松江市
松江市(まつえし)は、島根県の東部(出雲地方)に位置する市である。島根県の県庁所在地である。「水の都」と呼ばれ、西に宍道湖、東に中海を控える山陰第一の都市である。
概要[編集]
明治23年(1890年)に市制を施行したことにより、松江市が成立する。この松江市は島根県の東部に位置し、西に宍道湖、東に中海を控える県庁所在地であり、中心市街は宍道湖と中海に挟まれた松江平野の宍道湖畔にあり、市街地は宍道湖と中海を結んで流れる大橋川によって南北に分けられている。
歴史的にみると、縄文時代から人間の居住が確認されている。この松江市に現在も残る貝塚や夫手遺跡、弥生時代の法起遺跡などからも明らかである。古代になると出雲国府や出雲国分寺なども置かれて古代出雲文化圏の中心地として栄えた。しかし出雲の中心地は月山富田城が置かれた関係から広瀬町に移り、都市としての繁栄は江戸時代まで大幅に遅れることになる。
慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いで西軍の総大将となった毛利輝元は徳川家康によって長州藩36万石に大幅減封の上に移封となり、輝元の従弟で出雲を領していた吉川広家もそこを去ることになる。代わって出雲に入封したのは関ヶ原で家康に協力して功績を立てた堀尾吉晴・忠氏父子であり、ここに松江藩が成立する。堀尾吉晴は慶長16年(1611年)に亀田山に松江城を築いて城下町を整備し、以後はここが出雲の中心地となる。しかし吉晴は同年のうちに死去し、孫の忠晴も継嗣無く寛永10年(1633年)に死去して堀尾氏は3代で絶えた。
次に京極氏が入るが、これも継嗣が無かったために1代で終わった。次に入ったのは徳川氏の一族である越前松平氏の一族である。松平氏は10代にわたって18万6000石を領して松江の城下町を中心にして出雲を支配し、松江は政治・経済の中心として栄えた。松平氏の初代藩主である松平直政は灌漑・治水工事を行ない、松江の都市整備を行なう。この松平氏で著名な藩主が第7代藩主の松平治郷で、彼は不昧(ふまい)の号で有名な茶人である。また佐陀川開削・浜山植林・財政改革などを行なって松江の発展に大きく寄与し、さらに文化人として松江の文化や風流、美術、工芸に大きな影響を与えた。加えて、強豪大関の雷電為右衛門をお抱えとして士分に取り立てたことでも知られる。
明治時代に入り、廃藩置県で松江県を改称した島根県の県庁が置かれた。明治23年(1890年)に市制を施行して松江市が誕生した。JR山陰本線や一畑電鉄、民営・市営バス網の整備が行なわれて交通が発展する一方、工業化はほとんど進むことなく、このために周辺市町村との消費・流通・文化の中心となっていく地方行政都市・消費都市としての性格を強めてゆくことになる。
昭和時代に入り、昭和9年(1934年)に八束郡津田村を編入する。昭和14年(1939年)に八束郡川津村と八束郡朝酌村を編入する。昭和23年(1948年)に八束郡法吉村を編入する。昭和25年(1950年)に八束郡乃木村・竹矢村を編入する。昭和26年(1951年)に八束郡忌部村・大庭村の一部を編入する。昭和28年(1953年)に八束郡持田村・生馬村を編入する。昭和30年(1955年)に八束郡本庄村・古江村を編入する。昭和34年(1959年)に市域の一部を東出雲町に編入する。昭和35年(1960年)に八束郡秋鹿村・大野村を編入を編入する。
昭和26年(1951年)に国際文化観光都市に指定された。昭和41年(1966年)には中海地区新産業都市の指定を受け、都市機能の充実を図り、情報化時代における中核都市化を図っている。
太平洋戦争で戦災に遭わなかった市街地はかつての城下町としての面影を市内の至る所に色濃くとどめており、重要文化財の指定を受けている松江城天守閣や国宝指定を受けている神魂神社本殿をはじめとして菅田菴・小泉八雲旧宅・松江武家屋敷などの文化財・古社寺・史跡などが多く存在し、市内に縦横に巡らされた堀川は水の都と称される景観を作り出し、宍道湖や中海の景観に加えて山陰地方随一の文化観光都市として君臨している。
