名古屋飛ばし
「名古屋は東京と大阪の間だからどっちかに行けば良い。福岡のほうがライブとかも多いのは福岡からは大阪や東京が遠いからである。名古屋人は東京か大阪に行ってこい。」
- 〜 名古屋飛ばし について、福岡人[1]
名古屋飛ばし(なごやとばし)とは、交通や文化等の面で、三大都市かつ政令指定都市たる名古屋市の存在が、日本全体で軽んじられていることを表す言葉。
概要[編集]
名古屋飛ばしという言葉は、コンサートなどイベント文化や鉄道交通に主に用いられている。
交通[編集]
新幹線[編集]
名古屋飛ばしが日本全国でクローズアップされたのは、1992年のJRダイヤ改正で新幹線開業以来初めて、名古屋と京都の両駅が通過になる「のぞみ301号」のダイヤが設定された際である。ちなみに1997年11月に解消された。
なお、今でも修学旅行臨には名古屋でドアを開けず運転停車のみする列車がある。
在来線夜行[編集]
在来線では、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」が上下とも名古屋駅を通過し、他社線も含めた「名古屋飛ばし」は回送列車や貨物列車以外ではサンライズ号が現在唯一となっている。
サンライズ設定前の下り「出雲1号」が名古屋駅に客扱い停車し、片道ながら名古屋から山陰への鉄道直行手段があったことや、「出雲1号」より「サンライズ出雲」、「出雲」とも米子以西の到着時刻が2時間繰り下がったことからするとダイヤ改悪で、名古屋のフリーアナウンサーは自ら担当のラジオ番組の報道コーナーで「サンライズの名古屋飛ばしですね」と発言している。
また、臨時列車も「サンライズ出雲91号」が東京発後行のため「出雲1号」廃止後に改悪された状態に変化はない[注釈 1]。
一方で、サンライズ号の名古屋到着は乗客の乗降がほとんど見込めない深夜遅い時間帯であることや、下り列車は大阪駅も通過する為[注釈 2]、大きな問題にはなっていないとの考えで、鉄道ヲタクでも「名古屋飛ばし」を認定しない人が大多数である。
- その他国鉄・JR在来線
国鉄時代、名古屋駅から在来線で乗換無しで行ける本州、九州の地域が東京駅や大阪駅より少なく、東北地方や東京都、神奈川県以外の関東地方は通常は鉄道での乗換が欠かせなかった。なお、新潟県は急行「赤倉」存続中、島根・鳥取両県は急行「大社」存続中は往復乗換無しで行けた。
近畿日本鉄道(通勤車配置)[編集]
近畿日本鉄道名古屋線において、大阪線・奈良線と比較してシリーズ21の配置が1両もなく、大手私鉄の幹線系統の中でも通勤車[注釈 3]のブレーキ方式がすべて電磁直通ブレーキ(近年は電気指令式ブレーキが主流)で統一されており時代遅れや墓場と揶揄され、一種の名古屋飛ばしと見なすことができる[注釈 4]。
なお、2025年に入り4連3本のみ新車が配置されることになったが、幹線系統で約28年間新車がなかった例はほぼないと思われる。
その他の『○○飛ばし』の例[編集]
- 成田エクスプレス - 成田国際空港と東京都区部直結に特化しすぎて、お膝元である千葉県の県庁所在地であり、名古屋市と同じ政令指定都市の千葉市の代表駅である千葉駅に停車せず、「わかしお」、「さざなみ」を南郊の蘇我駅に追いやり、設定後に「あやめ」、「すいごう」を3往復減らしたことで、過去に地元住民や千葉日報で「千葉飛ばし」と問題にしたことがある。
現在は空席を充足させるため、空港利用が低需要の時間帯に途中駅に停車し、2024年(令和6年)年改正からは、中間停車駅乗降での特急料金を「しおさい」と同額に値下げしている。 - 京急蒲田駅 - 2010年(平成22年)5月16日の京浜急行電鉄ダイヤ改正によるエアポート快特通過が、大田区から「蒲田飛ばし」と呼ばれた[1]。
- 中目黒駅 - 2001年(平成13年)3月から東急東横線に特急導入。しかし、当時は中目黒は日比谷線の乗換駅なのに関わらず 特急は通過。しかし、2年後の2003年から停車に変更。
- 金山駅 (愛知県) - 特急しなのは全列車停車の千種駅と違い、下りが夜の3本、上りが朝の1本しか停車せず、
また、停車していた特急北アルプスが廃止され、太多線経由の特急ひだも設定されないことから、『名古屋の南の玄関口』と位置付けられる割には、冷遇されている印象が強い。 - 八田駅、近鉄八田駅 - 地下鉄東山線との乗換駅であるにも関わらず、快速・準急・急行・特急が何食わぬ顔で通過していく。このため、他社と地下鉄の乗換駅である金山駅、上小田井駅や大曽根駅といった名古屋市内の他駅と比較しても、
市内の公立高校の難易度で揶揄されるのと同様に、東高西低の隠れた八田飛ばしに当たり、特に近鉄は大阪の鶴橋駅との格差になる。
娯楽・商業[編集]
一般的にはコンサート(特にミュージシャン)などの各種イベントツアーなどで、首都圏と京阪神の途中にある名古屋で行われない例、ファッションブランドや大型量販店などの名古屋地域への店舗進出がなされないケースを指すことが多い。
日本のシンクタンク、森記念財団(森ビル)による「世界都市総合力ランキング」においては、世界をリードする都市として国内では東京と福岡および大阪を選定しており、名古屋を評価対象に入れていない[2]。(独自の評価基準を設ける同調査では2012年の発表で名古屋に大幅に低い評価を与えており[3]、批判を避けるために2013年以降は評価対象から外している。)
