JR東日本E257系電車
2002年ブルーリボン賞受賞車両 |
波動用として新たなスタートを切った5000番台 (誓願寺踏切にて・OM-92編成) | |
製造所 | 日立製作所笠戸営業所 近畿車輛 東急車輛 |
運用者 | 東日本旅客鉄道 |
製造年 | 2001年 - 2005年 |
製造両数 | 249両 |
廃車年 | 2019年(0番台) |
最高運転速度 | 130Km/h |
設計最高速度 | 140Km/h |
電源方式 | 直流1500V |
保安装置 | ATS-P ATS-Ps ATS-S |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
制御方式 | VVVFインバータ制御(IGBT素子) |
歯車比 | 5.65(17:96) |
台車 | DT46B TR249D |
主な走行路線 | 中央本線 篠ノ井線 東海道線 総武線 |
主な運用 | 特急あずさ 特急かいじ 特急しおさい 特急踊り子 |
あだ名 | ニゴナナ |
リンク | 踊り子・湘南(2000番台)の紹介 - JR東日本 |
備考 | 0番台は全車改造により廃区分 |
E257系電車とは、JR東日本が設計・製造した特急型電車である。中央線・篠ノ井線・総武線などで活躍した後、東海道本線へ転属となった。
概要[編集]
中央線や房総半島の183・189系電車の置き換え用として登場。従来のJRの特急と異なり、屋根上に機器を載せない車両となった。床下に機器を全て積んで重心を下げたことにより、中央線の急カーブでも振り子構造で無い当形式が速度が出せるように工夫がなされている。
車体構造はE653系をベースにしており、軽量化もしている。また、中央線や大糸線を走行するため耐寒設備はかなり良いものを使っている。
2001年に営業を開始した本形式はまず中央線の特急「あずさ」や「かいじ」で使用されていた長野の183・189系電車を置き換えることとなった。置き換えは成功し、房総半島の183系も同様に置き換えられることとなった。
2019年、中央線と房総半島の一部で定期運用を終え、「踊り子」で使用されていた185系を置き換えるために改造。2022年には「あかぎ」などで使用されていたJR東日本651系電車を置き換えるために改造。
現在では房総半島の各特急、踊り子や湘南といった東海道線特急、あかぎや草津・四万といった高崎線特急や各地方の臨時特急の運用についている。
番台区分[編集]
0番台[編集]
9両編成と2両編成(付属編成)のタイプがあり、中央線、篠ノ井線の他青梅線などでも活躍した。2両編成はクモハが編成中にあり、E257系の中では唯一1M1Tの構造となっていた。なお、このクモハは一部の界隈からは「食パン」と呼ばれていた。
塗装は武田菱をイメージしたものとなっており、内装などもこの模様が多用されている。コンセプトは「ふるさとのぬくもり・めぐりゆくふるさとの四季」。となっていた。そのため、カラーリングにはりんごの花や八ヶ岳・南アルプスの山々をイメージしたカラーが使われている。なお、このカラーリングは多くの鉄道ファンから好まれていたが、現在では改造先の5000番台の車内を除き見ることができない。
また、グリーン車は半室グリーンとなり座席数も少なくなった。老朽化した特急あずさ・かいじ用に使われていた183系・189系の置き換え用として長野総合車両センターに投入された。
だが、E353系の投入で余剰となったため基本編成は後述の2000番台および5000番台への転用改造が行われた。
付属編成は富士急行への譲渡の噂が立っていたが結局譲渡はされず、2020年9月までにすべて廃車解体となった。
500番台[編集]
中央線で成功した置き換えを元に、房総半島の183系を置き換えるために出た区分であり、全車が5両編成、モノクラスである。幕張車両センターに投入され、NB-01編成からNB-19編成まである。だが、後述の転用で一部欠番がある。
塗装は、255系に続いて県花なのはなと房総の青い海をイメージした通称「房総色」と呼ばれる黄色と青の塗装で、この色は211系や209系にも採用された。
他方、登場後に房総特急の減便・廃止(特急あやめなど)・区間短縮が相次いだため一部編成が後述の2500・5500番台に転用された。2024年3月には、10両編成での定期運用が消失した[注 1]。
