Osaka Metro御堂筋線
大阪市高速電気軌道 M 御堂筋線 | |
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心斎橋駅に入線する30000系。 | |
基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 大阪府 |
種類 | 地下鉄 |
路線網 | Osaka Metro |
起点 | 江坂駅 |
終点 | 中百舌鳥駅 |
駅数 | 20駅 |
路線記号 | M |
路線番号 | 1号線 |
路線色 | 臙脂色(赤、クリムゾンレッド) |
開業 | 1933年5月20日 |
全通 | 1987年4月18日 |
所有者 | 大阪市高速電気軌道(軌道経営者) |
運営者 | 大阪市高速電気軌道 |
路線構造 | 地上区間:江坂駅 - 西中島南方駅( - 淀川南側)間 |
車両基地 | 中百舌鳥検車場 |
使用車両 | 車両の節を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 24.5 km |
営業キロ | 24.5 km |
軌間 | 1,435 mm(標準軌) |
線路数 | 複線 |
電化方式 | 直流750 V 第三軌条方式 |
閉塞方式 | 自動閉塞式 |
保安装置 | WS-ATC、TASC |
最高速度 | 70 km/h |
御堂筋線(みどうすじせん)は、大阪府吹田市の江坂駅から大阪市内の新大阪駅・梅田駅・天王寺駅を経由し堺市北区の中百舌鳥駅までを結ぶ、大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) の地下鉄路線。正式名称は高速電気軌道第1号線である。路線記号はM。
概要[編集]
数少ない戦前に一部だが開通していた地下鉄路線で、日本初の公営地下鉄路線でもある[注釈 1]。
1970年に開催された日本万国博覧会の会場アクセスのため、同年に江坂から北大阪急行電鉄東西線(会場線)の万国博中央口駅まで相互直通運転を開始した。万博終了後は東西線が廃止されたため、直通運転区間は千里中央駅までとなった。
かつては、終電の1本前を中津駅、終電を新大阪駅までそれぞれ回送夜間留置するため2本が梅田駅止まりとなっていたが、2013年3月23日のダイヤ改正で回送列車をそのまま営業列車として運行するようになったため、現在当駅止まりの列車は設定されていない。また江坂方面への始発電車の設定もされていた(のちに天王寺駅発に変更)。
車両[編集]
- 自社保有車両
- 北大阪急行電鉄保有車両
なお、後述するように御堂筋線は過密運転を強いられる関係上、いずれの車両もOsaka Metroの他路線より起動加速度が高めに設定されている (他路線は2.5km/h/sに対して御堂筋線3.0km/h/s、9000形のみ2.8km/h/s) 。
沿線概況[編集]
大阪の地下鉄の中で、圧倒的な存在感を持っている。大阪のビジネスの中心である本町を中心に、梅田・難波という二大繁華街を結び、天王寺にも直通している。他の鉄道との乗換も便利で、新幹線が発着する新大阪駅に乗り入れる唯一の地下鉄路線である他、阪急梅田駅、南海難波駅という巨大私鉄駅との乗換も他のどの路線と比べても便利である(単に他の路線が不便すぎるだけだが)。
なお、新淀川から北、駅で言うと西中島南方駅から北は地上区間となっている。
利用状況[編集]
御堂筋線は、日本の地下鉄路線で最も黒字額が大きいドル箱路線である。2015年度決算における経常収支は約361億円の黒字、営業収支は約369億円の黒字、営業係数が44.8であり、大阪市営地下鉄(統計時)の中でも収益の4割以上を占める。
公営地下鉄の営業係数としては、統計時に2位の名古屋市営地下鉄東山線を大きく突き放しており、民営地下鉄である東京地下鉄の路線を入れても営業係数では御堂筋線が他を大きく引き離しており、2位を名古屋地下鉄の東山線や東京地下鉄最良の収支実績を誇る東西線が2位を争う状態である。本線の営業係数は公営地下鉄でありながら、JR東海の東海道新幹線やJR東日本の山手線などと並び日本鉄道業界でもトップクラスであり、旧国鉄およびJR西日本、関西私鉄の路線に大きく影響を与えるといっても過言ではない。
東京の場合、山手線の二大駅である東京駅と新宿駅を短い距離で向かう中央線が存在するが、大阪の場合、大阪環状線の二大主要駅である大阪駅と天王寺駅を短絡する幹線鉄道は湊町で頓挫して、パリ市街地の様に幹線鉄道が都心をショートカットしない路線網となった。古くは大阪市電、地下鉄開通後は本線が二大主要駅間をカバーしており、バイパス線として梅田と天王寺は谷町線、梅田と難波は四つ橋線と、バイパス線機能を果たす路線すら黒字を出せる路線のため、梅田・難波・天王寺を直線で結ぶ対抗路線を作るのは、戦前~1960年代の市営モンロー主義施策も相まって、今も昔も非常に難しく、存在しない。