松江城付近には県庁をはじめとする官公庁街となり、南北に分断された市街地を結ぶ松江大橋と新大橋の両端に商店街が広がっている。大橋川畔の御手船場一帯に造船・機械工業などの中小工場が密集しているが、その東の中海に面する馬潟に島根県の手で約27万平方メートルの工場団地が造成され、50数社が操業している。伝統工芸としては楽山焼・メノウ細工・八雲塗などがある。市域の東西を湖に挟まれ、小規模ながら漁業や水田耕作を主とする農業も行なわれている。
平成時代に入り、平成17年(2005年)3月31日、松江市・八束郡鹿島町・島根町・美保関町・八雲村・玉湯町・宍道町・八束町の1市6町1村が新設合併され、旧松江市を廃して新松江市となる。これによって鹿島町にあった島根原子力発電所が松江市を所在地にすることになって、日本で初めて県庁所在地に原発が立地することになった。8月に松江市立病院が市街中心部の灘町から市街地南端の乃白町へ新築移転する。平成23年(2011年)8月1日、八束郡東出雲町を編入。これらの編入で八束郡が消滅した。
平成24年(2012年)4月1日、特例市に指定。平成30年(2018年)4月1日には移行特例で中核市に移行した。
道路は、国道9号線が通じている。
地理[編集]
海上で、米子市、大山町、隠岐の島町、海士町、知夫村とも接している。
松江市の見どころ[編集]
- 松江城(国の史跡)
- 島根県立博物館
- 興雲閣(松江郷土館)
- 松江武家屋敷
- 明々庵
- 小泉八雲旧居(国の史跡)
- 小泉八雲記念館
- 田部美術館
- 普門院
- 月照寺
- 天倫寺
- 菅田菴(国の史跡・国の名勝・国の重要文化財)
- 金崎古墳群(国の史跡)
- 丹華庵古墳(国の史跡)
- 成相寺
- 松江大橋
- 宍道湖
- 松江温泉
- 洞光寺
- 善光寺
- 八雲立つ風土記の丘
- 山代二子塚(国の史跡)
- 大庭鶏塚(国の史跡)
- 山代方墳(国の史跡)
- 真名井神社
- 岡田山古墳
- 岩屋後古墳
- 神魂神社
- 浄音寺
- 八重垣神社
- 六所神社
- 出雲国庁跡
- 安部谷古墳(国の史跡)
- 出雲国分寺跡(国の史跡)
- 石屋古墳(国の史跡)
- 平浜八幡宮(武内神社)
- 迎接寺
- 宍道湖北山県立自然公園
- 華蔵寺
松江市の特産品[編集]
松江市の年中行事[編集]
- 古式祷渡し式(1月3日 - 1月5日。神魂神社)
- 左義長しゃぎり(1月5日。本庄町)
- 左吉兆とんど(1月14日 - 1月15日。魚瀬町魚瀬浦)
- 子供天神(1月15日。大庭町)
- 大餅さん(2月の第1日曜日。秋鹿町大日堂)
- 白潟天満宮祭(3月24日 - 3月25日。白潟天満宮)
- お城まつり(4月1日 - 4月15日。城山公園)
- 茶せん供養(4月24日に近い日曜日。月照寺)
- 身隠神事(5月3日。八重垣神社)
- 松江神社例祭(5月5日・11月5日。松江神社)
- 華蔵寺例祭(5月8日。華蔵寺)
- ホーランエンヤ(5月中旬(12年に1回)。松江城山稲荷神社 - 大橋川 - 阿太加夜神社)
- 普門院夏祭(7月14日 - 7月15日。普門院)
- 天満宮夏祭(7月24日 - 7月26日。白潟天満宮)
- 松江水郷祭(8月の第1土曜日・日曜日。宍道湖・末次公園周辺)
- 万灯会(8月15日。月照寺)
- とうろう流し(8月16日。松江大橋付近)
- 源助地蔵まつり(8月23日 - 8月24日。龍覚寺)
- 松江温泉お湯かけ地蔵祭り(8月24日。松江温泉)
- 武内神社大祭(8月31日。武内神社)
- トーレトーレ御神事(9月11日。平浜八幡宮)
- 城山稲荷神社例祭(9月15日。城山稲荷神社)
- 八雲忌(9月26日。小泉八雲記念館)
- 六所神社例祭(10月15日。六所神社)
- 神魂神社大祭(10月18日。神魂神社)
- 八重垣神社例祭(10月20日。八重垣神社)
- 護国神社例大祭(10月23日。松江護国神社)
- 松江祭どう行列(11月3日。北殿町 - 大橋 - 白潟八幡宮)
- 堀尾祭(11月6日。円成寺)
- 筆供養(11月上旬。円成寺)
- 神在祭(11月11日 - 11月18日。神魂神社)
- 御釜神事(12月13日。神魂神社)
出身人物[編集]
政治家[編集]
実業家[編集]
学者[編集]
- 梅謙次郎 - 民法学者。
- 勝田孝興 - アイルランド文学者。
- 神門善久 - 経済学者、農学者。
- 田尻悟郎- 教育学者.
