近鉄5800系電車

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
Wikipedia-logo.pngウィキペディアの生真面目ユーザーたちが近鉄5800系電車の項目をおカタく解説しています。

近鉄5800系電車(きんてつ5800けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道で運用されている通勤形電車の1形式。

登場の経緯[編集]

近鉄大阪線名古屋線では古くから2610系などのクロスシート通勤車が運用されてきたが、あまりの狭さに不評を買い大半がロングシート化された。

一方、昭和末期には5200系が登場したが、逆に3ドア転換クロスシートがラッシュ時に向かないという欠点も洗い出された。そこでラッシュ時と閑散時の両方に対応できるように近鉄と近畿車輛が共同で2610系のX21編成を対象にL/Cカーに改造。すると好評であったため、追加で2610系と2800系の計5編成が改造され、さらにL/Cカーの量産車として本系列が登場することになった。

本系列はまず奈良線京都線系統に投入され、その後大阪線、名古屋線に投入されたという経緯を持つ。

構造[編集]

詳細は「近鉄1430系電車#構造」を参照

基本的な構造は1437系に準じ、アルミ車体に三菱製のGTO-VVVFを搭載する。台車はボルスタレス台車のKD-306系とした。ディスクブレーキは当初から1枚で、滑走検知装置は持たない。ただし、サ5501・02・11・13とモ5401・02・11・13に備え付けの簡易運転台については電気指令式ブレーキを採用して電磁直通ブレーキとの読替装置を持つ。本系列の日立GTO版については登場しなかった。

車内についてはロングシートとクロスシートを切り替えられるデュアルシートを採用。さらに大阪線・名古屋線向けのサ5710形には和式トイレを備える。なお、増備の過程で大阪線にサ5700形が配属されたことがあったが、後の増備によりサ5710形と差し替えられている。

なお、本系列は6連7本と4連1本の計46両が製造されたところで増備は終了し、1400系から続いてきたデザインや1420系から続いてきたGTO-VVVF通勤車は言わずもがな、1972年から続いてきた近鉄標準型運転台やモ1450形から続いてきた電磁直通ブレーキの車両も本系列が最後となった。

改造[編集]

全車共通[編集]

以下の改造は5800系に限らずすべてのVVVF車に対して行われた。

  • Tc車に車椅子スペースと手すりを設置
  • 連結面に転落防止幌を設置
  • 床材や座席モケットを交換[1]

なお、L/Cカーであることから2610系改造車などに対して未施工のL/Cマークの撤去も行われた。

ドアチャイム・車内案内表示器の設置[編集]

バリアフリー対応工事としてドアチャイムと車内案内表示器を全車に設置している。LCD式車内案内表示器が設置された車両は施工時期の早さから存在しない。

阪神直通対応改造[編集]

奈良線所属の5本に対して阪神用ATSの取り付けや電気連結器の2段化などの改造が行われた。


なお、8810系1201系などで行われた前照灯のLED化や1020系の一部に対して行われたシングルアームパンタグラフへの交換、および1253系の一部に行われた行先表示幕のフルカラーLED化は全編成に対して未施工である他、近鉄の他のVVVF通勤車と同様に素子のIGBT化やSiC化が行われた編成は皆無である。当然のごとく、ブレーキ方式を電気指令式ブレーキに改造された車両も存在せず、全車が電磁直通ブレーキのままとなっている[2]。また、本系列の車体更新入場は2023年8月時点で皆無である。

運用[編集]

奈良線にはDH01 - 05編成の6連5本が配属され、奈良線・難波線阪神線の直通運用を中心に、京都線・橿原線天理線の運用にも就き、事実上6連の1026系と共通運用である。

大阪線にはDF11編成およびDF13編成の6連2本が配属され、5820系と共通運用が組まれているが、予備車がないことから検査代走時には2610系明星車+高安の2連が充当される。

名古屋線にはDG12編成の4連1本のみが配属され、2610系のX21、X26、X27編成および2800系のAX11、AX13、AX15、AX17編成、そして1400系のFC07編成と1200系FC92編成FC93編成とともに共通運用が組まれており、3ドアの5200系との運用は分けられている。なお、この編成の登場以降2022年現在に至るまで名古屋線には純然たる新車の投入が無い。

ラッピング[編集]

以下の編成に以下のラッピングが施されていたが、いずれも元に戻されたか、戻されたか不明の状態となっている。

  • ドラえもん (DH01編成)
  • 帝塚山大学 (同)
  • トヨタ・ポルテ (DH02編成)
  • シミズメガネ (同)
  • 田辺製薬「アスパラドリンク」 (DH04編成)
  • solaha (同)
  • KIPSカード (同・終了しているかは不明)
  • 第27回全国都市緑化ならフェアPR列車 (DF11編成)
  • 首都機能移転PR列車 (DG12編成)
  • 上本町YUFURA (DF13編成)
  • 海遊館30周年記念(DH03編成)

2022年現在はDH02編成にデボ1型を模したラッピングが、DH01に志摩スペイン村のラッピングが施されている。

編成一覧[編集]

奈良線・京都線[編集]

  • DH01編成
  • DH02編成
  • DH03編成
  • DH04編成
  • DH05編成

大阪線[編集]

  • DF11編成
  • DF13編成

名古屋線[編集]

  • DG12編成

今後[編集]

車齢は25年を迎えるが、管内に残る1620系以前の車両を差し置いての廃車は考えられず、今後の末永い活躍が期待される。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 本系列の場合はヘッドレストの交換も行われたが、足踏みペダルはそのままである。
  2. 同時期登場の小田急1000形電車はVVVFのSiC化やブレーキの電気指令化がリニューアル時に行われ、未施工車は順次廃車されている。