詐欺種別

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詐欺種別(さぎしゅべつ)とは、ダイヤ上の列車種別に対し、大勢が抱くイメージと運行実態が大きくかけはなれている事象を指す。

概要[編集]

列車種別というものは鉄道やバス等の公共交通機関の停車駅やサービスの違いを示すものである。多くの場合、その種別にあった運行形態となっているが、中には種別名と実態が乖離していたり、通常の種別順序とは異なった路線が存在している。当項ではこのような名前とは異なっているものを取り上げる。

なお、以下の実例についてはあくまでも執筆者の主観による部分が強く含まれ、線形や経由地のハンデで劣勢となっている道楽種別や駅構内の都合や遠近分離策で下位種別が駅通過する下剋上種別と呼べる内容も含まれており、ジョークとして半分ほど見て頂きたく思います。

列車種別の順序[編集]

1950年代後半からの国鉄の種別慣行の影響で、早い順に以下の通りの設定の路線が多い。なお、派生種別として「区間」・「通勤」・地名等を冠するものや、複数の種別を組み合わせて本来の種別とは区別しているものもあり、これらは路線によって元の種別よりも停車駅が多いか少ないかは異なっている。特に急行と快速のどちらが上位かは路線によって特にまちまちである。

実例[編集]

JR[編集]

JR東日本[編集]

東海道線宇都宮線高崎線常磐線の普通列車
上記の路線は中距離電車として京浜東北線山手線等の短距離列車とは区別されており、同線等と並走する区間に関しては普通列車でも大半の駅はホームがないため通過する。京浜東北線の快速もどきより圧倒的に速い。
常磐線は2004年のダイヤ改正までは上野 - 取手間のみを走行する快速(現在のE231系充当の緑快速)と取手以遠に向かう中距離電車で停車駅が分かれており、中距離電車は日中時間帯を除いて三河島・南千住の両駅を通過していた。2004年のダイヤ改正で取手までの停車駅は特別快速を除いて統一されたため、現在は中距離電車でも上野 - 取手間は快速として案内されている。
高崎線内の特別快速
湘南新宿ラインに直通する系統であるが、前身となる池袋発着の快速列車が快速アーバンの停車駅に加えて北本駅にも停車していたため、その名残として停車する。
高崎線内および東海道線内の無名快速
当該列車は湘南新宿ライン内で快速として運行されるものであり、直通先となる同線内では通過駅が無い[1]。高崎線内と東海道線内の下り列車では通過駅がないことを考慮し快速ではなく普通列車で案内される。
中央線快速
平日は中野(土休日は吉祥寺)以西各駅停車で実質区間快速(区間急行)だが、国鉄時代からずるずる「快速」の種別を維持。三鷹以西完結の快速と中野(平日)または吉祥寺(休日)以西の下り快速は各駅停車と案内される。中電と同様「普通」で良さそうである。
一部の青梅特快
ほぼ過去の事例。「青梅」という地名が付いているが、2022年3月までは青梅に向かわない高麗川・武蔵五日市発着の列車が設定されていた。あくまでも「青梅線に直通する特別快速」ということである。ただし、ダイヤ乱れ時には豊田行きなど「青梅線に直通すらしない」青梅特快が誕生する事がある[2]
ホリデー快速おくたま
上記同様奥多摩に行かない、青梅駅打ち切り・以遠は臨時列車の詐欺種別。
常磐線各駅停車 向ケ丘遊園行など
各駅停車と言いながら、代々木上原を過ぎると急行になったりするので、全ての駅に停車するわけではない。もっとも、名古屋圏の某私鉄を知る人は、些細なこととしか思えないだろう。
東海道線 特急湘南
特急列車でありながら、一部列車は特別快速が停車しない辻堂駅と二宮駅にも停車する。

その他JR・国鉄[編集]

