JR七尾線
西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者) 七尾線のと鉄道(七尾 - 和倉温泉間、第二種鉄道事業者) | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 石川県 |
種類 | 普通鉄道(在来線・地方交通線) |
起点 | 津幡駅 |
終点 | 和倉温泉駅 |
駅数 | 20駅 |
電報略号 | ナナセ[1] |
開業 | 1898年4月24日 |
全通 | 1935年7月30日 |
所有者 | 西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者) |
運営者 | 西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者) のと鉄道(七尾 - 和倉温泉間、第二種鉄道事業者) |
車両基地 | 金沢総合車両所 |
使用車両 | 使用車両の節を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 59.5 km |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
線路数 | 単線 |
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 |
閉塞方式 | 自動閉塞式(特殊) |
保安装置 | ATS-SW |
最高速度 | 100 km/h |
七尾線(ななおせん)は、石川県河北郡津幡町の津幡駅から、石川県七尾市の和倉温泉駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
概要[編集]
IRいしかわ鉄道線(旧:北陸本線)から分岐する路線で、能登半島南部を縦断する。
もともとは同半島北部の輪島駅までの路線であったが、1991年に和倉温泉駅以南が電化され、非電化のままとなった和倉温泉駅 - 輪島駅間はのと鉄道に移管された[2]。また、七尾駅 - 和倉温泉駅間 (5.1 km) は、のと鉄道を第二種鉄道事業者とし、特急列車はJR西日本が、普通列車はのと鉄道が運行している。なお、和倉温泉駅以北ののと鉄道七尾線はJR西日本が第三種鉄道事業者、のと鉄道が第二種鉄道事業者である。また、七尾駅 - 七尾港駅間の貨物支線も存在したが、民営化前に廃止されている。
津幡駅でIRいしかわ鉄道線と接続しているが、宝達駅付近で天井川をくぐるトンネルの離隔距離の問題などを考慮し、交流電化のIR線とは異なる直流電化とされ、IR線との接続地点付近に交直セクションが設けられた。よって全列車が交直流電車(定期列車)または気動車(臨時列車)で運転されている。
2015年3月14日の北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間の開業により、並行在来線区間にあたる北陸本線金沢駅 - 直江津駅間はIRいしかわ鉄道等(IRいしかわ鉄道は、金沢駅 - 倶利伽羅駅間)に経営分離されたが、並行在来線にあたらない七尾線は経営分離の対象とはならず、新幹線開業後も引き続きJR西日本が運営する[3]。これに伴い、七尾線はJRの他の路線に接続しない完全な飛び地路線となった[注 1]。北陸新幹線敦賀延伸後は石川県唯一のJR在来線となる。
IRいしかわ鉄道が管轄する津幡駅を除き、全区間を、JR西日本金沢支社の七尾鉄道部が管轄している。
2021年3月13日から車載型IC改札機の導入によって全線でICOCAなどのICカードが利用可能となった[注 2]。
歴史[編集]
詳細は「七尾線の歴史」を参照
駅一覧[編集]
便宜上、全列車が乗り入れるIRいしかわ鉄道線 金沢駅 - 津幡駅間も記載。同線内の貨物駅は省略する。
- 累計営業キロは津幡駅からのもの。
- 普通列車はすべての駅に停車。特急「サンダーバード」「能登かがり火」の停車駅は各列車記事参照。
- 線路(七尾線内は全線単線) … ◇・∨:列車交換可能、|:交換不可、∥:複線(IRいしかわ鉄道線内)
- 全駅石川県内に所在
- 七尾駅 - 和倉温泉駅間については、のと鉄道と線路及び駅施設を共用している。
