JR東日本E217系電車
E217系電車(イー217けいでんしゃ)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が1994年から1999年にかけて製造した、直流近郊形電車である。
概要[編集]
登場の経緯[編集]
横須賀・総武快速線では国鉄時代より113系が使用されていたが、3ドアボックスシートであるため混雑がひどく永年の酷使の影響で老朽化が著しく進んでいた。そんな113系取り替え用として登場したのがE217系である。当時京浜東北線での投入が進んでいた209系をベースにし、近郊型車両としては初めてとなる4ドアの採用で当時の鉄道界隈に激震を与えた。座席は大半がロングシートになったが一部に直角ボックスシートを残し、基本の4・5号車には2階建てグリーン車も組み込むなど中距離電車の面影も残している。制御装置も209系と同じ三菱製GTO素子のVVVFインバーターを使用しているが、歯車比の関係で磁界音が若干異なる。登場当時は113系との共通運用化の構想もあったようで、実際に113系との併結試験も行われたらしいが結局実現することはなかった。
1994年から基本の11両編成51本、付属の4両編成46本が製造され、順次113系を置き換えていった。1999年のダイヤ改正ではE217系の投入が完了し、最高速度引き上げの100kmから120kmへの引き上げによって所要時間の短縮に成功した。現在は横須賀・総武線全線のほか内房線君津駅、外房線上総一ノ宮駅、まで運用されている。かつては館山駅、大原駅まで直通していたがすでに運用そのものが廃止済みであり、総武本線成東駅、鹿島線鹿島神宮駅への乗り入れも既にE235系の定期運用となっているためダイヤ乱れ時を除いて終了している。
東海道線への転属[編集]
2001年の湘南新宿ライン開業の際は新宿駅までの乗り入れを開始したが、2004年改正で同線がE231系に統一されたため撤退した。また、この改正で横須賀線の普通列車の一部が湘南新宿ラインに置き換えられたことで余剰となったY-1・2・3・101・102・103編成が国府津車両センターに転属しF-1・2・3・51・52・53編成に改番した。これらの転属により2006年3月のJR東日本ダイヤ改正で東海道線東京口の113系を全て置き換えることに成功した。しかし、上野東京ライン開業までにE233系へ置き換えられる形で全編成が鎌倉へ戻ることとなった。
機器更新[編集]
2008年から2012年にかけて信頼性向上のために機器更新を行い、VVVFインバーターが2レベルIGBT素子のものに交換され磁界音が変化した。また、帯色も暖かい色に変更されたが、連結ほろの部分だけは旧塗装のまま放置されている。なお、一部行先表示機が幕式の編成も存在したが、この工事で3色LEDに変更されている。全面の「E217」のステッカーも剥がされた。また、この更新工事のために国府津に転属していたY-1・101編成(F-1・51編成)が鎌倉に再転属し、この代替としてE233系3000番台が製造されている。
製造時期による区分[編集]
- 1次車(量産先行車)
- Y-1・Y-2・Y-101・Y-102編成
- 1994年ダイヤ改正での増発用として運転開始。後述の2次車以降とはドアコックや荷物棚の高さ、クロスシートの構造が異なっている。また、前面のステップは当初分割型であったが、Y-2・Y-102編成のみ量産化改造を受け非分割型へ改められている。
- 2~3次車
- Y-3~Y-21・Y-103~Y-121編成
- 1995年から1996年にかけて製造され、113系を順次置き換えた。量産先行車から仕様を一部変更している。
- 4~6次車
- Y-22~Y-37・Y-122~Y-137編成
- 1997年~1998年製。基本編成1号車のトイレが車椅子対応になった。
- 7~8次車
- Y-38~Y-51・Y-138~Y-146編成
- 1998~1999年製。前面貫通扉のダミー化、側面行先表示の3色LED化、窓構造変更などのマイナーチェンジが行われた。
引退へ[編集]
長年活躍してきたE217系であったが、海沿いを走っていたことによる塩害、走ルンです特有のプレハブ構造による劣化が著しいため置き換えが急務とされた。このため山手線で有名なE235系の1000番台(スカレンジ)の投入が開始された。2021年1月にはクラY-44編成が長野総合車両センターに配給輸送され、同形式初の廃車となった。2021年夏~2022年春ごろはE131系製造のために一時的に置き換えが中止されたが、その後再開している。
現在も淘汰が進行中であり、2023年8月のY-36編成を皮切りに指定保全期の車両にも波及した。今のところトップナンバー・クハE217-1を含め廃車車両は全て解体、保存車や譲渡車は出ていない。
2023年4月ごろにジャカルタの鉄道が輸入を検討していると報道されたが、国産品の導入を進めるインドネシア政府の意向で却下されたようである。これはネトウヨや地元住民の激怒を買っている[注 1]。
一方で伊豆急行への譲渡候補ともなり得るが、台車の劣化および209系との歯車比の相違により共用は難しいものと判断でき、後期車の基本編成を7連化して伊豆急行に飛ばすくらいが限度と思われる。
車両番号[編集]
1号車が西方向、11号車が東方向。
- クハE216
- 1001-1025:4両編成のうち増1号車。Y101 - 121, 143 - 146編成に適用。
- 2001-2021:4両編成のうち増1号車。Y122 - 142編成に適用。
- 2022-2072:11両編成のうち1号車。車両番号の下2桁と編成番号は一致していない。
- クハE217
- 1-51:11両編成のうち11号車
- 2001-2046:4両編成のうち増4号車
- サハE217
- 1-51:11両編成のうち10号車
- 2001-2102:11両編成のうち6,7号車
- サロE216
- 1-51:11両編成のうち5号車
- サロE217
- 1-51:11両編成のうち4号車
- モハE216
- 1001-1051:11両編成のうち8号車
- 2001-2092:11両編成のうち2号車、および4両編成のうち増2号車
- 2093-2097:11両編成のうち2号車
- モハE217
- 1-51:11両編成のうち9号車
- 2001-2092:11両編成のうち3号車、および4両編成のうち増3号車
- 2093-2097:11両編成のうち3号車
注[編集]
- ↑ 地元住民からは、新車投入となるため確実に値上げがなされることに不満の声が上がっている。
近い世代の車両[編集]
- JR西日本223系電車 - JR西日本車
- JR東日本209系電車 - 通勤用
- JR東日本255系電車 - 特急用
- JR東日本E501系電車 - 交直流用
関連項目[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |