JR中央本線 (辰野支線)
東日本旅客鉄道 辰野支線(中央本線)(岡谷 - 辰野 - 塩尻) | |
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多くの列車で使用されるE127系。 | |
基本情報 | |
通称 | 辰野支線/大八廻り |
国 | 日本 |
所在地 | 長野県 |
種類 | 普通鉄道(在来線) |
起点 | 岡谷駅 |
駅数 | 6駅 |
電報略号 | チウホセ |
所有者 | 東日本旅客鉄道 |
運営者 | 東日本旅客鉄道 |
使用車両 | 運行車両を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 27.7 km |
軌間 | 1,067 mm |
線路数 | 単線(詳細は路線データ参照) |
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 |
最大勾配 | 28 ‰ |
閉塞方式 | 自動閉塞式 |
保安装置 | 路線データ参照 |
最高速度 | 130 km/h |
辰野支線(たつのしせん)は、中央本線(中央東線)のうち岡谷駅 - 塩尻駅間を辰野駅経由で結ぶ支線区間の通称。
概要[編集]
かつて岡谷から塩尻方面は辰野や善知鳥(うとう)トンネルと遠回りをしていた。急曲線と急勾配があるため、岡谷から塩尻に直線を主体に最短距離で行けるように塩嶺トンネルを掘削し、そこに新線が開通して、辰野方面は旧線となった。
塩嶺トンネル開通により今まで30分かかっていた岡谷〜塩尻間が10分に短縮されて、諏訪地方は松本都市圏の従属化が進み、特急「あずさ」は全便が塩嶺トンネル経由となって特急が来なくなり、急行「アルプス・こまがね」は3年余り残ったものの国鉄分割民営化直前の1986年11月1日のダイヤ改正で特急に格上げされて廃止。夜行急行は国鉄分割民営化後も残ったが、2001年に消滅した。
現在、旧線のうち岡谷〜辰野間は飯田・伊那市へ向かう列車が大半を占め、それらの列車番号も下り偶数、上り奇数と本来とは逆転して、事実上、飯田線の一部となり、残りの辰野〜塩尻間は辰野線と呼ばれて基本シャトル運行となり、旧線はダイヤ上も辰野で分断された。
路線情報[編集]
岡谷駅から辰野駅までは天竜川、中央自動車道、長野県道14号下諏訪辰野線、塩尻駅までは国道153号、小野川と並行する。平坦な河川と並行することで鉄道も道路も長大トンネルを避けることが出来た。 塩尻→小野は最初の次駅だというのに10分もかかる。小野の次は信濃川島、信濃川島は小野と辰野の中間に位置し所要時間は各5分づつ。小野→辰野は10分かかる。
塩尻〜辰野間は殆ど辰野町が占め、塩尻市内には1駅もない。だが、塩尻市でもかつては塩尻と小野の間に東塩尻駅と称した幻の駅があった。塩嶺トンネルの新線開通と新線上のみどり湖駅開設に伴い廃止された。
先述通り辰野で分断されている旧線だが、辰野支線は2時間間隔で運行される。2013年から岡谷から辰野経由で大糸線へ直通する南小谷行が運行されている。2014年3月のダイヤ改正までは信濃大町から辰野と、その折り返しで長野行が運行されたが、塩嶺トンネル経由になり、行き先も上諏訪行に変更された。
運行車両[編集]
全便E127系が2両編成で運行。朝、回送ついでに松本から運行し最終は松本へ直通する。かつては、殆ど荷物車改造の123系単行で運行されていたが2013年3月ダイヤ改正で引退した。123系自体1編成しかないため、点検日は代用に115系2両編成(N50編成)が運行にあたっていた。また、飯田線に乗り入れる便があるため313系や213系、快速みすずとして使われている211系長野車も入線する。
ダイヤ[編集]
辰野を境に分かれているが、双方を直通する列車が朝晩に運行されている。
岡谷 - 辰野間[編集]
実質、飯田線の一部。1-2時間に1本の運行で、ほとんどの列車が飯田線に直通。朝に1本松本行(小野経由)が運行される。
辰野 - 塩尻間[編集]
概ね、2時間に1本運行している。深夜に1本岡谷行きが運行される。
駅一覧[編集]
- 標高の単位は m(メートル)
- 辰野駅から飯田線直通の「快速」・「みすず」含め全列車が全駅に停車する。
- 全駅長野県内に所在。
駅名 | 営業キロ | 標高 | 接続路線 | 所在地 | |||
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駅間 | 岡谷 から |
東京 から | |||||
岡谷駅 | - | 0.0 | 210.4 | 766.2 | 東日本旅客鉄道:■中央本線〈上諏訪方面〉 | ◇ | 岡谷市 |
川岸駅 | 3.5 | 3.5 | 213.9 | 757.4 | ◇ | ||