電化方式 | 会社 | 路線名 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 | |
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駅間 | 累計 | |||||||
交流電化 | IRいしかわ鉄道 | IRいしかわ鉄道線 | 金沢駅 | - | 11.5 | IRいしかわ鉄道:■ IRいしかわ鉄道線 (小松・加賀温泉方面) 西日本旅客鉄道: 北陸新幹線 北陸鉄道:A 浅野川線 …北鉄金沢駅 (A 01) |
∥ | 金沢市 |
東金沢駅 | 2.6 | 8.9 | ∥ | |||||
森本駅 | 2.8 | 6.1 | ∥ | |||||
津幡駅 | 6.1 | 0.0 | IRいしかわ鉄道:■ IRいしかわ鉄道線(倶利伽羅・高岡方面) | ∨ | 河北郡 津幡町 | |||
西日本旅客鉄道 | 七尾線 | |||||||
直流電化 | 中津幡駅 | 1.8 | 1.8 | | | ||||
本津幡駅 | 1.1 | 2.9 | ◇ | |||||
能瀬駅 | 2.2 | 5.1 | | | |||||
宇野気駅 | 3.7 | 8.8 | ◇ | かほく市 | ||||
横山駅 | 3.0 | 11.8 | ◇ | |||||
高松駅 | 2.6 | 14.4 | ◇ | |||||
免田駅 | 3.4 | 17.8 | ◇ | 羽咋郡 宝達志水町 | ||||
宝達駅 | 3.1 | 20.9 | ◇ | |||||
敷浪駅 | 3.3 | 24.2 | ◇ | |||||
南羽咋駅 | 2.5 | 26.7 | | | 羽咋市 | ||||
羽咋駅 | 3.0 | 29.7 | ◇ | |||||
千路駅 | 4.1 | 33.8 | | | |||||
金丸駅 | 3.7 | 37.5 | ◇ | 鹿島郡 中能登町 | ||||
能登部駅 | 3.6 | 41.1 | ◇ | |||||
良川駅 | 2.8 | 43.9 | ◇ | |||||
能登二宮駅 | 2.2 | 46.1 | | | |||||
徳田駅 | 2.8 | 48.9 | ◇ | 七尾市 | ||||
七尾駅 | 5.5 | 54.4 | ◇ | |||||
和倉温泉駅 | 5.1 | 59.5 | のと鉄道:■ 七尾線(のと鉄道の普通列車は全て七尾駅始発・終着) | ◇ |
線内の駅のうち、津幡駅がIRいしかわ鉄道直営駅(共同使用駅)、七尾駅・和倉温泉駅の2駅がJR西日本直営駅と宇野気駅・羽咋駅がJR西日本金沢メンテックによる業務委託駅[4]、残りの15駅は無人駅である。
「列車到着メロディー」は津幡駅以外の全駅に設置されている。一部の駅を除き、列車接近の案内音声の後、「線路は続くよどこまでも」のジャズバージョンが列車到着前より流れるようになっている。和倉温泉駅では「和倉音頭」が流れる。
2015年4月には、七尾線の駅のうちの7駅(七尾駅、能登二宮駅、良川駅、能登部駅、金丸駅、羽咋駅、宇野気駅)で列車到着メロディーが、一青窈の楽曲「ハナミズキ」に変更された[5][6]。
2021年7月以前は前述の7駅を除いて春季は「春の小川」、夏季は「われは海の子」、秋季は「もみじ」、冬季は「雪」が流れていた。
経営移管区間[編集]
1991年よりのと鉄道に移管された区間(JR西日本は第三種鉄道事業者として引き続き施設を保有)。下記のうち穴水駅 - 輪島駅間は2001年に廃線となった。この区間の現状についてはのと鉄道七尾線を参照。
廃止区間[編集]
( ) 内は七尾駅からの営業キロ
- 貨物支線
- 七尾駅 (0.0 km) - 七尾港駅 (2.1 km)
廃駅・廃止信号場[編集]
接続路線[編集]
使用車両[編集]
七尾駅 - 和倉温泉駅間で運用される、のと鉄道の車両は「のと鉄道七尾線#使用車両」を参照
現用車両[編集]
優等列車[編集]
