近鉄260系電車
近鉄260系電車(きんてつ260けいでんしゃ)は、かつて近鉄内部線・八王子線に在籍した近畿日本鉄道の鉄道車両の1形式。2022年現在は四日市あすなろう鉄道が保有している。
概要[編集]
北勢線の270系に次いで、内部線や八王子線でも動力の近代化を図るために1982年に登場した。本系列も270系と同様に当初制御車は必要最低限に抑えていた。
構造[編集]
270系に準じた15m級2扉の大型車体を備えるが、前面形状が変更され、乗降扉も片開きとされた。
主電動機を始めとした主要機器は270系で実績のあるものを採用し、38kW級のMB-464系吊り掛けモーターに、ABF電動カム軸式自動加速制御の組み合わせとされた。
製造両数は当初制御電動車5両、制御車3両のみで、不足分はモニ220の付随車化や、サ130の運転台・貫通路設置などによるサ120・ク110への形式変更で賄われたが、後の増備でこれらも置き換えられることになる。
改造[編集]
ブレーキ方式のHSC化[編集]
当初A動作弁の自動空気ブレーキを搭載していた本系列だが、補修部品の生産打ち切りに伴い予備部品確保が困難になり、1994年から95年にかけてブレーキ方式をHSC電磁直通ブレーキに改造されている。
冷房化・リニューアル・増備[編集]
当初はすべて非冷房車だったが、2015年の四日市あすなろう鉄道移管後に以下の改造が施された。
- 冷房化
- 前照灯のLED化と尾灯形状の変更
- 窓ガラスのUVカット化・固定化
- 車内照明のLED化
- 座席のオールクロスシート化
- なろうブルー、あるいはなろうグリーンへの塗色変更
- 補助電源装置の更新
これに伴い車齢60年をオーバーしていたサ120形4両とク110形2両についてはそれぞれ同数のサ180形とク164形に置き換えられ、すべて廃車された。
なお、主要機器は主電動機の絶縁強化を図った程度で吊り掛け駆動の抵抗制御のまま存置されており、カルダン駆動化やVVVF化は見送られた。最高速度も依然として45km/hのままとされている。
運用[編集]
2022年現在、廃車は出ておらず、3連4本、2連1本が組まれ、四日市あすなろう鉄道線内の全運用を担う。適宜編成が組み替えられることもあり、通常は3本使用となる。
編成別概説[編集]
編成形態が異なるため、1編成ごとに解説する。編成名は四日市方先頭車を基準とする。
261F[編集]
モ261-サ181-ク161の3両固定編成を基本とする。サ181のみ増備車で、元モニ229のサ123を廃車に追いやった。ク161はリニューアル時にMGが撤去され、これは後述のク162と163にも施された。この編成についてはリニューアル後の当初はなろうブルーで、後になろうグリーンに塗り替えられる予定だったが、沿線民からの惜しむ声によりなろうブルーのまま維持されている。
262F[編集]
モ262-サ182-ク162の3両固定編成を基本とする。サ182のみ増備車で、元モニ227のサ121を廃車に追いやった。この編成からリニューアル直後よりなろうグリーンを纏う。
263F[編集]
モ263-サ183-ク163の3両固定編成を基本とする。サ183のみ増備車で、元サ132のサ124を廃車に追いやった。ク163はシースルー列車とされ、床面の一部に窓ガラスがはめ込まれ、車輪やレール、枕木の様子を走行中に観察することができる。
264F[編集]
モ264-サ184-ク164の3両固定編成を基本とする。サ184とク164は増備車で、元モニ228のサ122と元サ131のク114を廃車に追いやった。ク164は補助電源装置を搭載し、サ180を抜いた2両編成での運用も可能である。
265F[編集]
モ265-ク165の2両固定編成を基本とする。ク165は増備車で、元サ133のク115を廃車に追いやった。ク165はク164と同様に補助電源装置を搭載するが、ク164が2連運用に就く際は3連での運用も行う。