甲府城

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甲府城(こうふじょう)とは、かつて山梨県甲府市丸の内にあったである。現在は舞鶴公園として公開されている。別名に舞鶴城(ぶかくじょう)とも称された。

概要[編集]

天正10年(1582年)3月の武田征伐により甲斐武田氏が滅亡し、3か月後の6月に発生した本能寺の変により織田信長が死去して甲斐天正壬午の乱を経て徳川家康の支配下に入り、家康は甲斐の経営にあたって新しい城の築城を計画し、奉行には甲斐の郡代に任命されていた重臣の平岩親吉が担当した。築城の場所に選んだのは甲斐源氏の一族で源頼朝に誅殺された一条忠頼の居館があった所である。しかし家康が小田原征伐後、豊臣秀吉の命令で関東移封されるまでにこの城は完成できず、その後に甲斐に入国した豊臣秀勝(秀吉の甥)や加藤光泰の時代もいずれも短期間で完成することは無かった。この城がほぼ完成したのは文禄2年(1593年)から国主になった浅野長政幸長父子の時である。

慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いにおいて、浅野長政・幸長らはいずれも東軍に属して戦功を立てたため、戦後に幸長は紀伊和歌山藩に加増移封され、甲斐は再び徳川氏の支配下に入った。江戸幕府を開いた家康は、甲斐が武田家の領国であったこと、この国が武蔵江戸城の外郭を成す防衛線に当たることから以前よりさらに重視するようになり、息子の徳川義直を藩主に配し、平岩親吉に後見させる体制をとった。慶長12年(1607年)に義直・親吉らは尾張尾張藩)に加増移封されたため、一時的に天領とされて幕府直轄地となる。元和2年(1616年)からは第2代将軍徳川秀忠の子で第3代将軍・徳川家光の同母弟である徳川忠長が城主となった。しかし後に忠長は家光に疎まれ、秀忠没後に家光の命令で自害させられている。

慶安3年(1650年)からは家光の息子で、第4代将軍・徳川家綱の弟にあたる徳川綱重が城主となる。綱重は子の無かった兄・家綱の後継者として期待されたが早世し、新たな城主には嫡子の綱豊が就任した。家綱亡き後、第5代将軍になった徳川綱吉も子に恵まれず、宝永元年(1704年)になって甥にあたる綱豊を養子に迎えた。この綱豊は綱吉没後に第6代将軍となる徳川家宣である。このように、甲府城と甲斐は特に幕府から重要視され、徳川氏一門でも徳川将軍家の近親者がなることが通例化していた。ただし、義直・忠長・綱豊らはいずれも江戸に在府して実際に在城することはなかったとされる。このため、甲府城に天守閣などは存在せず、また城下町もほとんど整備されなかった。

綱豊が将軍家世子になった後、甲府城主になったのは綱吉に寵愛されて厚い信任を受けた柳沢吉保である。吉保は甲府城の城郭を修築し、城下町の整備を大々的に行なって現在の甲府市街の原型を作り上げた。このため、甲府市の基礎と発展はこの吉保によるところが大きいとされている。吉保は綱吉が亡くなると隠居し、子の柳沢吉里が後継者となる。この吉里は一説に綱吉の落胤とまでいわれるほど綱吉から可愛がられた。しかし享保9年(1724年)に吉里は大和郡山藩に移封される。

以後、甲府には城主が置かれることは無く、天領として支配されることになり、明治時代まで甲府勤番が在城することになった。この甲府勤番は幕府内で政争に敗れた幕臣が左遷されるいわゆる「山流し」のポストだった。

明治新政府は甲府城の内城のみを保存し、他は市街地とする政策を採用した。このため明治37年(1904年)に山梨県が内城を借地し、本丸・二の丸跡およそ6万平方メートルを公園として公開した。公園は甲府城の別名である舞鶴城から舞鶴公園と名付けられ、園内には水晶を形どった謝恩塔・恩賜記念館・武徳殿・青少年科学センターなどがある。

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