近鉄270系電車
近鉄270系電車(きんてつ270けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道が導入し、後に三岐鉄道に譲渡された鉄道車両の1つ。本項では、277系についても解説する。
登場の経緯[編集]
北勢線を含めた近鉄の軽便各線では総括制御の困難な直接制御の電動車に数両の付随車を連結し、終端駅で機回しを行うという前近代的な運用方法がとられていた。そこで、まずは北勢線向けに1977年から間接制御の本系列を投入し、近代化を図ろうとした。
なお、本系列は電動車を中心に製造され、制御車は必要最低限とし、付随車の製造については全く行っていないことが特徴である。
構造[編集]
15m級、両開き2扉の全鋼製車体を備えるが、これはナローゲージ線区では最大級となった。内装はロングシートである。
主電動機については38kWの直流モーターで、ナローゲージであるがゆえ引き続き吊り掛け駆動方式が採用された。
制御装置については三菱製の電動カム軸式間接自動加速制御装置とされ、これにより総括制御が可能になった。
ブレーキ方式も自動空気ブレーキが採用されている。
このグループは制御電動車6両と制御車2両のみの存在となり、編成構成に不足する制御車はサ140形の一部や200系の先頭車化改造で賄われ、同時にサ140形7両とサ130形1両が本系列と編成を組むようになった。
277系での変更点[編集]
1990年にモ277の1両が増備されたが、固定クロスシートに変更されたり、前面が260系に類似したタイプに変更された。なお、本系列が増備されていた頃、他社や他路線では既にカルダン駆動方式のVVVFインバータ制御が一般的になっていたが、スペースの関係から引き続き吊り掛け駆動方式の抵抗制御で製造された。
なお、この際にサ130形の残り4両についても本系列と固定編成を組むようになり、従来から編成を組んでいた間接非自動加速制御の220系は1992年をもって運用離脱、全車廃車となった。
改造[編集]
ブレーキ方式のHSC化[編集]
A動作弁の予備品確保が困難となったため、1991年に全車がブレーキ方式をHSC電磁直通ブレーキに改造された。
冷房化・高速化[編集]
当初はすべて非冷房車だったが、2003年の三岐鉄道移管後、冷房化改造と弱め界磁の追加、主電動機の2個化と分散配置を始めとした高速化が進められ、同時にクモハ270形、およびクモハ170形に形式変更された。なお、スペースの関係上モーターを設置できないクハ140形を組み込んでいたがゆえ4個モーターで残され、かつ重量増を避けるために非冷房で残った車両についてはクモハ273形に分類されている。
運用[編集]
2022年現在、廃車は出ておらず、サハ140などと3連4本、4連3本が組まれ、北勢線の全運用を担う。
編成別概況[編集]
編成形態がそれぞれで異なるため、編成別に解説する。なお、阿下喜方先頭車を編成名の基準とする。
271F[編集]
クモハ271-サハ146-クモハ171の3両固定編成を組む。全車冷房化済み。うちサハ146以外が270系として製造された。
272F[編集]
クモハ272-サハ147-クモハ172の3両固定編成を組む。全車冷房化済み。うちサハ147以外が270系として製造された。
273F[編集]
クモハ273-サハ142-サハ136-クハ141の4両固定編成を組む。クモハ273のみ非冷房。この1両のみ270系として製造された。
近鉄時代末期はサハ142が増結用の先頭車ク142となっていたが、三岐鉄道移管後に再度中間車化改造を受け本編成に組み込まれた。
274F[編集]
クモハ274-サハ144-サハ137-クハ143の4両固定編成を組む。クモハ274のみ非冷房。この1両のみ270系として製造された。
近鉄時代末期はサハ144が増結用先頭車ク144となっていたが、三岐鉄道移管後に再度中間車化改造を受け本編成に組み込まれた。
275F[編集]
クモハ275-サハ138-クハ145の3両固定編成を組む。クモハ275のみ非冷房。この1両のみ270系として製造された。
276F[編集]
クモハ276-サハ135-クハ134の3両固定編成を組む。全車非冷房。クモハ276のみ270系として製造された。
なお、北勢線移管後に後述の277Fと付随車同士が交換されている。
277F[編集]
クモハ277-サハ201=サハ101=クハ202の4両固定編成を組む。全車非冷房。クモハ277のみ277系として製造された。なお、車両間の=は連接車であることを表す。
また、北勢線移管後に前述の276Fと付随車同士が交換されている。2022年現在は三重交通復刻塗装を纏う。
奴コラ[編集]
ふたば☆ちゃんねるでは、本系列の写真を用いて作られたウソ電が大量に存在し、270系が「奴」と呼ばれていることから「奴コラ」と言われる。
当然、これらの元写真には著作権が存在するため、掲載は推奨しない。