ニートレイン
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二ートレインとは、鉄道車両のうち、運用が皆無の編成に付けられる通称である。
原因[編集]
鉄道車両はそれぞれ目的をもって製造されるが、その目的に適った列車運用が組まれなくなった時、車庫に長期間留置される。ここからニートレインへ退化する。
ニートレインは「ニート」と「トレイン」を組み合わせてできたかばん語である。
国鉄末期に遊休車両と呼ばれたことに相当する言葉である。
車両[編集]
- 215系
- 着席可能にするため、電動車以外は全てダブルデッカーの車両。当時の湘南ライナーをはじめとする通勤ライナーのほかに、1993年から快速アクティーにも使用された。しかし、基本的に15両で運用される東海道線の中でも10両と比較的短かったことや、扉が2つしかなかったこと、また熱海方面の利用者を特急踊り子に転移させて増収を図るために、215系は2001年に快速アクティーから全面撤退。
その後、日中は湘南新宿ライン系統の普通列車や快速列車として運用されたものの、やはり2扉が災いし、かつ、車種統一を図るために湘南新宿ラインの運用は2004年までにE231系に置き換えられ、さらに2021年3月のダイヤ改正で、中央本線でのホリデー快速ビューやまなし号、および最後の砦とも言える湘南ライナーの運用も失い、続々と長野へと廃車回送されていき2021年7月に全滅した。
かなり有名であったために晩年はニートレインの代名詞となったが、少編成でも急行「はまなす」のようにカーペットカー改造で夜行列車に活用し、東名・東阪間のように需要の多い区間での夜行列車の退潮を防ぐ道もあったはずで、そうした点では不遇車両といえる。 - 東急サークルK編成
- 2003年に東急・営団(現・東京メトロ)・東武の3社相互直通運転が開始された。その際、編成数が少ない2000系は乗務員訓練の手間を省くために直通運用には就くことはなく、また東武とは違う保安装置を採用していたために東急側でも東武の保安装置に対応しなければいけなかったが、当時5000系で8500系を置き換えている最中であり、改修工事費用の手間を抑えるために8500系には改造を施工せず、直通運用には使用されないことになった。この編成群のことをサークルK編成と呼ばれることとなった。
- 直通開始当初は東急と東武の直通列車は毎時3~4本だったため、サークルK編成の運用はたくさんあったものの、年々のダイヤ改正で直通運用が徐々に増えていったことで運用が徐々に減少していき、長津田の車両基地に留置されていることが多くなった。
- 尚、リーマンショックの不況で5000系の投入が中止されて以降、2000系3編成(2001F、2002F、2003F)、8590系2編成(8694F、8695F)、8500系2編成(8606F、8642F)で概ね固定され、2017年までこの形態が続いた。
- しかし2018年より田園都市線に新型車両2020系が投入され、それに伴った2000系の大井町線転属・8500・8590系の廃車再開により、現在はサークルK編成が消滅してしまった。とおもわれたが、東武線内でのデジタル無線更新に伴い、引退間際の8500系は更新工事が行われないことになり、消滅までサークルK編成となっていた。
- 京急2000形8両編成(3扉改造後)
- 主に快速特急に使用されていた2代目600型を置き換える目的で1982年に登場した2000型。1983年には京急では初のブルーリボン賞受賞車両となった。
- 登場以来快速特急を中心とした運用に使用されたが、足回りの老朽化を懸念した京急は快速特急の運用を1998年から後継の2100形に譲り、3扉ロングシート化改造を施したうえで、汎用型車両と同様の運用に転用することになった。その玉突きで1000形、700形を一部置き換えた。しかし4両編成は普通や増結運用[1]につくことができたが[2]、8両編成は全面非貫通構造であり、地下鉄直通に対応していないことからニートレインになってしまった。その後、2010年のダイヤ改正にて新設された羽田空港 - 新逗子[3]間を結ぶエアポート急行に充当されることが多くなり、ニートレイン状態は解消しているが、老朽化により2018年までに全車引退している。
- 後に新1000形の1001Fが機器更新直後に都営浅草線内に入れなくなり、23年7月に泉岳寺に現れ、8月以降に浅草線に乗り入れ始めるまで同様のポジションに立たされることになった。
- 京葉線 E331系
- 京葉線は他路線からの転属車両が多い武蔵野線とともに中古車のイメージが付くことが多かった。このうち老朽化した201系を置き換えるために最新技術を惜しみもなく使ったE331系が導入された。E331系は京葉線の中でも15年ぶりの新車であり、国鉄・JRの車両の中でも初めての連接台車を採用したほか、ダイレクトドライブ機構という駆動方式を採用。2007年3月に登場したものの、3日で運用を離脱。同年4月以降は完全に顔を出さなくなってしまった。そして2007・2008年にメーカー返品を行い機器類を改良してから2008年12月より運用を再開。しかし2009年5月にまたもや運用離脱。2010年4月に再度運用が再開されるも2011年1月に営業運転から離脱。約3年間京葉車両センターでニートレイン。2014年にあっけなく長野で廃車された。
- 実働はわずか1年強で、最後の3~4年は京葉車両センターにずっと留置されていたために215系同様ニートレインの代名詞と呼ばれることも多い。
- 271系 特急はるか
- 2020年3月にはるか全9両化にともない運用を開始したが、コロナ禍による需要減にともなう全6両化で運用開始後わずか18日でニートレインとなってしまい、以降、翌21年3月に需要回復が見られて一部が9両運用に戻されるまで全く運用がなかった。
- 207系 Y1編成
- 2両編成の207系である。207系は7両で運転されるが、5両編成は存在しておらず、2両編成は定期運用には使えない。和田岬線で2+4両編成を6両編成にして利用できそうだが、そのような形でも使われていない。では、なぜこのような編成が誕生したのかというと、和田岬線の103系R1編成を置き換えるために、207系の3両のT18編成と4両のT3編成、余剰になっていた元T18編成のモハ207-1032を組み替え、6両貫通のX1編成を組成したためである。2編成あるので、4つの先頭車があるのだが、6両貫通のX1編成では2つしか必要がないため、余った2両はこのようなニートレインとなってしまった。和田岬線の代走の際に2+4で運用されるのではないかと言われていたが、結局代走の際も103系時代と同様207系3+3で運用されており、過去のモハ207-1032同様ニートレインとなってしまっている。
- JR東日本E231系電車800番台
- メトロ東西線乗り入れ用車両。7編成が在籍しているが、運用は平日5つ(終日運用は2つのみ)・土休日3つとなっていて、やや余剰気味である。その分予備車なしで機器更新・ワンマン化を実施する余裕があると考えて良い。
- JR西日本521系電車E編成
- 日中ニートレインとなる例。4運用あるがいずれも朝夕にしか運用がなく、昼間は敦賀か米原で休んでいる。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ 2002年から2010年までの日中時間帯の快特は基本8両編成に付属4両を増結した12両編成で運行されていた。
- ↑ 最も4両編成側も問題がなかったというわけではなく、加速性能の問題から普通運用だと800形や1500形に比べると遅延が発生した時の回復が困難であった。また、増結運用でも先述の加速性能の悪さから2000形以外の車両と併結した場合に乗り心地が悪くなるといった問題があった。更には、2000形4両編成同士の併結はドア位置がややずれ、羽田空港国際線ターミナル駅のホームドアに合わないことから避けられた。
- ↑ 現 : 逗子・葉山