JR草津線
西日本旅客鉄道 C 草津線 | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 三重県、滋賀県 |
種類 | 普通鉄道(在来線・幹線) |
起点 | 柘植駅 |
終点 | 草津駅 |
駅数 | 11駅 |
電報略号 | クサセ[1] |
路線記号 | C |
開業 | 1889年12月15日 |
全通 | 1890年2月19日 |
所有者 | 西日本旅客鉄道 |
運営者 | 西日本旅客鉄道 |
車両基地 | 吹田総合車両所京都支所ほか |
使用車両 | 使用車両の節を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 36.7 km |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
線路数 | 全線単線 |
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 |
閉塞方式 | 自動閉塞式(特殊) |
保安装置 | ATS-SW |
最高速度 | 95 km/h |
草津線(くさつせん)とは滋賀県草津市の草津駅から三重県伊賀市の柘植駅を結ぶJR西日本の鉄道路線(幹線)である。路線記号はC
概要[編集]
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):36.7km
- 軌間:1067mm
- 駅数:11(起終点駅含む)
- 草津線所属駅に限定した場合、関西本線所属の柘植駅と東海道本線所属の草津駅[2]が除外され、9駅となる。
- 複線区間:なし(全線単線)
- 閉塞方式:自動閉塞式(特殊)
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 最高速度:95km/h
- 運転指令所:大阪総合指令所
- IC乗車カード対応区間:
- ICOCAエリア:全線(全線PiTaPaポストペイサービス対象区間)
全区間を京都支社が管轄しているが、柘植駅付近は同本部の大阪支社亀山鉄道部が管轄している。
沿線状況[編集]
通る地域は滋賀県南東部の山合いの田園地帯が大半で、三重県はほんの僅かの距離に過ぎない。草津駅を出ると三雲駅付近まで国道1号と並走し、そこから終点まで滋賀県道・三重県道4号草津伊賀線(通称産業道路)と並走する。直線区間が多いが単線であり、列車交換も多い。最高速度は95km/hである。全線がアーバンネットワークに加えられており、路線カラーと記号が設定されている(C 緑色)が、貴生川以南は本数が半減しており格差が激しい。大半の列車が本路線内で折り返し運転をしているが通勤や通学での利用客の多くが京都・大阪方面に向かう影響で、朝夕には京都駅までの直通列車が運行されている。
歴史[編集]
昭和戦前まで[編集]
古くから、明治時代に名古屋市から京都市の間を最短距離で結ぶために関西鉄道によって建設された。1906年に第一次西園寺公望内閣の下で鉄道国有法が公布され、官営となった。
戦前より、関西(主に京都だが、姫路発着列車も存在した)ー伊勢間を結ぶ参宮路線として快速列車が運行されていた。
戦後[編集]
「かすが (列車)#派生・類似列車」も参照
日本国有鉄道が戦後に発足すると国鉄草津線となる。
優等列車は、戦前から1965年(昭和40年)まで続いた姫路駅 - 鳥羽駅間の快速列車[注 1]と、その格上げ列車の「志摩」のほか、京都駅と名古屋駅を草津線経由で結ぶ「平安」、京都駅から三重県東紀州経由で南紀へ向かう「くまの」などの気動車による急行列車が存在し、これら3種の急行の草津線内停車駅は、1978年時点で草津駅・貴生川駅・柘植駅のみであった。
しかし、1960年代後半に近鉄京都線を経由する近鉄の参宮特急が登場するなど、近鉄特急網の整備などによって利用者が減少し、1980年頃に合理化でまず急行「くまの」が廃止され、急行「平安」も1985年(昭和60年)「志摩」増発に振り替えられた。
残った急行「志摩」も参宮列車としての立場は失われて、近鉄が経由しない滋賀県湖南と三重県中南勢を結ぶ列車に主な役割が変化したが、国鉄分割民営化直前の1986年11月1日に京都ー伊勢間の急行列車は廃止された。
その一方、高度経済成長期ごろから沿線の宅地開発が進んで京都方面への通勤路線に変容して東海道本線との関係が強まっていき、1980年に全線が電化され、翌81年には甲西駅が開業した。
国鉄分民化で参宮線などがJR東海路線となったため、関西 - 伊勢間直通は、関西本線直通の伊勢神宮参拝の団体列車や関西から伊勢志摩へ向かう修学旅行列車のみとなった。それらも新名神高速道路の開通後は、ことごとくバス利用に移行したため運転されなくなった。