特急「能登かがり火」はグリーン車なしの3両編成で運用されている。「能登かがり火」は1号車に自由席が設定されている。特急「花嫁のれん」は全車指定席でグリーン車なしの2両編成で運用されている。特急「能登かがり火」「花嫁のれん」すべてが全車禁煙席で、喫煙ルームも設置されていない。2010年3月13日より特急「サンダーバード」の運用が3両編成からグリーン車を連結した6両編成に変更されたのに対し、エル特急「しらさぎ」と特急「はくたか」は七尾線内での運転廃止直前までグリーン車なしの3両編成のままであった。特急「はくたか」はJR西日本所属だけでなく北越急行所属の車両の乗り入れもあった。2024年3月15日までは和倉温泉駅まで特急「サンダーバード」が乗り入れていた。2024年3月15日までは681系も使用されていたが、3月16日に681系が全車京都に転属し、金沢が運行する七尾線には充当されなくなったため過去の車両となった。
普通列車[編集]
前述のように、津幡駅付近に交直セクションがあるため、交直流電車が使用される。交直セクション通過中は種別・行先表示器、車内に千鳥式に3か所設置されている案内表示器の表示が消えるものの、補助電源が供給されるために室内灯が消えることは無い。
- 電車
置き換え計画[編集]
2011年(平成23年)の東日本大震災における国鉄型電車の車両部品不足[注 3]の際、521系電車の乗り入れも検討されていたが[9][注 4]、部品調達の目途が立ったため白紙となり、乗り入れは行われなかった。
2014年(平成26年)7月7日には、七尾線で運用されていた415系のクハ415-801とモハ414-802が製造されてから50年を迎えた。8か月後の2015年(平成27年)3月14日、ダイヤ改正で415系の一部運用が413系に置き換えられ、クハ415-801を含む415系C01編成は運用を離脱した(2016年3月31日付で廃車)。
2019年(令和元年)9月10日、JR西日本は七尾線に2020年(令和2年)より521系を導入することを発表した[10]。翌2021年(令和3年)1月には乗り入れ先のIRいしかわ鉄道も同様の車両を3編成受領しており、両社間の車両が相互乗り入れする体制が組まれることとなった。JR所属車両は2020年10月3日に一部列車で運用を開始した。方向幕はフルカラーLEDで、車内は転換クロスシートと車内案内表示器が6か所配置されている。また、出入口付近には車載型ICOCA改札機が設置されたが、運用開始当初は七尾線へのICOCA導入前で、利用は不可能であった。
2021年3月13日のダイヤ改正で全列車が521系に統一され、ICOCAが利用可能となった。これに伴い、ダイヤ改正前日の2021年3月12日をもって413系と415系800番台は運用を終了した。
過去の車両[編集]
- 電車
- 415系800番台
- 413系
- 北陸新幹線金沢延伸開業による並行在来線経営分離でJR西日本としては北陸本線金沢駅 - 直江津駅間が廃止され本系列が余剰となり、415系800番台の一部を置き換える形で2015年3月14日のダイヤ改正より定期運用を持つようになった。これ以前にも415系800番台が検査の時の代走として臨時運用に入ることがしばしばあった。しばらくの間は北陸地域色または青色単色塗装のままであったが、2015年4月から順次、七尾線で運用されている415系800番台と同じ輪島塗をイメージした赤色一色に塗装変更された[12]。521系100番台投入完了に伴い、2021年3月12日を以て七尾線の運用を終了した。その後、えちごトキめき鉄道(通称:トキ鉄)に1編成が譲渡された。
- 485系
- 419系
- 681系
- 2024年3月16日のダイヤ改正に伴い681系が全車京都に転属したため、681系が七尾線で運用されることはなくなった。
- 気動車
その他[編集]
青春18きっぷでは、金沢駅から津幡駅まで途中下車をしなければ乗車することが出来る。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ 新幹線開業で他のJRの在来線と一切接続しなくなった例は、東北新幹線全通で並行在来線である東北本線の一部区間が経営分離されたことにより、新幹線のみの接続路線となった八戸線や完全な飛び地路線となった大湊線に次ぐものである。なお前述の北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間開業により城端線・氷見線も一体として他のJR西日本の在来線と接続しなくなった。
