西日本旅客鉄道

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西日本旅客鉄道株式会社(にしにほんりょかくてつどう、英: West Japan Railway Company、JR西日本)とは、1987年4月1日国鉄から鉄道事業・船舶事業を継承した旅客鉄道会社の一つ。英語略称はJR West

概要[編集]

国鉄分割民営化の際、新潟県の大半を除く北陸3県・近畿(三重県の伊勢・志摩地方除く)・中国地方の在来線及び山陽新幹線を継承した旅客鉄道会社。路線延長や社員数はJR東日本に次いで多い。

JR東日本同様近畿地方における在来線の通勤輸送に経営の主幹を置いているが、東日本における関東地方とは異なって、同地域は元来近畿日本鉄道阪急電鉄阪神電気鉄道山陽電気鉄道京阪電気鉄道南海電気鉄道広島電鉄など並行競合私鉄を多数擁しており、それ故私鉄王国とも呼ばれる所以であった。その為、初期より広島地区などを除き、アーバンネットワークと称して、221系などの新型近郊電車を導入したり複々線を最大限に活用することによって高速化を図り、私鉄王国の牙城を崩していった。そういった経緯から現在も高速化には積極的で国鉄時代と比べて所要時間が短縮されるなどしている。

列車増発・スピードアップに伴い、安全分野への投資が必ずしも十分なものでなかったとの指摘もあり、1991年信楽高原鐵道列車衝突事故2002年東海道線救急隊員死傷事故2005年JR福知山線脱線事故2006年伯備線保線作業員死傷事故など、有責の重大事故を引き起こした原因の一つと指摘されている。また、イジメパワハラと言われる日勤教育など異様な労務環境がJR福知山線脱線事故の一因と言われ、同社では今後の経営・労使関係のあり方などを再検討している。

東海道新幹線を保有する東海旅客鉄道(JR東海)や莫大かつ安定した収入源である山手線をはじめとする首都圏の通勤路線を抱える東日本旅客鉄道(JR東日本)と比べて、黒字経営ではあるが経営基盤が弱いとされる。これはJR東日本のように国鉄時代からの優良資産や国鉄関連株を所有しておらず、新幹線鉄道保有機構の解散によって救済策を失ったことで、収益のほとんどを鉄道事業で支えなければならないという苦しい経営事情がある。現状では、経営基盤と収益性の観点から、山陽新幹線や北陸本線特急と京阪神近郊の路線を中心に設備投資しており、京阪神地区の路線と地方路線ではかなり差別化している。特に、北陸三県や中国地方に多く抱えているローカル線が経営の足を引っ張り、これら赤字ローカル線の処分・存続の是非などが現在問題になっている。

ローカル線における月一回の昼間時保守運休においては、バス代行などによる代替輸送も行われなかったことからかなりの批判があった[1]。現状では保守運休のあり方が見直されており、2011年3月のダイヤ改正以降は昼間時保守運休となる区間を大幅に減らしている。また保守運休する場合においては、ジャンボタクシーなどによる代替輸送を行うことになっている[2]。ただし、実際には列車本数削減により特に昼間時の運転を間引くことで、保守作業の時間を確保している区間も多い。

早くからの女性乗務員の採用や、サービス面では自宅やオフィスのパソコンや携帯電話などから新幹線・在来線の特急列車の指定席予約ができる「5489サービス」や「エクスプレス予約」を開始した。

JR発足時に制定された経営理念があったが、JR福知山線脱線事故を期にもう一度原点に戻る意味と社員一人ひとりが互いに尊重しあえる企業を目指す意味を込めて「企業理念」「安全憲章」「安全訓」が2005年12月1日に制定された。なお制定にあたっては、全社員から大規模なアンケートが行われた。

着席サービスはJR旅客鉄道6社の中でも消極的である。一時期新快速にグリーン車や指定席車を導入する案はあったが立ち消えになっている。中でも1995年発表の新快速のグリーン車は朝日新聞大阪版で記事になっている。ただしかつてやまとじライナーやはんわライナーなどの通勤ライナーはあった。その一方でらくラクはりまなど20世紀には無かった通勤特急の拡大が行われており、2019年には新快速にAシートが導入されたがごく一部に過ぎない。

事業組織[編集]

  • 近畿統括本部
  • 山陽新幹線統括本部
  • 中国統括本部
  • 金沢支社

路線一覧[編集]

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他社との境界駅[編集]

在来線亀山駅を除いて自社管理。新幹線は博多駅が自社管理で新大阪駅JR東海管理になっている。

新幹線[編集]

JR東日本

上越妙高駅 (北陸新幹線)

JR東海

新大阪駅 (東海道山陽新幹線)

JR九州

博多駅 (山陽九州新幹線)

在来線[編集]

JR東日本

南小谷駅 (直江津駅)

JR東海

米原駅亀山駅新宮駅猪谷駅

JR四国

児島駅

JR九州

下関駅

不祥事[編集]

