近鉄2600系電車
近鉄2600系電車(きんてつ2600けいでんしゃ)は、かつて近畿日本鉄道に在籍した通勤型車両。日本で初めてクロスシートを採用した、片側4ドアの車両であったが、2004年に全廃された。
登場の経緯[編集]
戦前製かつ特急からの格下げ車両であった大阪線・名古屋線の半鋼製車2200系は昭和30年代半ばに入ると置き換え時期に達していたが、これらは転換クロスシートを採用していたため、通勤ラッシュにも対応できるよう、2410系・2430系をベースに4ドアのままクロスシート仕様で1970年に4連2本、2連2本が登場したのが本系列である。
構造[編集]
車体や機器は2410系や2430系に準じ、21m級の4ドア車体に、MB-3110系主電動機、ABFM電動カム軸式抵抗制御、およびKD-66系シュリーレン式空気ばね台車を持ち、最高速度110km/hを確保している。
内装については4ドアながらオールクロスシートとするため、シートピッチが1320mmと国鉄近郊型より狭く設定され、肘掛けも省略されていたが、補助席が設けられ、使用時にはドアの開口幅を700mmに設定することもできた。この結果、トイレを持たないM車で定員210名と日本最大級の定員数を確保した。トイレはT車とTc車に1か所ずつ備える。
改造[編集]
1979年に冷房化され、この際に全車が大阪線から名古屋線に転属した。1989年には内装材交換や方向幕設置といった車体更新が行われたが、2610系とは異なり、団体運用を考慮してクロスシートのまま残された。しかし、これが本系列の運命を決定づけることになってしまった。
運用と廃車[編集]
当初は急行運用に優先的に充当されていたが、L/Cカー群が増備されるとラッシュ時の急行に充当される以外は団体貸し切り運用の予備車となった。1998年に4連、2連各1本が高安に再転属したが、2002年2月から6月にかけて4連全2本と、2連1本が廃車。最後まで残った富吉の2連1本も2004年1月をもって廃車、解体処分となり、形式消滅した。
廃車後、一部の台車が1201系のKD-78系の更新に利用されている。