2022年から2023年にかけて、房総半島の特急「さざなみ・わかしお」運行50周年を記念して、マリNB-10編成が特別カラーで運行された。
2000番台[編集]
踊り子号に使用されていた185系を置き換えるためにE353系の投入によって余剰となった0番台を改造し、踊り子号に転用した車両である。改造時に荷物棚の設置、ライトのLED化や車内のシートの交換などが行われた。
NA-01編成からNA-13編成まであり、塗装は基本的にサフィール踊り子号に使用されるE261系に準じた塗装となっている。だが、この塗装のほうが若干明るく塗り分けも異なる。
グリーン車は0番台時代は半室だったグリーン車は全室グリーン車となり、新たな形式のサロE257形が誕生した。また、特急踊り子は14両編成で運行されるため、下記の2500番台との連結運用が定期で存在。初の貫通型先頭同士の連結となる。だが、貫通扉は乗務員専用となるため客は移動ができない。
現在では全編成が大宮総合車両センター所属となり、特急踊り子(伊豆急下田行)の他、特急湘南にも使用される。
2500番台[編集]
上記2000番台の5両編成バージョンで、500番台からの改造となる。改造は秋田などで行われ、2000番台と同等の改造が行われた。だが、ライトボックスの形が2000番台と異なる。
NC-31編成からNC-34編成までが所属し、全車大宮所属。単独運用は踊り子以外で存在せず、主に修善寺乗り入れ対応の付属編成に用いられる。なお、185系から当形式に置き換わったことにより、三島駅の有名な「欠けているホーム」が更に欠けることとなった。1両あたりの長さが185系電車よりも長く、ホームに干渉してしまうためと考えられる。
また、本番台は伊豆箱根鉄道駿豆線を走行する車両の中で初のVVVF車となった。さらに、2023年改正より間合い運用として高崎線の一部「あかぎ」「草津・四万」への充当も開始され、活躍範囲を広めている。
なお、2000番台と2500番台を通して中途半端な改造と言われることが多く、一部の客や鉄道ファンからは人気がない。
5000番台[編集]
0番台踊り子転用改造の際、3編成が余った。この3編成をリニューアルという形で改造した区分となる。改造は全車長野で行われた。
こちらも大宮所属となり、OM-91・92・93編成の3編成が所属する。9両編成であり、通称「笹塗装」と呼ばれる185系を引き継いだかのような塗装となっている。
主な改造点は
- 前照灯・尾灯のLED化
- 荷物棚の設置
- 機器更新
- 塗装の変更(リニューアル)
のみとなり、車内に関してはほぼ手が加えられていない。そのため、往年の武田菱塗装が見られることで一部からは人気がある。また、グリーン車は従来の「サロハ」(半室グリーン)となっている。
あずさやかいじの臨時便を主に、各地の臨時列車の運用をこなしている。なお、貫通扉は廃止となり、使えないようになっている。また、改造元車の関係上トップナンバーは存在しない。
5500番台[編集]
上記の5000番台と同様の改造が行われた。5両編成モノクラスとなり、豊田常駐編成も改造対象となっている。5編成が改造され、OM-51~OM-55編成となっている。改造は全車秋田で行われた。
特急富士回遊の他、房総半島各特急の増発便に使用されることもある。
貫通扉は廃止されず、連結した場合は通ることができると見られているがまだ連結した運用は存在していない。こちらも改造元車の関係上トップナンバーは存在しない。
2023年3月のJR東日本ダイヤ改正以降は上越線や吾妻線などを走行している特急草津・四万・あかぎにも進出し、老朽化した651系1000番台を置き換えた。
近い世代の車両[編集]
- JR西日本281系電車 - 西日本の特急用
- JR九州885系電車 - 九州の交直流特急用
- JR東日本E653系電車 - 交直流特急用
- JR東日本E231系電車 - 一般用
- JR東日本キハE120形気動車 - 一般用
脚注[編集]
- ↑ 6月末ごろまでは5両編成運用を代走する形で存続する予定。
関連項目[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |