山陰本線の優等列車

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山陰本線の優等列車(さんいんほんせんのゆうとうれっしゃ)について、本稿では過去に山陰本線を走行していた優等列車(急行列車)を記す。なお、長距離普通列車も含める。

概要[編集]

山陰本線は、京都市から山陰道の地方都市である福知山市鳥取市米子市松江市江津市益田市などを通り下関市までを結ぶ日本で最長の在来線である。沿線には温泉や神社、海水浴場などの観光地景勝地が多い。
普通列車は、郵便輸送荷物輸送の関係で過去に20時間以上かけて全線を走破する列車が存在したが、全線走破の優等列車は過去にもなく、福知山~下関間を9時間半近くかけて走行する福知山線乗り入れの特急まつかぜ」が最長。急行は有効時間の関係から、京都・大阪 - 山陰間、米子 - 九州間の2系統が主体となっていて、東京直通の夜行急行「出雲(当初は「いずも」)」も特急格上げ前は、京都以西では昼行的な役割だった。
1985年3月以降は特急も地域ごとの分割運行となり、米子駅に特急列車の東西の分水嶺ができた。
1986年11月改正での、福知山 - 城崎間および福知山線電化によるダイヤ改正を以って、国鉄分割民営化後の優等列車が確定。「だいせん」昼行廃止で浜坂 - 鳥取 - 米子間で昼行急行が消滅したが、京都口は「丹波」などの急行列車が多く残り、米子 - 下関間は昼行急行「さんべ」が1往復だけ残って、山口・秋芳洞ミニ周遊券[注 1]での乗り得列車になっていた。
1996年の山陰本線東部電化、1999年の「エーデル鳥取」廃止、2001年の「いそかぜ」の分割で分水嶺は城崎温泉駅益田駅にもできた一方、「スーパーまつかぜ」や「スーパーおき」で米子駅の東西を直通する特急列車は増加した。

路線状況[編集]

昭和61年11月1日日本国有鉄道ダイヤ改正時点

駅一覧と長距離普通列車[編集]

昭和43年10月1日日本国有鉄道ダイヤ改正

凡例[編集]