年表[編集]
運行形態[編集]
日中時間帯は1時間に草津駅 - 貴生川駅間で2本、貴生川駅 - 柘植駅間で1本の普通列車のみの運行[3]で線内折り返しが主である。
草津線を利用する乗客の大多数の流動が大津駅・京都駅を向いていることもあり、現在も朝夕には京都駅発着の直通列車があり、平日朝には大阪行きの直通運転もある[注 2][3]。草津駅 - 京都駅間も全駅に停車する[注 3]が、一部の列車は外側線(列車線)を走行している。
沿線はモータリゼーションが進展しており自動車依存度の高い地域ではあるが、沿線(特に草津駅 - 貴生川駅間)では人口の増加傾向が続き、利用も堅調で朝のラッシュ時は混雑が激しい。また、沿線自治体も草津線の各駅を発着するコミュニティバスを多数運行するなど、地域の足として支援する体制も概ね整備されている。しかし、甲西駅、寺庄駅、油日駅で列車交換が出来ないためこれ以上の増発は難しい状況である。
そのため、自治体や住民からはさらなる増発や複線化、駅間距離が長い区間における新駅設置の要望もあり、滋賀県や沿線市町で構成される滋賀県草津線複線化促進期成同盟会がその取り組みを進めている[4]。
客車時代には多くが京都駅や亀山駅など他線に直通していた。また、気動車列車の時代は線内折り返しが主だったが、信楽線への直通もあり、JR化後も臨時の直通列車があったが、1991年5月14日の列車衝突事故後、信楽高原鐵道への直通列車は運転されていない。
上りと下り[編集]
関西鉄道として開業した当初は草津を起点としたが、現在の草津線は柘植駅が起点である。草津線では上りの柘植方面の列車が発着するのりばを1番のりばにしているため、草津が起点であった時代には駅舎側が1番のりばであった石部駅や甲南駅では、起点変更にともない、駅舎側が1番のりばではなく2番のりばになっている[5]。
使用車両[編集]
すべて電車で運転されている。
- 221系(吹田総合車両所京都支所所属)
- 以前は網干所属車が大阪方面直通や線内運用に使われ、2007年3月改正で定期運用が一旦なくなった後、2013年3月改正から京都支所所属のK編成による定期運用が復活した。主に日中の草津駅 - 貴生川駅間および夕方の京都駅直通電車で使用されている。4両編成で運転。
- 223系2500番台・6000番台(吹田総合車両所京都支所所属)
- 2024年3月16日のダイヤ改正より115系、117系駆逐のため網干、宮原、日根野から転属してきた。221系と共通運用となっており湖西線、嵯峨野線も運行する。
- 223系1000番台・2000番台、225系0番台・100番台(網干総合車両所(本所)所属)
- 2006年3月改正より、夜の上りと翌朝の大阪駅直通の1往復に8両貫通編成が使われている。大阪駅直通の8両編成は草津から4両編成を増結し12両編成で東海道線へ入る。運用2017年3月改正からは夕方の京都駅直通列車に4両編成も使用されるようになった。この他代走で京都支所所属の車両の運用を代走することもある。
大阪駅直通の列車は221系が使用されることはなく、223系・225系が使用される。
過去の使用車両[編集]
- 蒸気機関車
- ディーゼル機関車
- DD51形
- 東海道本線・関西本線直通の客車列車や貨物列車を牽引していた。
- DD51形
- 客車 - いずれも、東海道本線・関西本線直通の列車に用いられた。
- オハ35・オハフ33形
- 1980年電化時の50系投入以前は亀山客貨車区のオハフ33トップナンバーが時折、運用されていた。
- オハ61・オハフ61形近郊改造1500番台
- オハ41形350番台・オハ46・オハ47・スハフ42・オハフ45形
- ナハ10・ナハフ10形
- オハ50・オハフ50形
- オハ35・オハフ33形
- 気動車
- キハ58・キハ28・キロ28形 - 急行「くまの」「志摩」「平安」に用いられた。
- キハ17形・16形
- キハ20形・キハ52形100番台 - 信楽線乗り入れ用
- キハ30・キハ35・キハ36形
- キハ53形0番台 - 信楽線乗り入れ用
- キハ40形2000番台・キハ47形0番台・1000番台
- 電車
- 113系(吹田総合車両所京都支所所属)
- 湖西線開業・草津線電化時に投入された700・2700番台が中心に使用されていた。原型の湘南色が主流だったが、2010年頃から車体更新をした京都・北近畿地区地域統一色となっている。ラッピング車両「SHINOBI-TRAIN」(忍びトレイン)が2017年2月から運行されていたが2021年6月をもって運行を終了した「SHINOBI-TRAIN」の運行が終了 - 鉄道ホビダス鉄道投稿情報局、2021年6月28日。4両編成に組まれて運転されるほか、朝夕には2編成連結の8両編成も見られていた。2023年4月1日に運行を終了した。
