近鉄1422系電車

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近鉄1422系電車(きんてつ1422けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道で運用されている通勤形電車の1形式。本項では1430系についても解説する。1620系については近鉄1620系電車を参照されたい。

概要[編集]

1984年にVVVF試作車1420系(初代1250系、のちの1251系)が登場したが、その量産形式の2両固定編成として1220系とともに、2代目1250系として1987年に登場した。1220系では日立製のVVVFを搭載するが、1250系では三菱製のVVVFを採用した。

その後、2代目1250系は1233系列の増備により1422系に改番され、増備車として以下の形式が登場している。純粋な1422系としてはVW22 - 27編成の6本の所帯となった。

  • 1430系 - 全線共通車両として投入。VW31 - 34編成が該当。
  • 1435系 - 1430系をベースに補助電源装置をMGからSIVに変更したもの。VW35編成のみが該当。
  • 1436系 - 台車をボルスタレス台車化し、滑走検知装置を搭載したもの。VW36編成のみが該当。
  • 1437系 - 上記の1436系のT車のディスクブレーキを2枚にしたもの。滑走検知装置は省略。VW37 - 45編成が該当。ただし、VW45編成のみ5800系に準拠して当初からディスクブレーキ1枚で登場。

さらには1437系のVW37, 38, 40編成が1440系に改造されている。

構造[編集]

1420系の前面をベースとし、車体幅を2800mmに広げた21m4ドアアルミ車体を備える。

主電動機は1422系がMB-5023A、1430系列がMB-5035系で、いずれも定格出力165kWの三相誘導電動機となっている。なお、主電動機の形式が異なることから歯車比も異なり、前者は101:16=6.31, 後者は86:15=5.73としている。

制御装置は三菱製のGTOサイリスタ使用のVVVFで、1422系は初期型のものを、1430系列は後期型のものを採用する。後期型については東京都交通局5300形電車の低音車に近い音を発する。後に1422系のものもソフト変更により1430系列と同様の音を発するようになった。また、このVVVFは1620系以外に5200系5800系にも採用されている。

ブレーキ方式は従来車との併結を考慮して回生ブレーキ併用の電磁直通ブレーキ(HSC-R)としたが、大阪線の青山峠や奈良線の生駒峠を越えるべく抑速ブレーキを備える。

台車は1422系と1430系、1435系がシュリーレン式のダイレクトマウント空気バネ台車のKD-95系あるいはKD-96系、1436系以降はボルスタレス台車のKD-306系とした。

車内はロングシートで、トイレは備えない。

改造[編集]

全車共通[編集]

以下の改造は1430系列に限らずほぼすべてのVVVF車に対して行われた。

  • 車体側面のVVVFマークを撤去[1]
  • Tc車に車椅子スペースと手すりを設置
  • 連結面に転落防止幌を設置
  • 床材や座席モケットを交換

1440系[編集]

名古屋線・山田線用ワンマン車として1437系VW37, 38, 40編成に対して運賃箱や車外スピーカーの設置などの改造が施され、1440系に形式変更された。

1437系のディスクブレーキ1枚化[編集]

ディスクブレーキ1軸2枚の仕様で登場したVW45編成以外の1437系については時期不詳ではあるものの1枚に改められているが、滑走検知装置が未搭載のためか1436系への形式変更は行われていない。

ドアチャイム・車内案内表示器の設置[編集]

1233系VC42編成に搭載されたLCDだが、1430系も同じ仕様である。なお、本系列ではこの表示を見られる車両は今のところ存在しない。

バリアフリー対応工事としてドアチャイムと車内案内表示器を設置している。2016年までの施工車には3色LEDの車内案内表示器となったが、2018年以降の施工車には近鉄初のLCD式車内案内表示器が設置された。

1435系、1437系と1440系の全車に対しては施工済み。1430系はVW32編成に対してのみ施工されている。1422系、1436系には未施工である。

うちVW41編成が初のLCD搭載車となったが、1233系とは異なり名古屋線所属車にLCD搭載車は存在しない。

後述の車体更新においては、VW25編成以降の編成で横長のLCDが設置され、後の再入場でVW22・23編成も設置された。

パンタグラフのシングルアーム化[編集]

2022年に入り1436系のVW36編成と1440系のVW37編成がパンタグラフをシングルアーム式のものに交換された。

車体更新[編集]

2023年9月、1422系のVW22編成へ車体更新が施され高安を出場したが、1620系VG23編成などと同様に機器未更新のままとなっている。VW23編成までは車内案内表示器、ドアチャイムの設置も一旦は見送られ、後の設置となったが、VW25編成以降はいずれも設置されて出場しており、本系列からドアチャイム、LCDを撤去された車両は存在しない。

機器更新[編集]

2024年3月、1437系のVW39編成が制御装置をSiC適用のものに換装され試運転を行った。23000系の磁励音と類似しているため、メーカーは三菱製のものと推定される。なお、車体更新と同時施工された事例は2024年時点において存在しない。

運用[編集]

2021年現在、廃車は1両も出ておらず合計で2両編成21本の42両が在籍し、1430系2本と1440系全車は名古屋線、それ以外は大阪線で運用される。本系列は奈良線・京都線に配置されたことはない。特に大阪線の狭義の1430系2本は1日おきに代わり番こで信貴線の運用に就く。

なお、製造から古いもので35年を経過しようとしているが、大阪線に大量に残り、2025年以降置き換え予定のある2410系を差し置いての廃車は考えられない。

編成一覧[編集]

2024年4月現在のデータ。1430系・1440系以外はすべて高安所属の大阪線車両。1440系はすべて明星所属の名古屋線車両。名古屋線の1430系は富吉所属。○は車体更新車、△は機器更新車、□はシングルアームパンタ搭載車。☆は車内案内表示器未設置。

1422系
  • VW22編成○
  • VW23編成○
  • VW24編成○
  • VW25編成○
  • VW26編成○
  • VW27編成○
大阪線1430系
  • VW31編成☆
  • VW32編成
1435系
  • VW35編成
1436系
  • VW36編成□☆
1437系
  • VW39編成△
  • VW41編成
  • VW42編成
  • VW43編成
  • VW44編成
  • VW45編成
名古屋線1430系
  • VW33編成○
  • VW34編成☆
1440系
  • VW37編成□
  • VW38編成
  • VW40編成

車両番号[編集]

  • 1422 - 45:Mc車。うち28 - 30は欠番。
  • 1522 - 45:Tc車。うち28 - 30は欠番。

試験[編集]

1991年5月16日から6月8日にかけてVW33編成のク1533が21000系UB02編成と組んでボルスタレス台車の試験に供された。

ラッピング[編集]

過去には以下の編成にラッピングが施されていたが、いずれも元に戻された。

  • VW33編成(美し国おこし・三重、2011年12月/モ1433は2012年10月 - 2013年10月)

2019年7月からは志摩線開業90周年を記念して1440系VW38編成に対して三重交通の車両の復刻塗装が施されている。

余談[編集]

1422系についてだが、当初の正式な形式名は2代目1250系であるものの、1252Fから始まっていることから初代1252系[2]とする文献もある。

近い世代の車両[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ステッカー式でない1420系には未施工。L/Cカーの5800系にはVVVFマーク自体が設置されなかった。
  2. 初代としたのは2代目を現在の1252系と扱っているため。