定期乗車券の不正発行および払い戻しによる現金の着服[編集]

天満駅で勤務する社員が2010年9月から2012年1月まで、定期乗車券を不正に再発行して払戻しを行い、約2,400万円を着服する事件が発生。その後の全社的な調査で、五日市駅明石駅新三田駅においても定期乗車券の不正発行と払い戻しが行われていたことが判明、不正と知りながら関わっていた社員は全員即日懲戒解雇の処分が行われたほか、役員や管理者などの社員も減給・降格処分が下された。特に明石駅の社員による不正行為では、複数の社員が関与し、着服額が約8,600万円にも上り、きわめて悪質であることから、告訴されている。

制服[編集]

現行の様式は、2007年(平成19年)4月1日より使用開始した(技術系制服は、同年10月1日から)。

運輸系の制服は合服、盛夏服、冬服の3種類があり、それぞれにシングルタイプ3ツボタンの一般用とダブルの管理職用の2種類がある。ネクタイは4種類存在し、紺色2本、金色・赤色・青色各1本、計5種類になっている。その着用期間、ネクタイのタイプは現業機関ごとに定めている。

技術系制服は2種類あり、工務系統と検修系統とに別れている。社章であるJRマークが入っていないのと工務系統は屋外での作業に遠方や夜間でも目立つ様に裄丈にオレンジ色のラインが入っているのに対し、検修系統は屋内での作業が中心となることから裄丈にコーポレートカラーである青色のラインが入っている。帽章に至っては動輪に翼というデザインである。運輸系・間接部門の名札はよくあるアクリル板そのものを差したりピン留めするタイプ、技術系の名札は布地に加工したものをマジックテープで留める方式。職種に関しては原則として一般社員は「○○駅」といった所属箇所のみ係長・助役以上の管理職は所属箇所の後に「係長(副駅長・助役・駅長)」のみ書かれ、ライセンスが必要な車掌は所属箇所と赤色のラインに白抜きで車掌、同じく運転士は所属箇所と青色のラインに白抜きで運転士と記載されている。以前は、運転士・車掌共通で乗務員室に所属箇所と職種、フルネーム(姓・名)が書かれた名札も掲載していたが、個人情報保護の観点から2007年3月18日(金沢支社管内では2006年10月21日)のダイヤ改正より「JR西日本・運転士(車掌)○○(姓)」のみに変更された(駅窓口においても同様に扱われている)。なお、協力会社であるJR西日本交通サービスジェイアール西日本メンテック西日本ジェイアールバス各社のうち、運輸部門に携わる社員は類似した制服を着用しているが、会社名と職名に関わる部分は省略しているか、各社独自のものを着用している。

関連企業[編集]

脚注[編集]

  1. 一時期は特急の運転区間でもある山陰本線城崎駅(当時) - 浜坂駅間においても保守運休がなされた。保守運休当日は香住駅発着の特急「はまかぜ」が城崎駅(当時)発着とされたが、周知が徹底しておらず旅行代理店による誤発券が相次いだこともあり、当該区間での保守運休は早期に取り止めている。
  2. 交通新聞社JTBパブリッシングなどが発行する時刻表を参照。また、これまで西日本旅客鉄道のウェブサイトには昼間時保守運休の対象となる路線・区間とその実施日・運休列車を 告知するページ があったが、現在は抹消されている。

関連項目[編集]

日本の主な鉄道事業者
JR
JR旅客 JR北海道 - JR東日本 - JR東海 - JR西日本 - JR四国 - JR九州
貨物 JR貨物
大手私鉄
関東地方 東武鉄道 (東武) - 京成電鉄 (京成) - 西武鉄道 (西武) - 京王電鉄 (京王) - 小田急電鉄 (小田急) - 東急電鉄 (東急) - 京浜急行電鉄 (京急) - 東京地下鉄 (東京メトロ) - 相模鉄道 (相鉄)
中部地方 名古屋鉄道 (名鉄)
近畿地方 近畿日本鉄道 (近鉄) - 京阪電気鉄道 (京阪) - 阪急電鉄 (阪急) - 阪神電気鉄道 (阪神) - 南海電気鉄道 (南海) - 大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro)
九州地方 西日本鉄道 (西鉄)
準大手私鉄
関東地方 新京成電鉄 (新京成)
近畿地方 北大阪急行電鉄 (北急) - 泉北高速鉄道 (泉北高速) - 山陽電気鉄道 (山陽) - 神戸高速鉄道
公営鉄道
東北・北海道地方 札幌市営地下鉄 - 札幌市電 - 函館市電 - 仙台市営地下鉄
関東地方 都営地下鉄 - 東京都電車 - 横浜市営地下鉄
中部地方 名古屋市営地下鉄
近畿地方 京都市営地下鉄 - 神戸市営地下鉄
九州地方 福岡市地下鉄 - 熊本市電 - 鹿児島市電


親会社

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運輸

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商事・物流

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物販・飲食

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関連項目

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