キロ数 駅名 駅設備/列車番号 125D 835 829
0.0 京都駅 洗弁電+赤 0750 0514 2203
2.0 丹波口駅 0757 0519 2207
4.2 二条駅 0803 0526 2217
6.9 花園駅 0810 0531 2222
10.3 嵯峨駅 0815 0540 2231
14.3 保津峡駅 0820 0548
19.7 馬堀駅 0827
21.8 亀岡駅 0834 0603 2247
24.8 並河駅 0838
26.8 千代川駅 0841
29.8 八木駅 0848 0613 2258
34.1 吉富駅 0854
35.8 園部駅 0902 0621 2306
39.8 船岡駅 0907 0627
43.5 殿田駅 0913 0634 2317
48.7 胡麻 0920 0641 2325
53.5 下山駅 0929 0649 2332
60.2 和知駅 0937 0656 2341
62.3 安栖里駅 0941 0702
67.1 立木駅 0947 0709
70.6 山家駅 0952 0715
77.8 綾部駅 洗弁 1000着 0728 0008
81.9 高津駅
84.4 石原駅 0737
90.1 福知山駅 洗弁電 0745 0021
福知山駅発 0758 0053
96.8 上川口駅 0806
104.0 下夜久野駅 0818 0111
111.4 上夜久野駅 0831 0126
117.2 梁瀬駅 0841 0133
120.6 和田山駅 0848 0142
125.8 養父駅 0854 0148
132.8 八鹿駅 0902 0158
140.3 江原駅 0912 0209
144.0 国府駅 0919
150.0 豊岡駅 洗弁電 0927 0220
列車番号 831
豊岡駅発 0502 0935 0226
155.3 玄武洞駅 0509 0945
159.6 城崎駅 0517 0953 0238
167.6 竹野駅 0533 1005 0250
175.0 佐津駅 0543 1016 0301
177.3 柴山駅 0546 1025 0306
181.6 香住駅 0555 1031 0313
187.0 鎧駅 0604 1048 0323
188.8 餘部駅
193.4 久谷駅 0614 1058 0333
199.5 浜坂駅 0626 1110 0342
201.4 諸寄駅 0630 1114 0346
205.8 居組駅 0637 1130 0356
209.1 東浜駅 0643 1136
213.5 岩美駅 0700 1205 0406
216.4 大岩駅 0705 1210
220.7 福部駅 0719 1223 0418
231.9 鳥取駅 洗弁電 0740 1240 0436
鳥取駅発 0751 1309 0443
236.1 湖山駅 0758 1319 0449
241.2 末恒駅 0805 1326 0456
246.3 宝木駅 0812 1333 0504
249.2 浜村駅 0817 1342 0509
254.4 青谷駅 0824 1403 0516
260.5 泊駅 0834 1412 0525
266.2 松崎駅 0844 1419 0533
271.7 上井駅 洗弁 0851 1426 0540
上井駅発 0855 1433 0559
276.8 下北条駅 0908 1439 0610
281.7 由良駅 0922 1445 0616
287.4 浦安駅 0930 1453 0625
289.2 八橋駅 0933 1457 0628
292.9 赤碕駅 0940 1514 0635
297.1 中山口駅 0946 1520 0642
299.3 下市駅 0954 1525 0648
305.2 御来屋駅 1001 1540 0656
306.3 名和駅 1004 1543 0659
310.4 大山口駅 1012 1552 0707
314.3 淀江駅 1018 1600 0713
319.8 伯耆大山駅 1025 1608 0722
324.6 米子駅 洗弁電+ 1032 1615 0729
米子駅発 1044 1638 0739
333.4 安来駅 1058 1650 0752
338.2 荒島駅 1109 1656 0802
343.8 揖屋駅 1120 1705 0810
346.9 馬潟駅 1125 1710 0815
353.5 松江駅 洗弁電 1133 1718 0823
松江駅発 1156 1730 0835
356.2 乃木駅 1203 1735 0841
360.1 玉造温泉駅 1213 1741 0850
366.1 来待駅 1220 1748 0859
370.5 宍道駅 1236 1756 0910
374.6 庄原駅 1247 1804 0916
380.7 直江駅 1253 1812 0928
386.2 出雲市駅 洗弁電 1303 1819 0936
出雲市駅発 1313 1828 0957
391.0 知井宮駅 1319 1837 1007
395.1 江南駅 1330 1843 1013
401.7 小田駅 1340 1852 1023
405.6 田儀駅 1349 1858 1029
413.1 波根駅 1358 1907 1038
415.3 久手駅 1406 1911 1045
418.8 石見大田駅 洗弁 1411 1916 1050
石見大田駅発 1414 1934 1053
421.8 静間駅 1418 1939 1057
424.4 五十猛駅 1423 1945 1102
430.5 仁万駅 1432 1958 1113
433.5 馬路駅 1441 2010 1118
436.4 湯里駅 1446 2015 1123
439.5 温泉津駅 1453 2021 1129
442.4 石見福光駅 1458 2026 1134
445.2 黒松駅 1503 2031 1139
449.6 浅利駅 1509 2038 1145
455.9 石見江津駅 1521 2047 1157
460.3 都野津駅 1527 2053 1207
462.1 敬川駅
464.9 波子駅 1534 2100 1213
467.2 久代駅
471.3 下府駅 1542 2108 1224
474.9 浜田駅 洗弁電 1549 2115 1230
浜田駅発 1627 2135 1246
480.3 西浜田駅 1635 2148 1257
484.4 周布駅 1641 2158 1302
489.2 折居駅 1648 2205 1309
494.2 三保三隅駅 1713 2212 1332
499.2 岡見駅 1720 2219 1339
504.3 鎌手駅 1727 2226 1346
508.8 石見津田駅 1734 2237 1352
516.1 益田駅 洗弁電 1744 2247 1401
益田駅発 1750 1405
525.9 戸田小浜駅 1808 1417
529.6 飯浦駅 1815 1424
535.4 江崎駅 1825 1433
542.0 須佐駅 1835 1442
550.8 宇田郷駅 1846 1456
557.2 木与駅 1856 1504
561.8 奈古駅 1906 1511
566.1 長門大井駅 1918 1517
570.7 越ケ浜駅 1927 1525
573.6 東萩駅 1938 1534
577.4 萩駅 1944 1540
579.8 玉江駅 1949 1544
585.5 三見駅 1958 1552
589.7 飯井駅 2005
596.1 長門三隅駅 2015 1606
601.2 長門市駅 洗弁電 2022 1613
列車番号 831D
長門市駅発 2029 0255 1621
606.5 黄波戸駅 2036 1633
610.6 長門古市 2044 1642
615.1 人丸駅 2049 0315 1651
619.5 伊上駅 2055 1657
623.7 長門粟野駅 2102 1703
629.0 阿川駅 2109 1711
632.7 特牛駅 2116 1718
636.7 滝部駅 2125 0344 1726
641.5 長門二見駅 2134 0351 1734
645.1 宇賀本郷駅 1739
647.3 湯玉駅 2142 0359 1744
651.8 小串駅 2149 0406 1753
654.5 川棚温泉駅 2154 0410 1758
657.0 黒井村駅 2158 0414 1802
660.4 梅ケ峠駅 2204 0420 1808
664.3 吉見駅 2210 0425 1817
667.2 福江駅 2215 0430 1822
669.8 安岡駅 2219 0434 1827
672.3 綾羅木駅 2224 0438 1831
675.4 幡生駅 2229 0444 1837
678.9 下関駅 洗弁電赤 2235 0450 1842
下関駅発 2243
685.2 門司駅 洗弁電赤 2252
  • 829の★は出雲市駅まで。

