JR東日本キハ110系気動車

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JR東日本キハ110系気動車とは、JR東日本が製造した気動車である。主に只見線飯山線小海線などで使われる。本稿ではキハ100、本形式を使った観光列車についても解説する。

米坂線で運用されるキハ110

概要[編集]

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JR化後もJR東日本には老朽化の進むキハ20キハ45が残っていたが、これらの取替のために1990年に登場した。

JR東日本としては気動車初となる大出力エンジン、電車での採用実績がある電気指令式ブレーキ、電気連結器付き密着連結器を採用し、さらに冷房装置を搭載したことによりサービス面、運用面で大幅な改善となった。

構造[編集]

車体についてはキハ100系が16m級、キハ110系が20m級で、いずれも片側に2箇所の扉を備える全鋼製車体となった。増備途中でプラグドアから一般的な引き戸とされており、それと共に側面の強化も図られた。

エンジンはキハ100系がコマツ製のDMF11系、カミンズ製のDMF14系、新潟鐵工所製のDMF13系のいずれかを搭載し、出力は330psで設定された。キハ110系はカミンズ製のDMF14系あるいは新潟鐵工所製のDMF13系として、出力420psを確保している。

変速機はいずれも変速1段、直結2段のDW14系とされているが、キハ110形量産先行車のみ当初は変速1段、直結1段のフォイト製のT211rzを採用していた。

台車はキハ100系がDT59系とTR243系、キハ110系がDT58系とTR242系で、いずれもウイングゴム式のボルスタレス台車となっている。キハ100系とキハ110系で形式が違うのは軸距が異なるためである。

冷房装置は機械式で、暖房はエンジンの廃熱を利用している。

抑速ブレーキには機関ブレーキとコンバータブレーキを使用し、ブレーキ方式は電気指令式ブレーキ、連結器は密着連結器を採用している。このため、キハE130系0番台とキハE120系との併結は可能ではあるが、それ以外の型式との併結はできない[注釈 1]

形式[編集]

キハ100系[編集]

キハ100[編集]

0番台
1990年に登場した16m級の両運転台車。合計46両が製造された。乗降扉はプラグドアとなっている。最初の4両のみは量産先行車で、ワンマン運転には改造で対応した。
1と3はPOKEMON with You トレインに改造されている。
200番台
大湊線キハ40の置き換えのために1993年に5両が製造された17m級の両運転台車。乗降扉を引き戸に変更された。

キハ101[編集]

1993年から97年にかけて左沢線向けに13両が製造された、17m級の両運転台車。左沢線は朝夕にかなり混雑することからオールロングシートとされ、トイレも持たない。

キハ103[編集]

2016年にHIGH RAIL 1375向けにキハ100形29号を改造。片側の運転台を使用停止にしたため新形式の立ち上げとなった。711号の1両のみ存在。

キハ110系[編集]

形式別解説[編集]

キハ110
20m級の両運転台車。150番台と710番台を除くすべての番台に設定されている。
キハ111
20m級の片運転台車で、トイレを持つ。710番台を除くすべての番台に設定されている。
キハ112
20m級の片運転台車で、トイレを持たない。700番台を除くすべての番台に設定されている。
ただし、710番台についてはキハ110からの改造である。
キクシ112
20m級の片運転台車だが、トイレおよび動力を持たない食堂車。700番台にのみ設定されている。

番台別解説[編集]

0番台
1990年登場。うちキハ110の最初の3両のみ量産先行車である。キハ110形5両、キハ111と112が各3両の合計11両が製造された。乗降扉はプラグドアである。
この番台のみ急行用として設計されており、車内が回転リクライニングシートとなっている。
100番台
1991年登場。キハ110形39両、キハ111形とキハ112形各21両の合計81両が製造された。乗降扉はプラグドアだが、車内をセミクロスシートに変更している。また、これ以降はキハ111とキハ112の連結面側が広幅とされた。
150番台
1994年にキハ111と112が各2両、計4両が製造された。乗降扉を引き戸に変更しているが、出入口高さは100番台と同様とされた。
200番台・旧300番台
1993年から1999年にかけて、キハ110形31両、キハ111形とキハ112形各18両の計67両を製造。乗降扉は引き戸で、出入口高さを970mmに下げている。
最終増備車についてはJR東日本キハ110系気動車200番台の項目を参照。
300番台
秋田新幹線工事に伴う田沢湖線の一時廃線と特急「たざわ」の代替ルートとして北上線を経由して1996年から1年間運行された特急「秋田リレー」用として、200番台をベースにキハ110形14両、キハ111形とキハ112形各3両の計20両が製造された。
デッキが付き、車内が回転リクライニングシートとなっていた他、キハ111のトイレは洋式で、車端部の設置とされた。また蛍光灯にカバーが取り付けられた。
「秋田リレー」運行終了後は200番台に編入改造され、新潟に転属した2両を除く全車が長野へ転属した。撤去されたリクライニングシートはE217系のグリーン車に転用された。
このうち235と236(313と314)は2015年に飯山線観光列車「おいこっと」に充当する為、再改造が行われた。但し完全な観光列車専用車両ではない為、再改番はされていない。
700番台
TOHOKU EMOTION向けにキハ110-105, キハ111-2, キハ112-2から改造。キハ112の動力は撤去され、食堂車となり、キクシ112となったが、サービス電源用のエンジンは残された。
710番台
HIGH RAIL向けにキハ110-108から改造。キハ103とペアを組むが、連結面側の運転台を使用停止としたためキハ112に形式変更された。

事故と事故廃車[編集]

