近鉄9000系電車
近鉄9000系電車(きんてつ9000けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道の所有する通勤型電車の1形式。
登場の経緯[編集]
輸送力のやや小さい奈良線の初期高性能車820系の一部置き換えのために1983年から84年にかけて2連8本が落成した。これにより820系の一部は伊賀線に転属し860系となり、従来の吊り掛け駆動方式の旧型車を淘汰した。
構造[編集]
21m級の車体に両開き扉を片側4箇所備えた全鋼製拡幅角屋根車体は8810系に準ずる。全車が当初より側面行先表示器を備える。
車内はロングシートで、トイレやドアチャイムは備えない。
主電動機や制御装置は端子電圧750Vで出力160kWの複巻電動機&界磁チョッパ制御の組み合わせで、駆動方式はWNドライブとなっている。ただし、1201系と異なり制御装置は日立製とされた。
ブレーキ方式は他車との併結を考慮して回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキとし、抑速ブレーキも備える。なお、形式は8810系とは異なりHSC-Rとされた。
台車は基本的に1400系と同等品のKD-88系列とされている。
改造[編集]
車体更新[編集]
2002年から2003年にかけて車椅子スペースの設置をはじめとした車体更新が全車に対して施された。後に一部車両の座席モケットの交換もなされている。
ワンマン化[編集]
名古屋線転属後の2006年から2007年にかけて5本が運賃箱の設置をはじめとしたワンマン化改造が行われた。
B更新[編集]
2020年頃にFW03編成が座席モケットの交換をはじめとしたB更新を行い出場。前照灯のLED化は見送られたが以降も他編成に波及しつつある。
なお、他の近鉄の界磁チョッパ制御車両と同様にブレーキの電気指令式化やVVVF化が行われた車両は皆無である。
転属[編集]
2003年以降、9020系の増備に伴い本系列は名古屋線に転属することになり、方向転換や電算記号の変更(FE→FW)などの改造を受けて2006年までに東花園から全車の転属が完了し、1810系などの従来車の一部を淘汰した。当初はFW01 - 03が富吉、FW04 - 08が明星の配置だったが、一度ワンマン車を明星、それ以外(FW03, 04, 06)を富吉の配置に変更し、最終的にすべて富吉に集結した。
運用[編集]
2022年現在、廃車はなくすべて富吉に配置され、普通列車から急行の増結用まで、名古屋線の幅広い運用を担う。また、ワンマン車については志摩線の運用にも入ることがある。
なお、製造から40年を経過しようとしているが、名古屋線に大量に残る2000系以前の3連を差し置いての廃車は考えられない。
編成一覧[編集]
2024年10月時点でのデータ。全車がB更新施工車。○はワンマン対応。
- FW01編成○
- FW02編成○
- FW03編成
- FW04編成
- FW05編成○
- FW06編成
- FW07編成○
- FW08編成○