単線
単線とは、1本の線路で構成される鉄路のことである。
概要[編集]
鉄道を敷設にあたり、最も基本的な形態。2本(稀に3本、4本)のレールで構成され、同時に列車1編成だけが通ることができる。
特徴[編集]
長所は、土地の占有幅が狭く、敷設・保守ともコストが少ないことである。同じ線路を反対方向の列車が同時に走行しない様に、列車の運行を制御できているのであれば、高速運行も可能であり、日本では最高時速130km/hで運行する区間もある。
短所は、同時に双方向の列車を運行させることができないことである。実際は、駅構内や線路上に行き違い用の設備を設けていて、双方向の列車を運行させるケースがほとんどだが、大幅な増発は難しい。多くの本数を運行させたり、速達列車の運転停車を減らす必要がある場合は複線にする。
また、占有幅が狭いことにより、単線の線路を廃線あるいはBRT転換した道路の多くは、行き違いのできない一車線道路である。そのため、並行する道路で渋滞が生じる場合を除き、スピードが出ないハンデを抱え、道路交通の主要幹線とならない。
白棚線が、バス専用道に転換された後に専用道の大部分が廃止されたのも、これが理由の一つである[注 1]。
行き違い[編集]
多くは、駅に複数の線路を敷き、駅で行き違いができる様にしている。対向列車を待つために長時間停車する列車も多い。一方、駅ではなく、途中に行き違い用の線路のみからなる信号所を設けるケースもある。行き違いの線路は、上り線と下り線に二又分岐・合流というスタイルが一般的であるが、勾配区間ではスイッチバックとし、本線から外れた行き止まりの線路で待避する場合もある(旧中在家信号所など)。
この様な信号所が駅に昇格するケースもあり、有名な秘境駅の中にはこの行き違い用の信号所をルーツとする駅も多い。一方、常設駅から信号場に格下げされるケースも少なくない。
単線の分布[編集]
日本国内のほとんどは単線である。主要幹線でも、単線は珍しくない。県庁所在地間を結ぶ路線で、単線の例を以下に示す。
- 長崎本線(浦上-喜々津、諫早-江北) ※西九州新幹線は複線
- 鹿児島本線(東市来-八代の大部分) ※九州新幹線は複線
- 豊肥本線
- 日豊本線(鹿児島-宮崎-大分、日出-杵築、中山香-立石)
- 予讃線(多度津以西)
- 土讃線
- 高徳線
- 山陰本線(幡生-松江-鳥取-園部のほとんど)
- 山口線
- 伯備線(伯耆大山-備中高梁間のほとんど)
- 智頭急行・因美線
- 高山本線
- 中央本線(十二兼-茅野間で部分的に)
- 篠ノ井線(松本-篠ノ井間の大部分)
- 信越本線(豊野-直江津間の大部分)
- 両毛線
- 水戸線
- 羽越本線(全線にわたり、単線複線が混在)
- 磐越西線
- 常磐線(四ツ倉-岩沼間の大部分)
- 奥羽本線(全線にわたり、単線複線が混在)
- 仙山線
- 田沢湖線
- 津軽線、江差線
- 函館本線(七飯-森間、八雲-国縫間の一部、長万部-小樽間)
- 室蘭本線(洞爺-岩見沢間の一部)
関連項目[編集]
脚注[編集]
- 注
- ↑ 他にも所有会社負担で管理維持する必要があるのも、専用道廃止の理由となる。