- 117系(吹田総合車両所京都支所所属)
- 113系(吹田総合車両所京都支所所属)
駅一覧[編集]
- 全列車普通列車(全駅に停車)
- 線路(全線単線) … ◇・∧:列車交換可能、|:列車交換不可
駅名 | 駅間 営業キロ |
累計 営業キロ |
接続路線 | 線路 | 所在地 | |
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柘植駅 | - | 0.0 | 西日本旅客鉄道:V 関西本線 | ◇ | 三重県 伊賀市 | |
油日駅 | 5.3 | 5.3 | | | 滋賀県 | 甲賀市 | |
甲賀駅 | 2.1 | 7.4 | ◇ | |||
寺庄駅 | 3.1 | 10.5 | | | |||
甲南駅 | 2.0 | 12.5 | ◇ | |||
貴生川駅 | 2.8 | 15.3 | 信楽高原鐵道:信楽線 近江鉄道:本線 |
◇ | ||
三雲駅 | 5.2 | 20.5 | ◇ | 湖南市 | ||
甲西駅 | 3.8 | 24.3 | | | |||
石部駅 | 3.3 | 27.6 | ◇ | |||
手原駅 | 5.1 | 32.7 | ◇ | 栗東市 | ||
草津駅 | 4.0 | 36.7 | 西日本旅客鉄道:東海道本線(A 琵琶湖線)(JR-A24)(毎日京都駅まで、平日のみ大阪駅まで直通運転) | ∧ | 草津市 |
貴生川駅と草津駅がJR西日本直営駅、柘植駅・油日駅・甲賀駅・甲南駅が簡易委託駅、それ以外の各駅はJR西日本交通サービスによる業務委託駅である。
石部駅 - 手原駅間、貴生川駅 - 三雲駅間に新駅を設置する構想がある[4]。
草津線複線化促進期成同盟会[編集]
沿線自治体である滋賀県、草津市、栗東市、甲賀市、湖南市、日野町、伊賀市が参加しており利用促進やJR西日本への要望などを行っている。
計画としては4段階に分かれて整備を行うとしている。まず第一段階で甲西駅に行き違い設備設置橋上駅舎化に際し予め行き違い設備を設置するスペースがある。し第二段階で油日駅・寺庄駅に行き違い設備設置し第三段階で石部駅~手原駅間、貴生川駅~三雲駅間のそれぞれに新駅を設置し最終的に柘植駅~草津駅間を部分複線化をするとしている。
鉄道忌避伝説[編集]
草津駅の沿線から外れた滋賀県甲賀市土山町では草津線の建設時に反対運動があったことでルートから外れたという言い伝えが残っている。しかし開通時の目的(京都―名古屋間の短絡ルートでの連絡が必要で、土山町を経由すると大迂回となる)と当時のトンネル技術(鈴鹿峠を突き抜けねばならない。事実東海道本線ではトンネル工事の困難さ、東海道新幹線では世界銀行の借款ノルマである1964年までの完工が困難なことを理由にルート選定から外れた)から考えると事実とは考えにくい。
沿線施設[編集]
その他[編集]
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参考文献[編集]
- 辻󠄀良樹『関西 鉄道考古学探見』JTBパブリッシング 2007年。
- 辻良樹(構成・文・写真)滋賀県発行 草津線全線開通120周年・全線電化30周年記念誌『草津線の魅力』(滋賀県草津線複線化促進期成同盟会 2010年3月発行)
- 清水薫「草津線電化後38年の歩みと今」、『鉄道ファン』通巻第694号、交友社、2019年2月、 78-85頁。[注 4]
- 甲賀市史編さん委員会編『甲賀市史』第4巻、甲賀市、2015年3月、64-71、424-428、568-571頁。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ 日本国有鉄道電気局 『鉄道電報略号』、1959年9月17日、22頁。
- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年 ISBN 978-4-533-02980-6
- ↑ a b 『草津線電化後38年の歩みと今』、80頁
- ↑ a b 滋賀県草津線複線化促進期成同盟会 - 滋賀県
- ↑ 辻良樹(構成・文・写真 )滋賀県発行:草津線全線開通120周年・全線電化30周年記念誌『草津線の魅力』(滋賀県草津線複線化促進期成同盟会 2010年3月発行)。
- ↑ “鉄道ファン2019年2月号草津線電化後38年の歩みと今”. Railf.jp. 交友社. 2020年8月30日確認。