はまかぜ
ほぼ全区間で道楽種別色の強い特急。大阪~但馬地方の特急としては、神戸~寺前間を短絡できないため「こうのとり」のスーパーサブ色が強い。ただ、昨今は大阪~姫路間で通勤特急色を強めている。
大阪~鳥取間の直通列車はスーパーはくとの約1.5倍の時間を要し、2023年3月ダイヤ改正前に夕大阪発、朝鳥取発で設定されていた5、2号は車両基地の都合が見え見え状態になっていた。
にちりんシーガイア
博多 - 大分間で小倉を大廻りし、かつ「ソニック」と違い、振子機能も働かないため、福岡市~宮崎市間の交通手段としては高速バスよりも圧倒的劣勢で、始発・終着駅間だけで見ると道楽種別になっている。因みに国鉄時代も小倉を廻る「にちりん」より肥薩吉都線経由の「おおよど」の方が博多~宮崎間の所要時間が短かった。
北陸本線の新快速
全列車が各駅停車であるだけならまだ良いものの、何らかの都合で223系が使用できない場合は521系2連ワンマンによる代走運用となる場合がある。

JR・国鉄の過去の事例[編集]

南紀
過去の事例。最後のキハ80系特急時代に、快速「みえ」より名古屋~多気間の所要時間が長い列車があった。
べにばな
過去の事例山形駅発着時代、赤湯~今泉間で米沢駅を大回り。そのため、時刻表上長井線に乗り換えても乗り捨てた列車に再乗車できる事例が生じた。
客車寝台特急ゆうづる
過去の事例。青森~上野間で急行「八甲田」より所要時間の長い列車があり、当時の国鉄に本当にクレームがあったらしい。
急行「平戸」
過去の事例。伊万里~早岐間でわざわざ松浦を遠回りしていた。佐世保~長崎間という長崎県二大都市を直結する急行だったが1往復だけ。
東京→大阪「銀河83号」
過去の事例。東京23時59分発と日付変更前の発車で途中普通列車の大垣夜行(当時)を追い抜かなかったことから青春18愛好者から、快速化の要望が絶えなかった。
中央東線普通列車
過去の事例。中央東線の立川以西の普通列車は、は2004年のダイヤ改正までは東京駅に直通する中央線快速と高尾以西に乗り入れる普通列車(中距離列車)で停車駅が分かれており、普通列車は、原則日野・豊田・西八王子の各駅を通過していたが、国鉄分民化以降に西八王子に停車し、1996年のダイヤ改正で立川 - 高尾間の停車駅が各駅停車に統一された。なお、かつて運行の新宿発着の普通列車は廃止前は立川以東で三鷹のみに停車していた。

民鉄[編集]

関東[編集]

東武鉄道の快速
過去の事例。東武鉄道では東上線系統を除き、伝統的に乗車券のほかに特別料金を有する列車として、特急・急行が運行されていた。また、料金不要の列車として快速・準急・普通が運行されていた[3]
しかし、2006年に伊勢崎線系統の列車種別の再編が行われ、特別料金を必要とする列車は全て特急に統合された。また、一般列車は停車駅の少ない順に、快速・区間快速・急行・区間急行・準急・区間準急・普通の順となり、結果として快速の方が急行よりも早いというスタイルが確立した。
2013年のダイヤ改正では東上線の快速が新設されたが、伊勢崎線系統と同様に急行よりも早い種別として設定された。
だがしかし、2017年のダイヤ改正で伊勢崎線系統の快速・区間快速は廃止、東上線の快速も2023年のダイヤ改正で廃止され、東武から急行よりも速い快速は消滅した。
小田急小田原線の準急
一般的に複々線区間では各駅停車が緩行線、優等列車が急行線を走行するが、当該列車は緩行線にしかホームが設けられていない千歳船橋祖師ヶ谷大蔵狛江の3駅に停車するため全区間で緩行線を走る。
西武秩父線 S-TRAIN
ホーム長の都合で特急停車駅の横瀬駅を通過する。
西武池袋線快速急行
最上位種別として位置付けられており、ほぼ全列車が西武有楽町線経由でFライナーとして直通運転を行っていることから、所沢以東においては、池袋〜石神井公園間は下位種別の急行がノンストップなのに対し快速急行は小竹向原と練馬に止まる上、石神井公園〜所沢双方ともに同等、快速急行のみが速達運転を行い力を発揮するはずである所沢以西は朝の2本以外は2駅先の小手指止まりであるため、所要時間的には結局急行とほぼ変わらない。ため、実質直通列車のカッコつけにしかなっていない。
京急久里浜線堀ノ内駅 - 三崎口駅間のみを走行する快特・特急
同区間は1999年のダイヤ改正以降、すべての列車が各駅に停車する快特または特急として運行されている。堀ノ内 - 三崎口間を通して走る列車もあるが、基本的には京急久里浜 - 三崎口間で設定されている列車が多い。京急ではこの他にも京急蒲田 - 羽田空港、金沢文庫 - 逗子・葉山、堀ノ内 - 浦賀間のように普通が設定されている区間においても運用上の都合で各駅に停車する急行・特急・快特となっている例がある。
東急大井町線の緑各停
通過駅のある各駅停車。詳しくは当該ページ参照。
京王電鉄 京王線新宿発着の各駅停車
上記の大井町線の緑各停と同様に名ばかりの各駅停車であり、京王新線にしかホームがない初台と幡ヶ谷を通過する。
京王電鉄の特急
2010年代に入ってから急激に停車駅を増やしまくった結果、JRの特別快速にも優位に立てなくなり、「他の列車より速いから特急」という感じの種別となった格好。なお、現在の特急は停車駅が廃止時点の準特急と同じで、列車選別装置においてかつての準特急と同じく「準」と表示されることから、実質的に準特急そのままである点も詐欺。
京王高尾線の急行、特急
大勢の鉄道事業者と逆転している通過駅のある急行と各駅停車の特急を運行している。2022年3月までは、特急については京王片倉、山田、狭間の3駅を通過しており、通過駅のある急行と同線内各駅停車の準特急において種別が逆転していたが、同改正で準特急が廃止され現在の特急に統合された事から現在の形態となった。

