仮乗降場
仮乗降場(かりじょうこうじょう)とは、日本国有鉄道が開設していた乗降場である。
概要[編集]
簡単に言うと駅のようで完全な駅ではない。
当時の国鉄では、一般駅を設けるには国鉄本社の認可が必要でありかなり面倒であった。そのため、駅を設置する箇所はある程度住宅が密集していなければ需要がないので開設されなかった。
しかし、一般駅を開設するほどの需要ではないものの、ローカル線では周辺道路が整備されておらず陸の孤島となり、通学、通院に支障をきたすといったことは当時珍しいことではなく無視できない需要があった。こういった経緯からそのほとんどが人口密度が低い北海道に設置されていた。
臨時乗降場と似ているが、臨時乗降場は国鉄本社の認可を受けた上での設置という違いがあった。
仮乗降場は乗降するという点では一般駅と同じだが、大きな違いとがある。
一般駅が前述したとおり本社の認可が必要だった。それに対して仮乗降場は各鉄道管理局の判断だけで設置できる。そのためわずかな需要であっても設置が容易であった。設置数は管理局によってバラバラで、旭川鉄道管理局は圧倒的にその数が多かった。
また仮乗降場には営業キロは設定されておらず、運賃計算は乗る場合は手前の駅から、降りる場合は次の駅として運賃計算を行った[1]。
基本的に仮乗降場名が入った切符を発売するケースはなかったが、例外として羽幌線番屋ノ沢乗降場の近くで販売していた切符には当乗降場の名前が記載されていた[2]。
時刻表では、全国時刻表には仮乗降場の記載はなく、道内時刻表では記載されていた。ただし、一部道内時刻表ですら記載されていない仮乗降場も存在していた模様[3]。
設備[編集]
簡易的な乗降場であるため大きな設備はなく、列車1両がやっと入れるホームである場合が多かった。こういったものは朝礼台ホームと呼ばれることもある。
待合室も小さいもので、一部には待合室すらなかったものもあった。
ただし信号場を旅客扱いしたものを仮乗降場と扱ったのもあり、その場合は立派なホームがあることも。
民営化後[編集]
一部の仮乗降場は国鉄時代に駅に昇格、または廃止になったが、民営化時には北海道を中心に多くの仮乗降場が残った。
国鉄時代に駅にならなった仮乗降場も民営化後に全て駅に昇格[4]したが、1990年まで営業キロが設定されていなかった。そのため民営化後すぐに廃止になった名寄本線や天北線などでは最後の最後で駅に昇格したが、営業キロが設定されないまま廃止になった仮乗降場も多く存在した。
また廃止されなかった路線に残った仮乗降場も21世紀に入ると過疎化の進行などにより、普段の乗降客がいなくなって秘境駅化して、2001年より廃駅が出始め、2016年からは非常に速いペースで進行している。2021年(令和3年)に北海道で廃止になった駅では11駅も仮乗降場が起源の駅で、2025年3月に廃止になった駅では南幌延駅が仮乗降場であった。
現存する民営化で駅に昇格した仮乗降場[編集]
これらの駅は元々需要が少なく駅に昇格できなかったもので、過去数年間で多くの駅が廃駅になった。ただし、桂台駅や北舟岡駅など、JR化後になり住宅が密集し始め利用者数が増加してる駅もある。 〇がつく駅は信号場の旅客扱いが起源の駅である。