地下鉄

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地下鉄(ちかてつ、米:Subway、英:tube)とは、主に地下区間に敷設される鉄道路線で、地下のトンネルを走る列車のことである。

概要[編集]

大都市の公共交通機関は普通鉄道が最も輸送力が大きいが、新たに鉄道を敷設する場合、莫大な土地買収を行う必要がある。土地買収をするより地下区間に鉄道を敷設したほうが安い場合に建設され、既存の都市部に建設する場合は地下鉄にすることが一般的である。地下鉄建設は、土の中で、予定地の両側に壁を埋めて道をつくり、地面に蓋をして地下鉄の天井をつくる。予定地は、地面からの深さは?m以上である。予定地ができたら、鉄筋を組み立ててセメントを流し込み、トンネルの壁や天井を硬める。

ただし、地下鉄建設にも莫大な費用がかかるため、採算に合う場合に限り建設される。特に中規模の都市の場合、輸送量が小さくスピードも遅いが建設費の安い路面電車を選ぶことも多く、欧州の中都市ほどその傾向が大きい。地下鉄は建設費がかかるため、公営交通となる場合がある。

地下鉄の定義[編集]

近鉄難波線京阪鴨東線JR東西線総武快速線の錦糸町以西は敷設区間のほとんどが地下区間で、しかも大都市の都心貫通路線であるが、これは地下鉄には該当しないとされる。なお、都市交通審議会の答申を経て建設された旧東急新玉川線や西武有楽町線、名鉄瀬戸線の地下区間は、地下鉄に分類することもある。
戦前は路面電車があったため、東京の地下鉄は民営だったが、定義は明確だった。
戦中の帝都高速度交通営団発足後は「公営企業」もしくは公企業による運営であることが地下鉄の定義であったが、帝都高速度交通営団や大阪市営地下鉄の民営化によってその定義も曖昧になった。もう一つ定義として、原則として一つの地方自治体のみに敷設するというのがある。都や市の予算で建設するのだから当然である。

発車予告ホンの音は、列車の乗車・降車を中止し、まもなく扉が閉まる合図、次の列車を待つ警告の合図で、交通信号機では、自動車では黄信号、歩行者用信号機では青の点滅信号と同じ。

建設[編集]

以前は開削工法によって施工されたが、近年はシールド工法によって施工されるようになった。

日本の地下鉄の特徴[編集]

郊外鉄道との直通運転を行うことが多いので、集電方式は第三軌条方式ではなく、架空電車線方式を採用することが多い。乗り入れ先の郊外鉄道と軌間を合わせるために同じ事業者であっても路線によって軌間が異なることがある。敷設は道路直下に建設されることが多いので軌道法の適用を行うことがある (大阪市営地下鉄)。

建設による影響[編集]

交通渋滞に巻き込まれて定時運転ができなくなった路面電車の代替目的で建設された地下鉄路線は、完工によって路面電車の廃止を招いた[注 1]。また、並行する鉄道路線バス路線は何らかの影響を受けるため、バス会社が路線再編に際し公的補償を受けることがある。
鉄道路線では京都市営地下鉄烏丸線竹田駅京都駅近鉄京都線と並行するが、両線とも輸送量が多く、近鉄京都線が撤退することは考えられない。むしろ、京都市営地下鉄南北線が近鉄京都線の複々線として建設されたようなものである。一方で近鉄難波線や名鉄瀬戸線の地下区間のように地下鉄との競合路線で郊外に乗り入れる民鉄の方が優位の路線もある。
また、筑肥線博多駅姪浜駅の間はより都心[注 2]へ乗り入れる福岡市営地下鉄の完成と同時に後年の碓氷峠区間の並行在来線の如く廃止され、姪浜駅を境に両線は相互乗り入れを果たした。この区間はこのような事情もあり、通過連絡運輸の規定がある。

主な路線[編集]

詳細は「カテゴリ:地下鉄路線」を参照

呼称[編集]

世界的には、「メトロ」と呼んでいる国が多い。メトロは大都市という意味があるので、地上の鉄道に対して用いても本来は問題のない呼び方である。

ドイツやオーストリアでは「Uバーン」、イギリスでは「アンダーグラウンド」、アメリカでは「サブウェイ」と呼び、このあたりは地下の鉄道という意味がある。

フランスのパリでは、メトロの他にRERという地下鉄もあるが、メトロは市内のみの路線網、RERは郊外列車の都心区間が地下を通っているという違いがある。

関連項目[編集]

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  1. 他方、1973年の第一次オイルショック前は、都市24時間化対応で夜間等の渋滞の少ない時間帯を対象に、路面電車を生かそうという機運はなかった。
  2. 天神のみだけでなく、西新も筑肥線よりも中心部に乗り入れた一方、高宮や小笹は非通過となり、後年福岡市地下鉄七隈線を建設する要因となった。

参考文献[編集]

  • 天野光三・前田泰敬・三輪利英『第2版図説鉄道工学』丸善株式会社2001年3月25日発行。
  • 椹木亨、柴田徹、中川博次『土木へのアプローチ』技報堂出版1999年1月25日3版1刷発行。
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