝利:17場所(歴代6位、1994年1月場所~1996年9月場所)
  • 連続12勝以上勝利:13場所(歴代3位、1994年9月場所~1996年9月場所)
  • 連続勝利:30連勝(1994年9月場所初日から1994年11月場所千秋楽)

各段在位場所数[編集]

  • 現役在位:90場所
  • 幕内在位:75場所
    • 横綱在位:49場所(歴代5位)
    • 大関在位:11場所
    • 三役在位:7場所(関脇4場所、小結3場所)
    • 平幕在位:8場所
  • 十両在位:5場所
  • 幕下在位:3場所
  • 三段目在位:3場所
  • 序二段在位:2場所
  • 序ノ口在位:1場所
  • 番付外:1場所

各段優勝[編集]

  • 幕内最高優勝:22回(歴代6位、1992年1月場所、1992年9月場所、1993年5月場所、1994年1月場所、1994年5月場所、1994年9月場所、1994年11月場所、1995年1月場所、1995年5月場所、1995年7月場所、1995年9月場所、1996年3月場所、1996年5月場所、1996年7月場所、1996年9月場所、1997年3月場所、1997年7月場所、1997年9月場所、1998年7月場所、1998年9月場所、2001年1月場所、2001年5月場所)
    • 場所別優勝回数(東京場所:15回、地方場所:7回)
      • 1月場所(東京):4回
      • 3月場所(大阪):2回
      • 5月場所(東京):5回
      • 7月場所(名古屋):4回
      • 9月場所(東京):6回(5連覇(1994年~1998年)、3年連続全勝(1994年~1996年)、48連勝(1993年9月場所千秋楽~1997年9月場所2日目)は歴代1位)
      • 11月場所(九州):1回
    • 全勝優勝:4回(歴代6位、1994年9月場所、1994年11月場所、1995年9月場所、1996年9月場所)
    • 連続優勝:4場所連続(1996年3月場所から1996年9月場所)
    • 優勝決定戦を経ての優勝5回(出場10回は歴代1位)
    • 大関以下での優勝7回(明治以降では歴代1位)
    • 相星決戦を制しての優勝4回(大鵬、北の湖、千代の富士と並び歴代1位タイ)
  • 幕下優勝:2回(1989年5月場所、1989年9月場所)

三賞・金星[編集]

  • 三賞:9回
    • 殊勲賞:4回(1991年5月場所、1991年7月場所、1992年1月場所、1992年9月場所)
    • 敢闘賞:2回(1991年3月場所、1992年1月場所)
    • 技能賞:3回(1991年3月場所、1991年7月場所、1992年1月場所)
  • 金星:1個

最年少記録[編集]

  • 幕下優勝:16歳9か月(1989年5月場所)
  • 十両昇進:17歳2か月(1989年11月場所)
  • 幕内昇進:17歳8か月(1990年5月場所)
  • 幕内勝ち越し:18歳3か月(1990年11月場所)
  • 中日勝ち越し:18歳7か月(1991年3月場所)
  • 横綱初挑戦:18歳7か月(1991年3月場所)
  • 三賞:18歳7か月(1991年3月場所)
  • 金星:18歳9か月(1991年5月場所)
  • 小結昇進:18歳10か月(1991年7月場所)
  • 関脇昇進:19歳0か月(1991年9月場所)
  • 幕内優勝:19歳5か月(1992年1月場所)
  • 年間最多勝:20歳3か月(1992年11月場所)
  • 千秋楽結びの一番:20歳5か月(1993年1月場所)
  • 大関昇進:20歳5か月(1993年3月場所)
  • 優勝決定戦:20歳11か月(1993年7月場所)
  • 全勝優勝:22歳1か月(1994年9月場所)
  • 連続全勝優勝:22歳3か月(1994年9月場所から1994年11月場所)

主な力士との幕内対戦成績[編集]