2010年に岩泉線にてキハ110-133が土砂崩れに乗り上げ脱線したが、後に復帰している。

2011年の東日本大震災でもキハ100形6両が津波で流されたが、9, 12は脱線したため、30, 38は運び出しが困難なために廃車解体され、本系列初の廃車となった。31と41は復旧している。

2015年には山田線でキハ110-132が土砂崩れで脱線し、2017年5月2日に廃車後、復旧を早めるために重機で切断の上撤去されている。

運用[編集]

かつては水郡線でも運用されていたが、混雑の激しさからキハE130系に置き換えられすでに撤退している。
また、秋田新幹線開業前にキハ110系300番台が特急「秋田リレー」号として運用され、郡山地区の車両が東北本線の黒磯 - 新白河間の運用に一時期就いたことがある。

八戸地区[編集]

一般用はキハ100形のみが配置され、主に大湊線で使用される。

予備車が少ないことから、代走を八戸線のキハE130系で行うこともある。

この他、TOHOKU EMOTIONはこの地区に配置される。

盛岡地区[編集]

キハ100形の0番台とキハ110系の0, 100, 150番台が配置され、キハ100形は主に釜石線で運用される。キハ110系に関しては山田線花輪線の全運用を担う他、釜石線快速はまゆり(旧・急行「陸中」)はこちらが充当される。特に0番台は必ず快速はまゆりの指定席車両となる。

キハ100形は2025年以降、HB-E220系による置き換えで全廃が予想される。

一ノ関地区[編集]

POKEMON with YOU トレインの2両を含めすべてキハ100形0番台の配置で、主に北上線大船渡線にて使用される。

2025年以降、大船渡線向けはキハ110による置き換えが見込まれる。

仙台地区[編集]

キハ110系のみの配置で、100番台が石巻線気仙沼線、200番台が陸羽東線陸羽西線で運用される。

郡山地区[編集]

キハ110系のみの配置で、100番台1両と200番台3両(うち2両は元300番台)全車が主に只見線、それ以外の100番台は主に磐越東線で使用される。

只見線のグループはGPS対応改造が新潟時代に施されており、キハE120と完全な共通運用が組まれる。

山形地区[編集]

キハ101形のみの配置で、左沢線にて使用される。

新潟地区[編集]

キハ110系の200番台が配置され、主に磐越西線米坂線にて使用される。

キハE120形が配置されていた頃はこれらとも共通運用が組まれていた。

小海線[編集]

HIGH RAIL 1375以外はすべてキハ110系100番台で統一されている。

長野地区[編集]

おいこっとを含めすべてキハ110系の元300番台で統一され、主に飯山線で使用される。

高崎地区[編集]

すべてキハ110系200番台で統一され、主に八高線で使用される。

2025年以降、HB-E220系による代替で全廃が見込まれる。

譲渡[編集]

キハ100-39 - 41の3両はひたちなか海浜鉄道への譲渡対象となった。

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. キハE130系100番台、500番台は電気連結器が非対応のため、国鉄型はブレーキ方式が異なるため、併結できない。
JR JR東日本の鉄道車両
客車
特急型(寝台含む) 14系(14形・15形)* - 24系(24形・25形)* - E26系
急行型 12系*
一般型客車 50系* - 旧型客車*
気動車
特急型 なし
急行型 キハ58・キハ28*
一般型 キハ40・キハ47・キハ48*(・2代目*) - キハ52* - キハ30・35・36* - キハ37* - キハ38* - キハ45* - キハ100・キハ110 - キハE120・キハE130 - キハ141*
電車
直流
特急型 183系・189系* - 185系* - 251系 - 253系(1000番台)0番台は引退済み - 255系 - E257系 - E259系 - E261系 - E351系 - E353系 - 651系(クハ651-1001)
急行型 165系・167系・169系* - 157系*
近郊型 111系・113系* - 115系*クモハ115-1030) - 123系* - E129系 - E131系 - 211系* - E217系 - E231系1000番台 - E233系3000番台
通勤型 旧型国電 - 101系*103系* - 105系* - 107系 - E127系 - E131系 - 201系*クハ201-1) - 203系* - 205系*(・500番台) - 207系900番台* - 209系 - 215系 - E231系(1000番台除く) - E233系(3000番台除く) - E235系 - 301系*
交直流
特急型
一般用 485系・489系* - 583系* - 651系(0番台) - E653系 - E657系
貴賓・団体用 E655系
急行型 455系・457系*
近郊型 401系*403系*415系* - 417系*
通勤型 E501系 - E531系
交流
特急型 E751系
急行型 なし
近郊型 715系* - 717系* - 719系
通勤型 701系 - E721系
ハイブリット車
気動車 キハE200形
ハイブリッド車(蓄電含む) HB-E300系 - HB-E210系 - HB-E220系 - EV-E301系 - GV-E400系 - EV-E801系
その他車両
旅客 E001形四季島専用) - HB-E300系
事業用車
機関車
電気機関車
直流 EF55形* - EF58* - EF60形* - EF62形* - EF63形* - EF64形* - EF65形*
交直流 EF81形* - EF510形
交流 ED75形*
ディーゼル機関車 DE10形 - DD51形*
蒸気機関車 D51形* - C58形* - C62形*
電車
直流 143系* - 145系*
交直流 E491系 - E493系
交流 なし
気動車 キヤE193系 - キヤE195系 - GV-E197系
除雪モーターカー ENR-1000形
研修用機械 E991系(偽)
新幹線
旅客 200系* - E1系 - E2系 - E3系 - E4系 - E5系 - E6系 - E7系 - E8系
検測車 E926形(East i)
「*」がある形式は国鉄から継承。右上に「廃」と書かれた形式はJR東日本には書類上存在しない。
データは2023年1月19日現在のもの。