辰野駅 | 6.0 | 9.5 | 219.9 | 722.8 | 東海旅客鉄道:CD 飯田線 | ◇ | 上伊那郡 辰野町 |
信濃川島駅 | 4.3 | 13.8 | 224.2 | 769.9 | | | ||
小野駅 | 4.0 | 17.8 | 228.2 | 813.2 | ◇ | ||
塩尻駅 | 9.9 | 27.7 | 238.1 | 715.8 | 東日本旅客鉄道:■中央本線(みどり湖方面)・■篠ノ井線(一部直通運転) 東海旅客鉄道:CF 中央線(木曽福島方面) |
∧ | 塩尻市 |
駅紹介[編集]
- JR中央東・西線、JR篠ノ井線松本方面は乗換。辰野支線では唯一 塩尻市に所在する。ここから次駅は小野しかない。
- スイッチバック方式の信号場だった。仮乗降場としても運用していたが、山中の森中、行きにくいし、旧線の線路跨がねばならんしで、大変で利用しにくかったとされる。
- 辰野町小野に所在。辰野線で唯一行違が可能たが、使用頻度低い。塩尻から約10分。信州小野駅/信濃小野駅の愛称があるが、分割民営化前の国鉄小野駅は当駅だけ。
- 周りは9割田。ホームは横川川の上に差し架かる。由来は近辺にある横川・上島から1文字を合わせた合成だが、建設当時に国鉄では既存の川島駅と区別するため長野県の旧国名を付け信濃川島とした。塩嶺トンネルが開通するまで単線である辰野線が現役な中央線だった頃には特急も通過したため通過列車本数が多かったため行違設備があった。塩嶺トンネルが開通すると本数が年々減らされていき、ついに行違設備は廃止、上り線に当たる乗場が撤去されてしまい、中央線全体では唯一行違不可能な単ホームとなった。
- 伊那市・駒ヶ根方面と岡谷方面は乗換。伊那と諏訪小野郷への要所となっている。
- JR東日本とJR東海の境界駅となっている。
- かつては特急が停車するなど賑わったが塩嶺トンネルが開通し、特急が皆そちらを通るようになると寂れるようになった。
- 夜行急行「アルプス」廃止後は、岡谷まで乗り入れる伊那方面とを結ぶ列車と塩尻〜辰野シャトル列車の発着が殆どである。
- 伊那方面はJR東海所轄であるため、ご丁寧にも岡谷方面への列車はJR東海からJR東日本へと乗務員交代が行なわれ、飯田線の深夜の最終着と朝の初発は辰野発着である。岡谷行ならたかだか10分間なのに。
- 平出信号場
- 辰野〜川岸間にあった信号場。特急「あずさ」が塩嶺トンネル経由になったため用済みになり、1983年廃止。
- 211系や313系などが停車する少し大きい駅。飯田線に乗り入れる列車にとっては辰野を除くと唯一の辰野支線停車駅となる。
- 中央東線塩尻方面/甲府、新宿方面は乗り換え。
大八廻り[編集]
この区間は大八廻りと呼ばれる。かつて中央線を敷設する際、伊那地盤の伊藤大八という代議士が中央線を誘致したいために測量士を騙し、上伊那の入口の辰野を廻るようにしたという伝説があるも、当時の技術では塩嶺の峠を貫くことは針の穴に猪を通すくらい難しく大八の行動に誰も文句しか言わんかった。だって代議士だから。しかし、大八の行動に反して、無理に塩嶺を直進できたとしても後の肥薩線の矢岳越え並みにループ線、スイッチバックを抱える難所とされたであろう。
なお、この大八廻りの恩恵を最も受けたのは辰野ではなく、おそらく現塩尻駅付近の大門村である。大門村は江戸時代は桔梗ヶ原の小村で中山道も無視したが、大八廻りルートのため、鉄道は長らく旧塩尻宿付近(旧国道20号と国道153号が分岐するあたり)を通らず、代わって篠ノ井線の分岐点となった大門村が地域の拠点となったのである。
その他[編集]
路線通称について[編集]
辰野線は中央東線の塩尻-辰野に付与された地元でも親しまれたニックネームとなっている。だが、これをケチってはいけない。本来ならJR辰野線などの路線名にしてもいいくらいだ[注釈 1]。
路線名がそのようでなくても、現状が現地の実態や路線名と一致しないのであれば独自に路線名を付与するまで。実際、塩尻に接近するとき車内のアナウンスは辰野線と称する。すなわちJR東日本公認。また、小野も他の小野駅と区別するために、信濃小野か信州小野の通称が地元では親しまれるものだ。
付記[編集]
辰野支線が全線JR東海の路線なら、2014年7月に中央西線が南木曽町で寸断された水害のような非常時でも、飯田線が迂回路となり[注釈 2]、加えて対首都圏流動の多い旅客実態に合わせて、大八廻り(27.7km)とほぼ等距離の御殿場線松田〜国府津間(10.2km)と東海道本線三島〜熱海間(16.1km)をJR東日本に移管できるのに…
なお、中津川以西の315系投入で、中津川~塩尻間が事実上313系の孤立線区になったが、これも辰野支線が全線JR東海区間なら、飯田線の伊那松島を車両拠点にして、効率的に車両運用できるメリットがある。
脚注[編集]
- 注釈
JR東日本の鉄道路線 |
JR東日本の支線 |