横綱曙・武蔵丸の他、大関武双山・魁皇、関脇琴錦・琴の若らが同時代の主な好敵手。

力士名 勝数 負数 力士名 勝数 負数 力士名 勝数 負数
蒼樹山 9 2 21* 21** 朝青龍 2 0
朝乃翔 6 0 朝乃若 9 0 旭富士 1 2
旭豊 11 2 安美錦 0 1 大乃国 0 1
小城錦 12 2 小城ノ花 9 0 魁皇 27* 12
海鵬 1 0 巌雄 5 0 北勝鬨 14 0
霧島 9 5 旭鷲山 11 0 旭天鵬 2 2
旭道山 14 4 久島海 8 7 剣晃 16 2
琴稲妻 9 2 琴ヶ梅 2 1 琴錦 34 14
琴ノ若 34 5 琴富士 8 4 琴別府 8 1
琴光喜 4 0 琴龍 4 2 小錦 15 7
逆鉾 4 1 敷島 2 2 大至 5 0
太寿山 2 0 大翔鳳 11 2 大翔山 4 4
大善 9 0 隆乃若 6 0 高見盛 1 0
隆三杉 8 0 玉春日 18 4 玉乃島 1 0
千代大海 9 6 千代天山 2 0 千代の富士 1 0
出島 13 4 寺尾 22 6 闘牙 9 0
時津海 1 0 土佐ノ海 21 7 栃東 16 5
栃栄 2 0 栃乃洋 12 2 栃乃花 2 0
栃乃和歌 22 9 智ノ花 8 1 濱ノ嶋 9 1
追風海 3 0 肥後ノ海 15 1 北勝海 1 1
舞の海 10 1 三杉里 5 7 水戸泉 13 5
湊富士 9 2 雅山 11 0 武蔵丸 29**** 19
武双山 26 11 若の里 9 0 和歌乃山 6 0
霜鳥 1 0 巴富士 5 3 琴椿 3 2
鬼雷砲 4 0 巨砲 0 1 春日富士 5 2
陣岳 3 1 孝乃富士 0 2 起利錦 3 3
花ノ国 0 1 時津洋 3 0 若瀬川 2 1
板井 1 0

太字は2017年現在、現役力士

  • 他に優勝決定戦巴戦も含む)で、武蔵丸に4勝、魁皇に1勝、曙に1勝2敗。同部屋対決では、若乃花に1敗、貴ノ浪に2敗がある。
  • 曙、武蔵丸を除いた横綱戦では、平幕時代に唯一の金星を獲得した千代の富士のほか、小結時代に旭富士と北勝海から各1回ずつ勝利している。大乃国とは1度対戦しているが勝てなかった。朝青龍明徳には2戦2勝の負けなしで引退している(2001年5月場所と2002年9月場所の2回対戦)。現役時代を通して苦手力士は少なく、貴乃花が幕内で5回以上対戦して負け越しているのは、1993年3月の部屋合併により同部屋となって対戦が組まれなくなった三杉里公似(貴乃花の5勝7敗)のみである。
  • 平幕優勝が発生した場所において、当場所の優勝力士から3勝(1991年7月場所14日目の琴富士戦・1991年9月場所2日目の琴錦戦・1992年7月場所8日目の水戸泉戦)を挙げている。これは平幕優勝力士から当場所中に挙げた白星の数としては最多とされる。

家系図[編集]

┌○─○┬ 武ノ里
│   └ 吉崎
│               ┌ 若剛志
│        ┌ 若乃花Ⅰ―┤
│        │      └(女)
│     (男)   ├ 若緑     ‖(離婚)
│      ‖ ─┤       若乃花Ⅱ
└○─○┬ (女)   ├─(女)
    │     │  ‖
    │     │  大豪
    │     │      ┌ 若乃花Ⅲ
    │     └ 貴ノ花――┤
    └ (女)          └ 貴乃花
      ‖            ‖ ――花田優一
     峯ノ越         河野景子

著作[編集]

書籍[編集]

『小さなバッタのおとこのこ』(世界文化社、2003年)
イラストレーターそやなおきとの共著による絵本、付属CDには貴乃花とその家族が総出演している
ISBN 978-4-418-03511-3
『貴流 心氣体』(扶桑社、2009年)
ISBN 978-4-594-05904-0
『シコアサイズ: 貴流運動法』(幻冬舎、2010年)※考案・監修、DVDとのセット
ISBN 978-4-344-01882-2
『一生懸命 相撲が教えてくれたこと』(ポプラ社、2012年)
ISBN 978-4-591-13165-7
『生きざま 私と相撲、激闘四十年のすべて』(ポプラ社、2012年)
ISBN 978-4-591-13178-7

DVD・VHS[編集]

出演[編集]

CM[編集]

広告[編集]

  • はごろもフーズ「シーチキンのまぐろから搾ったDHA+EPA」(2017年 ※夫婦共演)[5]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. 現役時は部屋所在地の中野区を出身地としていた。
  2. 元妻の父は八角部屋所属の陣幕親方(元前頭筆頭・富士乃真司)である。

出典[編集]

外部リンク[編集]