ラッシュ時の最混雑区間は梅田駅→淀屋橋駅間(2005年度までは難波駅→心斎橋駅間)であり、混雑率は144%(2009年度)となっている。関西地区の混雑緩和目標は150%のため、目標を達成している。かつては混雑率が200%を超え、悪名高い混雑路線であったが、近年は車両の増結や並行路線(四つ橋線・堺筋線・谷町線)へのシフトが進んでいることから緩和が進んでいる。それでも、千里中央発の中百舌鳥行きは混雑率が200%を超え、駅員による押し込みが必要な時間がある混雑路線に変わりなく、新たに架線式のなにわ筋線が計画されている。
また、Osaka Metroの第三軌条方式で運行される他の路線 (谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線) は1編成の両数が4両から6両程度だが、御堂筋線に関しては利用客が多いこともあり10両編成で運行されている。直通先の北大阪急行電鉄の車両も同様。これは全国の第三軌条方式の路線を総合しても両数が一番長い。また、前述の通り列車の起動加速度もOsaka Metroの路線では高めに設定されている。
地下鉄としての乗降客数は、日本最多級である。また、千里ニュータウンからの北大阪急行線利用客だけではなく中百舌鳥駅で泉北高速鉄道に接続していることから堺市南区の泉北ニュータウンや和泉市のトリヴェール和泉など泉北地域在住の利用客も多い[注釈 2]というのも御堂筋線の特徴である。最近では、泉北高速鉄道和泉中央駅から通勤・通学をする一部の岸和田市民や北大阪急行線千里中央駅から通勤・通学する一部の箕面市民や豊能郡豊能町民も利用しており、今後もさらなる乗降客数の拡大が見込まれている。
南海電鉄高野線は、利用客を御堂筋線に奪われないために、普通列車以外のすべての列車をあえて御堂筋線との乗換駅である中百舌鳥駅に停車させないことが知られている(中百舌鳥飛ばし)。
客扱終了合図の表示[編集]
御堂筋線は他のOsaka Metroの路線と同様に発車メロディ・接近メロディが使用されているが、先述したとおり、この路線は終日にわたって激しく混雑し、場合によっては駅係員の手合図が車掌から確認できなくなるおそれのある区間があるため、新大阪駅 - 天王寺駅間の各駅にはこれらのほかに客扱終了合図表示器が設置されている。駅係員が所持しているワイヤレスマイクに無線リモコンキーが付いており、発車メロディが鳴動してから客扱いが終了した時、および電車・ホーム柵のドアが閉まり、荷挟まり等もなくホームの状態が安全であることを確認した時にそれぞれリモコンを操作する。なお駅係員がホームにいない時およびいる場合でも手合図で対応する場合(この時は表示機上部のオレンジの逆三角形部分が消灯)は表示機を使用せず、発車メロディが鳴り終わった後、車掌の判断でドアの取り扱いを行う。
- 客扱い終了時の合図は、表示器に橙色で「ト」と表示される。2011年3月までは同時に「扉が閉まります」という駅自動放送が流れていたが現在はカットされている。
- 安全確認ができ、発車してよいときの合図は、表示器に緑色で「○」と表示され、同時に「電車が発車します。ご注意願います」という駅自動放送が流れる。
線内で発生した痴漢でっち上げ事件[編集]
2008年(平成20年)2月1日午後8時半頃、当路線の動物園前駅 - 天王寺駅間を走行していた電車内で、ドア付近に立っていた男性会社員(当時58歳)が、近くにいた女(当時31歳)から「お尻触ったでしょ」と声をかけられた。男性会社員が否定すると、声をかけた女はうずくまって泣き出し、近くにいた甲南大学4年の男(当時24歳)(その後、虚偽告訴の疑いで逮捕および退学処分)も、「触りましたね」と詰め寄った。この男性会社員は大阪府迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで大阪府警阿倍野警察署により現行犯逮捕されたが、その後の調べで証人の証言が食い違い、女と交際相手の男が示談金目当てに男性会社員を痴漢としてでっち上げたことが判明している。この事件をきっかけに、大阪市交通局には男性専用車両や男女別車両の要望が相次ぎ、当時の市長・平松邦夫や在阪の大手私鉄は、要望が多ければ検討するという見解を示すに至った。なお、事件後に痴漢をでっち上げたと自首した実行犯の女は大阪地方裁判所にて執行猶予付き有罪判決を受け確定し、その後男性会社員に謝罪した。
詳細は「大阪市営地下鉄御堂筋線痴漢捏ち上げ事件」を参照
ダイヤ[編集]
8分サイクルで、千里中央〜なかもずの列車と、新大阪〜天王寺の列車が1本ずつ運行する。新大阪〜天王寺は毎時15本となるが、これは2022年の銀座線大減便以降、日本の地下鉄で最多の本数である。
その他[編集]
