近鉄3200系電車
近鉄3200系電車(きんてつ3200けいでんしゃ)は、近鉄奈良線・京都線系統に所属する近畿日本鉄道の通勤車の1形式のこと。電算記号はKLの0番台。
概要[編集]
烏丸線乗り入れおよび800系の一部置き換えを目的に1986年の4連3本を皮切りに1988年までに合計42両が登場した。本系列は1420系で試験されていたVVVFインバータ制御の量産車として登場しているが、初のアルミ車体を採用するなど、以降の近鉄通勤車の構造の基礎となったことが特徴である。
構造[編集]
全長20.5m、最大幅2800mmの拡幅車体を採用し、烏丸線への乗り入れに対応した。材質は8000系の8069Fで試験されていたアルミ合金を本格採用している。前面は烏丸線10系に類似した非対称デザインを採用した。
塗色は現在の近鉄の一般通勤車の礎ともなった赤と白のツートンカラーを採用し、後の増備車や既存車両にも波及した。
走行機器は1420系で採用されたWNドライブのMB-5014A主電動機とGTO-VVVFの組み合わせだが、増結中間車と最終増備車については主電動機が1422系に準じたMB-5023系に変更された。
ブレーキ方式は3000系以来の電気指令式ブレーキを採用し、非常時に備えてブレーキ読替装置を持つが、併結は考慮しないため電気連結器は持たない。台車はいずれの主電動機を搭載する車両も付随車も、シュリーレン式の空気バネ台車であるKD-93系で統一されている。
車内はロングシートで、トイレは備えないが、以降1620系までの通勤車の標準デザインとなったほか、近鉄2610系電車X11編成のロングシート化でもこのデザインが採用された。
改造[編集]
全車共通[編集]
以下の改造は3200系に限らずほぼすべてのVVVF車に対して行われた。
- 車体側面のVVVFマークを撤去[1]
- 連結面に転落防止幌を設置
- 優先席付近のつり革を交換
車体更新[編集]
2007年から車体更新が行われ、各車両に車椅子スペースの設置やドアチャイム・車内案内表示器の設置も施行され、2009年までに全車に対して完了した。
運用[編集]
3220系と共通運用を組み、主に烏丸線と京都線を中心に、難波線、奈良線、橿原線、天理線で単独運用を行う。なお、回送運用で桜川駅まで乗り入れるが、それ以西については阪神型のATSを持たないため乗り入れることはない。
登場からすでに35年前後を経過するが、置き換えの噂はなく、かつそれより古い10系を差し置いての置き換え廃車は到底考えられない。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ ステッカー式でない1420系には未施工。L/Cカーの5800系にはVVVFマーク自体が設置されなかった。