- ↑ ただし七尾線以外の使用可能エリアは並行在来線乗車に対する助成金の関係から石川県内・富山県内で乗降りする場合に限る。両県以外との間の利用はICカードで運賃精算ができないため乗車当日にICカード決済できる有人駅の近距離券売機であらかじめ購入するか出場時全額現金で支払ったうえで入場取消してもらうかになる。また、和倉温泉駅は対応区間ではあるが、普通列車は全列車のと鉄道が運行しているため、特急列車を利用する場合(特急券を所持している場合)に限り利用できる。誤ってタッチしてのと鉄道の列車に乗車した場合は車内でのと鉄道の運賃を全額現金で精算したうえで和倉温泉駅・七尾駅で入場取消をしてもらう。金沢方面からICカードを利用し七尾駅でのと鉄道に乗換える場合は七尾駅で出場したうえで新たにのと鉄道の券売機または車内で七尾駅からの運賃を支払う必要がある。そのため事前に和倉温泉まで切符を購入した場合とは運賃が異なり金沢駅からだと10円、徳田駅からだと140円高くなる。またイコカポイントは七尾線内相互間で乗降する場合のみ対象になる。
- ↑ 消耗品である直流電動機で使用するカーボンブラシなど。東日本大震災による福島第一原発事故の影響で、JR西日本にカーボンブラシを供給していた浪江日立化成が避難指示圏内に入り操業不能になったことから、予備品の枯渇でJR西日本内電化路線の大半で間引き運転を強いられる恐れがあった[8]。
- ↑ 誘導電動機を用いる521系は供給の途絶したカーボンブラシを使わないため、乗り入れが検討されたものである[8]。
出典[編集]
- ↑ 日本国有鉄道電気局 『鉄道電報略号』、1959年9月17日、21頁。
- ↑ “JR西日本七尾線 華やかに電化開業”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1991年9月3日)
- ↑ “「大幅変更なし」 七尾線など、新幹線開業後も”. 北國新聞 (北國新聞社). (2012年1月28日). オリジナルの2013年6月18日時点によるアーカイブ。 2020年1月20日閲覧。
- ↑ “[www2.spacelan.ne.jp/~nru-hk/no.1601.pdf 国鉄北陸 No.1601]”. 国鉄労働組合 北陸地方本部 (2020年7月8日). 2021年11月5日確認。
- ↑ “「ハナミズキ」がJR七尾線7駅の駅メロに!”. 一青窈オフィシャルサイト (2015年4月1日). 2019年7月27日確認。
- ↑ “「ハナミズキ」駅メロに JR七尾線7駅、来月から”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2015年3月27日) 2019年7月27日閲覧。
- ↑ 『石川全区間ICOCA利用可能に JR七尾線、きょうから』(2021年3月13日付北國新聞朝刊5面)2021年3月13日閲覧
- ↑ a b “京阪神のJR間引き運転、回避へ 被災工場の部品にめど”. 朝日新聞 (2011年4月6日). 2019年6月22日確認。
- ↑ 2011年4月2日 日本経済新聞地方経済面 北陸 8面
- ↑ “七尾線への新しい車両の導入とICOCAサービスの開始について” (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2019年9月10日) 2019年9月10日閲覧。
- ↑ 七尾線用415系C07編成が赤色塗装で出場交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース、2010年2月18日
- ↑ 413系B04編成が赤色単色化される - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp 2015年4月9日
参考文献[編集]
- 寺田裕一『日本のローカル私鉄2000』ネコ・パブリッシング、2000年。ISBN 4-87366-207-9。
- 『鉄道ジャーナル』1980年9月号(通巻163号)、鉄道ジャーナル社、p.85, p.114。
- 川島令三編著『中部ライン - 全線・全駅・全配線』6 加賀温泉駅 - 富山エリア、講談社、2010年。ISBN 978-4-06-270066-5。