- トンネルの断面積は天地方向に余裕を持って決定された。これは、開業時の延伸計画の中に郊外区間は架線を使って運行するプランがあり、そのため地下線にパンタグラフを折り畳んだ車両が入ってくる可能性があったためである。
- 2013年(平成25年)3月23日に、大阪市営地下鉄全線でダイヤ改正が行われ、御堂筋線では線内の終電の発車時刻が最大で26分程度遅くなった[1][2]。
- 2015年(平成27年)3月1日にダイヤ改正が行われ、朝ラッシュ時の最短運転間隔が2分から2分15秒に変更された。合わせて、深夜時間帯に列車の増発がなされた[3]。
駅一覧[編集]
全駅大阪府に所在。
駅番号 | 駅名 | 駅間 キロ |
営業 キロ |
接続路線 | 地上/地下 | 所在地 | |
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M11 | 江坂駅 | - | 0.0 | M11北大阪急行電鉄南北線〈千里中央駅まで直通運転〉 | 地上区間 | 吹田市 | |
M12 | 東三国駅 | 2.0 | 2.0 | 大阪市 | 淀川区 | ||
M13 | 新大阪駅 | 0.9 | 2.9 | 東海道新幹線・山陽新幹線 JR-A46東海道本線・JR-F02おおさか東線 | |||
M14 | 西中島南方駅 | 0.7 | 3.6 | HK-61阪急京都本線⇒南方駅 | |||
M15 | 中津駅 | 1.8 | 5.4 | 地下区間 | 北区 | ||
M16 | 梅田駅 | 1.0 | 6.4 | T20谷町線⇒東梅田駅・Y11四つ橋線⇒西梅田駅 HS 01阪神本線⇒梅田駅 HK-01阪急神戸本線・HK-01阪急宝塚本線・HK-01阪急京都本線[* 1]⇒大阪梅田駅 東海道本線(JR-A47JR京都線・JR-A47JR神戸線・JR-G47JR宝塚線)・JR-O11大阪環状線⇒大阪駅 JR-H44JR東西線⇒北新地駅 | |||
M17 | 淀屋橋駅 (市役所前) |
1.3 | 7.7 | KH01京阪本線・KH52京阪中之島線⇒大江橋駅 | 中央区 | ||
M18 | 本町駅 (船場西) |
0.9 | 8.6 | Y13四つ橋線・C16中央線 | |||
M19 | 心斎橋駅 | 1.0 | 9.6 | N15長堀鶴見緑地線・Y14四つ橋線⇒四ツ橋駅 | |||
M20 | 難波駅[* 2] | 0.9 | 10.5 | Y15四つ橋線・S16千日前線 NK 01南海本線・NK 01高野線[* 1]⇒難波駅 A01近鉄難波線⇒大阪難波駅 HS 41阪神なんば線⇒大阪難波駅 Q17関西本線(大和路線)⇒JR難波駅 | |||
M21 | 大国町駅 | 1.2 | 11.7 | Y16四つ橋線 | 浪速区 | ||
M22 | 動物園前駅 (新世界) |
1.2 | 12.9 | K19堺筋線 O19大阪環状線・Q19関西本線(大和路線)⇒新今宮駅 NK 03南海本線・NK 03高野線[* 1]⇒新今宮駅 HN 52阪堺線⇒新今宮駅前停留場 |
西成区 | ||
M23 | 天王寺駅 | 1.0 | 13.9 | T27谷町線 O01大阪環状線・Q20関西本線(大和路線)・R20阪和線 F01近鉄南大阪線⇒大阪阿部野橋駅 HN 01阪堺電気軌道上町線⇒天王寺駅前駅 |
阿倍野区 | ||
M24 | 昭和町駅 | 1.8 | 15.7 | ||||
M25 | 西田辺駅 | 1.3 | 17.0 | ||||
M26 | 長居駅 | 1.3 | 18.3 | R24阪和線 | 住吉区 | ||
M27 | 我孫子駅[* 2] | 1.2 | 19.5 | ||||
M28 | 北花田駅 | 1.9 | 21.4 | 堺市北区 | |||
M29 | 新金岡駅 | 1.6 | 23.0 | ||||
M30 | 中百舌鳥駅[* 2] | 1.5 | 24.5 | NK 59高野線 SB 01泉北高速鉄道線 |
- 駅番号は北大阪急行線からの通し番号となっている。
- Osaka Metroと相互乗り入れしている各私鉄との連絡乗車券を購入した場合、経由する会社境界駅が指定されているため、その他の駅では別会社路線への乗り継ぎができない。
- 今里筋線との間には接続駅がなく直接乗り継げない。
- 梅田 - 大国町間を経由する定期券で四つ橋線の西梅田 - 大国町間の各駅でも乗降が可能である。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ 大阪地下鉄の終電、最大30分延長 3月23日から - 日経電子版、2013年2月7日21:49配信、2013年2月8日閲覧。
- ↑ 大阪市営地下鉄、8路線で終電10〜30分延長へ - 朝日新聞デジタル、2012年12月27日05:17配信、2013年2月8日閲覧
- ↑ 地下鉄御堂筋線のダイヤ改正を行います - 大阪市交通局、2015年1月23日