- 恒藤恭 - 法哲学者。
- 永井隆 - 長崎で被爆、わが子への愛をつづった著作などのある医学博士。
- 中村元 - インド哲学者。
- 増田渉 - 中国文学者。
文化人[編集]
スポーツ[編集]
- 小村徳男 - 元プロサッカー選手(元日本代表)。
- 足立修 - 元プロサッカー選手。
- 久保田学 - 元プロサッカー選手。
- 中島康平 - プロサッカー選手。
- 山本栄一郎 - 元プロ野球選手。
- 梶谷隆幸 - プロ野球(横浜DeNAベイスターズ)選手。
- 白根尚貴 - プロ野球(横浜DeNAベイスターズ)選手。
- 錦織圭 - プロテニスプレイヤー。
- 三代直樹 - 元陸上選手。
- 広瀬健太 - バスケット選手(日本代表)。
- 安部潤 - バスケット選手。
- 曳野康久 - バスケット選手。
- 石倉弘士 - バレーボール選手。
- 陣幕久五郎 - 第12代横綱。
- 鹿島沙希 - プロレスラー
- 藤田のぞみ - 女子サッカー選手。
芸能[編集]
- 出雲阿国 - お笑い芸人。
- 山内健司 - お笑い芸人。
- 佐野史郎 - 俳優。
- 板倉文:音楽家。
- 高岡慎太郎 - ミュージシャン(元ライフレコーダーズ)。
- 原英寿 - ミュージシャン(元ライフレコーダーズ)。
- 星村麻衣 - シンガーソングライター。
- 中里綴 - 作詞家、女優
- 六子 - シンガーソングライター。
- 森脇英理子 - 女優。
- 山上ジュン - シンガーソングライター。
- 山本恭司 - ミュージシャン(ギタリスト・BOWWOWリーダー)。
- 遊吟 - シンガーソングライター。
- 大和未知 - シンガーソングライター。
- 市川門之介 - 歌舞伎役者。
- 山根万理奈 - シンガーソングライター。
- 浜田真理子 - シンガーソングライター。
- Yes Happy! (さやか、こころ)- アイドル。
- よしととひうた - 新感覚紙芝居。
- 岸佳宏 - ミュージカル俳優
マスコミ[編集]
- 山本浩 - 元NHKエグゼクティブアナウンサー、元解説委員。法政大学教授。
- 神門光太朗(NHK日本のアナウンサー(ラジオセンター))
- 森谷佳奈 - 山陰放送アナウンサー。
- 前田彩野 - 日本海テレビジョン放送アナウンサー。
- 福島敦子 - 元中部日本放送アナウンサー、現:キャスター。
- 福島弓子(現姓:鈴木) - 元TBSアナウンサー、福島敦子の妹、イチローの妻。
- 川島恵 - 宮崎放送アナウンサー
その他[編集]
- 荒川亀斎 - 彫刻家。
- 岸清一 - 大日本体育協会会長、国際オリンピック委員会(IOC)委員、弁護士、貴族院議員、法学博士。
- 曽田幸司 - ラジオパーソナリティ・MC。
- 松平治郷(松平不昧・茶人)
- 野々内保太郎 - 画家。
- 一氏義良 - 美術研究家。
ゆかりある人物 [編集]
- 居住者
- その他
人口・面積[編集]
交通[編集]
- 山陰本線
- 木次線
- 一畑電車北松江線
- 主要駅:津ノ森駅 - 松江フォーゲルパーク駅 - 秋鹿町駅 - 朝日ヶ丘駅 - 松江イングリッシュガーデン前駅 - 松江しんじ湖温泉駅
- 宍道湖の北、平田を経由して出雲市に向かう路線。
外部リンク[編集]
- 行政
- 観光