近鉄1010系電車
近鉄1010系電車(きんてつ1010けいでんしゃ)は、近鉄名古屋線系統に所属する近畿日本鉄道の鉄道車両の1形式。電算記号はTの10番台。本項では、その前身となった920系についても記述する。
概要[編集]
製造されたての頃の形式は920系だったが後に改番。現在の番号となる。(151系とおんなじ感じ。)
1970年代に入ると京都線系統の昇圧後に残った吊り掛け駆動方式の小型車600系の置き換えが急務となっていたが、機器類についてはまだ使用可能な状態にあった。そこで当時絶賛増備中の8400系に準じた車体にこれらの機器を組み合わせることで1972年より3連5本が920系として登場した。
車体は8400系と同様の21m4ドア全鋼製車体とされ、貫通扉は広幅、ロングシート、非冷房の仕様となっていた。
一方、主要機器は600系からの発生品で、MB-213AF主電動機に吊り掛け駆動方式の組み合わせで、制御装置は三菱電機製電動カム軸式ABFを採用している。
台車はTc車については廃車発生品の金属バネ台車だが、電動車についてはシュリーレン式かつ、吊り掛けとWNの両方のモーターに対応した空気バネ台車KD-74系を採用している。ブレーキ方式は当初からHSCだが、抑速ブレーキは持たなかった。
改造[編集]
冷房化と高性能化[編集]
1982年の間に全車に対して冷房化、および10100系の廃車発生品の125kWモーター&8000系の改造発生品のMMCを利用して高性能化、および回生ブレーキの取り付けが行われたが、抑速ブレーキの搭載は見送られた。
名古屋線転属改造[編集]
昭和末期になると京都線での3連運用が減少したことから1987年から1989年にかけて方向転換や連結器高さの変更などがなされ名古屋線に転属し、性能が同一の1000系の続きとして1010系となった。
以降、1992年に1233系や1430系が名古屋線に来るまでは京都線由来の拡幅車体を備えた唯一の名古屋線車両となっていた。
車体更新とTc車の台車交換[編集]
1992年から1993年にかけて車体更新が全車になされ、後にTc車の台車が吊り掛け車の発生品から8000系の発生品である金属バネ台車KD-51系に交換された。
B更新とワンマン化[編集]
2006年に入るとB更新が施工された車両も現れ、施工車には鈴鹿線向けのワンマン化改造も行われた。同時にTc車の台車も空気ばね式のKD-64系に交換されている。
事故と廃車[編集]
2008年夏に入り、T12編成のモ1062が、鈴鹿線三日市駅付近走行中に床下から発火。修理後2011年冬にも同じ編成が全く同じ区間で発煙したため、T12編成は編成解体となり、B更新未施工だったT14編成の中間車と差し替えてT16編成(1016F)として2013年末に運用復帰した。この編成もワンマン運転には対応している。
一方、編成から外れた3両は長らく休車となるものの、そのうち先頭車2両は2013年に廃車解体。モ1062のみは電装解除のうえで奈良線に里帰りし、サ8177として8600系の一員となり、8000系爆破被災車の改造車であったサ8167を淘汰した。なお、サ8177は2024年9月にX67編成自体の廃車で完全に脱落している。
運用の変遷[編集]
京都線時代は抑速ブレーキを持たないことから定期運用で奈良線大和西大寺以西には入らず、終始一貫して3連単独で京都線系統で運用され続けた。
2022年現在は廃車された2両と形式変更された1両を除く3連4本の12両が明星検車区に所属し、主に名古屋線の普通や準急で運用される。ワンマン車は湯の山線や鈴鹿線の運用にも入る。
2024年以降、新型車両への置き換え計画があるが、他路線からの2430系・1253系などの転用により新車が来ることなく代替廃車される可能性も否定できず、今後に要注目である。特にT11編成は名古屋線唯一の金属バネ台車車両があるため、置き換えが急務の可能性が極めて高い。
編成一覧[編集]
2022年6月現在のデータ。☆は非ワンマンかつB更新未施工。
- T11編成☆
- T13編成
- T15編成
- T16編成 - 中間車のみB更新未施工。元T12編成とT14編成。
近い世代の車両[編集]
- 近鉄2800系電車 - 大阪線用
- 近鉄8600系電車 - 奈良線用
- 近鉄18400系電車 - 特急用
- 国鉄113系電車 - 国鉄近郊車
- 国鉄103系電車 - 国鉄通勤車
関連項目[編集]
- 近鉄9000系電車 - 同じ京都線規格をもつ名古屋線車両。
- 近鉄18000系電車 - 当初は同じ主電動機を搭載。こちらは台車の構造上高性能化できず廃車。
脚注[編集]