近鉄8800系電車
近鉄8800系電車(きんてつ8800けいでんしゃ)は、近鉄奈良線系統にて運転される近畿日本鉄道の鉄道車両の1形式。
概要[編集]
既存の抵抗制御車両の省エネ化改造のモデルとして、8600系をベースに4連2本が1980年に製造された。
基本的な構造は21m級4扉全鋼製拡幅車体に、MB-3064AC主電動機・当初から冷房付きと、8600系に準じているが、制御方式が1C8Mの界磁位相制御となっている点と、肩部分が角ばっている点が異なる。この関係で1C8Mとされ、ブレーキ方式もHSC-R回生併用電磁直通ブレーキとなった。台車は新規設計のKD-86シュリーレン式ダイレクトマウント空気ばね台車を採用している。なお、1959年から引き継がれてきた丸屋根車体も近鉄全体を通して本系列が最後となり、1400系・8810系からは角屋根仕様に移行した。
本系列の界磁位相制御は一定の好成績を収めたため、1000系・920系の全車、および8600系以前の8000系列の一部が追随して界磁位相制御化改造を受けたが、大阪線・名古屋線向けの155kW級主電動機搭載車(1810系や2610系など)には全くもって波及しなかった。
改造[編集]
1999年に車体更新工事が行われ、内外装の修繕や側面方向幕の設置が施された。2019年から2020年にはB更新が行われ、ク8900形の偶数車に車椅子スペースの設置が施されている。
運用[編集]
2022年現在、2本8両が東花園検車区に所属し、主に単独で京都線・橿原線・天理線の各停運用の他、他形式と併結して6 - 10連で京都線急行や奈良線の運用に就く。なお、ワンマン化改造は行われていないため生駒線では代走時以外運用されない。
2024年以降、新型車両の投入が計画されているが、主電動機が大阪線・名古屋線仕様と異なること、かつより古い8000・8400系がまとまった数存在することから少数派でありながら数年以内の廃車や転属は考えられない。