中部[編集]

名鉄名古屋駅 - 名鉄岐阜駅間の名鉄特急
同区間の名鉄は一宮市のJR完全並行区間を除き線形が悪く、標準停車駅もJR普通列車より1駅少ないだけで、JRの普通列車より遅く、分不相応な種別とされるが、国鉄名鉄局時代の列車ダイヤの名残と思えば合点がつき、むしろ道楽種別に近い。
国交省の庇護の下のJRのダンピング特定運賃を独禁法等で訴える手立てが無いため名鉄は最早速さの競争を捨て、JRの新快速が相手にしない国府宮新木曽川笠松の各駅勢圏の地固めに専念したかの格好。なお一宮までは名鉄の方がJRの普通より速い。
伊奈駅発豊橋駅行の名鉄急行

伊奈駅#ダイヤの特徴」も参照

朝に設定の名鉄的には「各駅停車の急行」だが、実際は共用区間の下地船町両駅を通過する珍奇な上り列車。下りの深夜は全て回送列車になるため設定は無い。
あいの風とやま鉄道のワンマン列車
ワンマンなのに全列車に車掌がいる。
大井川鉄道大井川本線区間急行
「一部の区間急行」ではなく、「運行区間の広い急行」になっている。

関西[編集]

近鉄京阪特急
近鉄京都線奈良線を使って京都駅近鉄難波駅を直通した特急。JR等に比べ圧倒的にスピード面で劣勢で、前述の名鉄特急以上に道楽特急とされた。二度と設定されないと見られたが、2022年に観光特急「あをによし」で奇跡的に復活した。
京阪電車の区間急行
守口市以東各停で、準急より停車駅が多い。これは区間急行の方が初設定が古いため。
阪急今津・神戸線の通称今津準急
駅構内の都合から特急を含む神戸線全列車が停車する西宮北口駅を堂々と通過するので、通勤特急よりも上位の様な形になってしまっている。
山陽阪神直通特急の一部
山陽と阪神の列車間隔の不均衡を修正するため、別種別にしないまま、一部が元町~西代間で各駅停車となっていて、半ば詐欺状態。
阪神区間特急
設定当初より特急並の停車駅で、1991年の改正では三宮・芦屋・甲子園・梅田のみ停車で、特急より速いという意味で詐欺種別であった。しかし2009年のダイヤ改正で大幅に停車駅が増加し、甲子園以北がほぼ各停化。その後野田も追加、2016年改正では尼崎も停車駅に追加され、一応「特急」を名乗りながら朝の快速急行より遅いという、逆の意味での詐欺種別となった。
山陽電鉄のS特急
山陽電鉄が頑なに急行の種別を一時休止にしているため、各駅停車区間がありながら、特急の種別となっている。

脚注[編集]

  1. 厳密にはさいたま新都心駅は通過している。
  2. 車両のシステム的には「青梅特快 松本」なども表示ができるため、特段問題はない。
  3. 準急は通過運転をする区間によって便宜上アルファベットを付けて区別していた。

関連項目[編集]

鉄道関連の口コミ
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