接続路線[編集]

太字陰陽連絡路線

沿革[編集]

昭和期[編集]

平成期[編集]

  • 1989年(平成元年)3月11日:特急「エーデル鳥取」(大阪 - 倉吉)新設で福知山線から城崎以西への直通列車復活。
  • 1990年3月10日:急行「ちどり」の区間短縮で木次・芸備線への優等列車の直通が無くなる。
  • 1990年3月10日:特急「エーデル北近畿」(大阪 - 浜坂)増発。
  • 1992年3月14日:急行「ながと」(浜田→益田 - 下関)廃止。
  • 1994年12月3日:智頭急行開業で特急「(スーパー)はくと」が倉吉まで乗り入れ。一方、特急「はまかぜ」、「エーデル鳥取」は鳥取以東に短縮。
  • 1996年3月16日園部駅-福知山駅間の直流1500V電化により、事実上、最後の多頻度運行の急行「丹後」が全廃され、京都 - 福知山間で急行消滅。特急「あさしお」を含めて再編され、特急「きのさき」、「はしだて」運転開始し、京都発着の福知山線から竹野以西への直通特急列車が廃止。特急「くにびき」、「おき」で鳥取駅発着列車を設定。特急「あさしお」の鳥取以西の一部を特急「いなば」1往復に立て替え。播但線乗り入れの急行「但馬」廃止。
  • 1997年3月:急行「さんべ」廃止で、米子以西から急行列車が消滅。
  • 1997年11月29日:特急「いなば」を「くにびき」に統合。
  • 1999年10月2日:特急「エーデル鳥取」、「エーデル北近畿」廃止で、福知山線から竹野以西への直通列車が廃止。さらに浜坂 - 鳥取間の特急が鳥取夜着、鳥取朝発の「はまかぜ」のみとなる。
  • 2001年7月7日:益田以東の187系気動車投入で特急「くにびき」、「おき」が「スーパーくにびき」、「スーパーおき」となり、特急「いそかぜ」が益田 - 小倉間に短縮。
  • 2003年10月1日:特急「スーパーくにびき」が「スーパーまつかぜ」となり全列車鳥取発着となる。
  • 2004年10月15日:夜行急行「だいせん」廃止で、福知山 - 倉吉間で急行列車が消滅。
  • 2005年3月1日:特急「いそかぜ」廃止で益田以西の優等列車が消滅。

令和期[編集]

  • 2023年(令和5年)3月18日:特急「はまかぜ」の鳥取発着便の時間帯が鳥取行午前・鳥取発午後に変更される。

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近代化の遅れ[編集]

園部以西は官設鉄道で建設されたが、1902年の時点で米子以東が建設されたに止まり、1906年に鉄道国有法により、神戸~下関間の山陽鉄道が買収されると、山陽本線が中国地方を貫くメインルートとなった。2つの県庁所在地が沿線に、海軍鎮守府の舞鶴も近くにあり、加えて、1913年に山口線経由で萩経由よりも先に山陽地域と連絡し、1917年に小浜線中京方面への距離短縮が実現したにも関わらず、北前船衰退後は有力商業地も山陽側に比べると小規模であった背景もあり、戦時中に全線複線化された山陽本線に比べ複線化は遅々とした。

戦後、大津駅以東と九州間で多数設定された優等列車は、全て京都駅から幡生駅までの距離が短い、山陽本線経由であった。また、輸送力、輸送量も益田以西で小さいため、複線化、電化が遅れ、それらも部分的である。特急列車が設定されたのはサン・ロク・トウと遅かった。

1966年から投入されたDD54で動力近代化が期待されたが、トラブル続きで1970年代初頭まで蒸気機関車や電気式のDF50が活躍。1970年代後半のDD51転入で、ディーゼル機関車が長大編成の客車列車を牽引する形が長く続いた。気動車による優等列車の運転もあったが出雲市駅以西では本数が少なく、長時間停車も多かった。

使用車両[編集]

日本国有鉄道の時代は、複線区間が短く、旅客列車客荷分離を行うほど輸送量が大きくなかったため、ディーゼル機関車旧型客車荷物車 (鉄道車両)郵便車 (鉄道車両)を牽引していた。国鉄分割民営化後も国鉄12系客車国鉄50系客車が活躍していたが、七尾線をはじめとする他線区の電化に押し出された気動車によって客車が置き替えられた。

現在運行している優等列車[編集]

関連項目[編集]

[編集]

  1. 山陽側だけでなく益田からも自由周遊区間に入れる人気のミニ周遊券だったが、国鉄分割民営化後は東京発の発売が無くなっており、静岡以西の東海地方や北陸地方、関西での発売が中心となっていた。

参考文献[編集]