名古屋は東京・大阪に近いので充分カバーできるといった理由で、「名古屋飛ばし」となるのだが、それでも、かつてはコンサート終了後に大阪から名古屋への高速バス等の帰りの交通手段がないことに不満を述べる若者が少なくなかった。
日本全国酒飲み音頭[編集]
2番で12の道府県が紹介されたが静岡、富山、京都はあるのに名古屋(愛知)は飛ばされた。しかし、東京と大阪も飛ばされているため、愛知が特別飛ばされたわけではない。
テレビ番組[編集]
「地方放送局の番組事情」も参照
ゴールデンタイムの番組では、日本テレビが日曜22時台にドラマを新設した影響で「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」が中京テレビで未ネット、平日朝は東海テレビ放送で『ノンストップ!』、スポンサーの関係で日テレ版『キユーピー3分クッキング』[注釈 5]が中京テレビで未ネットであり、休日番組でも朝の「所さんの目がテン!」が中京テレビで未ネットで、昼の「噂の!東京マガジン」がCBCテレビで未ネットだった。
深夜番組では、在京局や在関西局で放送されるアニメや「ドラマ特区」などのドラマで、テレビ愛知、CBCテレビなど在名局で飛ばされることが多い。加えて、独立局の三重テレビやぎふチャンで放送する場合、愛知県東三河など両局が見れない地域で不利益になる。もっとも、TVerやエムキャスなどの見逃し配信視聴で解消できることも少なくない。
商業施設[編集]
2016年(平成28年)5月現在、イトーヨーカドー[注釈 6]、ASOKO[4]、IKEA[注釈 7]、マルイ[注釈 8]などの無進出例が挙げられる。
ヨドバシカメラも2017年にJRゲートタワーに出店予定だったが、同タワーの建設工事の遅れから、2015年5月14日にJRゲートタワーへの出店中止が発表された[5][6]。しかし、松坂屋名古屋店内に出店することが明らかになり[7][8][9][10]、同年10月29日に東海地方では初となるマルチメディア名古屋松坂屋店がオープンした[11][12][13][14][15]。しかし、ターミナル駅前に大規模進出する関東・関西店舗と異なり、交通の要衝というより繁華街である矢場町駅前のデパートのテナントとしての小規模店舗に留まった。アキバのアレや梅田のアレのような大型商業施設を期待していた市民の落胆はいかほどだっただろう。
その他、現在は名古屋地域へ出店しているが、首都圏、京阪神から名古屋を飛ばして、札仙広福などの他の地域へ先に出店したテナントに、コストコ[16]、H&M[17]、FOREVER21[18]、アメリカン・イーグル[19]、ラオックス[20]、フライング・タイガー・コペンハーゲン[21]などがある。
また、コンビニでは、セブンイレブンの愛知県進出が札仙広福よりはるかに遅く、21世紀にようやく名古屋に進出した[注釈 9]。
飲食店[編集]
麺類を中心に他地域のラーメンチェーンが出店しては潰れる傾向が強かった。
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金融[編集]
金融機関も地方銀行で、名古屋に支店を置いたものの、貸出金利の競争に勝つことができず、撤退した銀行が多い。
民放[編集]
地方民放局が名古屋に支社・支局を置いたものの、在名局製作の全国ネット番組が減って、存在価値が減退したこともあり、大阪支社に機能統合をした局が多い。
競馬[編集]
現在は中京競馬場が存在するが、1953年7月以前は東海地方で日本競馬会による競馬開催はなく、名古屋飛ばし状態だった。
2024年初頭の虹ヶ咲イベント[編集]
ニジガク展とレジャフェスが開催されたが、前者は東京と大阪でのみの開催で、後者に至っては、静岡県浜松市の浜名湖パルパルという愛知に近い地で開催はされたものの、共に愛知、岐阜、三重のレジャー施設で一切開催されず、事実上の名古屋飛ばしとなった。
脚注[編集]
- 注釈
- ↑ 東京発先行で名古屋停車可能なダイヤだと、現在の米子着昼12時台という夜行としてはとんでもなく遅い時間帯ではなくなるはずで、出雲市以西へも現在より早い列車に乗車可能になったり、新見駅で芸備線や姫新線の初発に乗車可能になるメリットがあると思われる。
後者については、誰が乗るんだよこれ?^^;という異論もあるが、『GW・お盆・年末に初発に接続させないで、いつ金稼ぎができるの』の方が正論のような気がする。 - ↑ 厳密に言えば停車はするが大阪駅でドアは開かず客扱いしない。大阪駅に停車する時刻が環状線の始発の20分前だし、関空連絡バスも動いている時間帯だから客扱いしてもいいような気もするが。
なお、下りサンライズが姫路まで客扱いしないことに不満を持つ人がポツポツ出だしたのは、寝台急行銀河廃止後のことで、客車特急の「出雲」が初期の急行期のように大阪駅を経由しないのも一因となった。 - ↑ 名古屋線に現れたLCD搭載通勤車が南大阪線には存在せず、かつ名古屋線VVVF車が優先的に車体更新に回されたという点では優遇されている。また、東武スカイツリーラインの一部区間で通勤型がVVVF車ゼロの状態となってしまったことを踏まえるとその点まだマシと言えよう。
- ↑ もっとも、国鉄分割民営化において、国鉄伊勢線をJR新会社に継承しないといったことやJR線の複線化が満足に進まず、京阪奈ほどJRの競争力が十二分にないことも、「名古屋飛ばし」状態を助長しているといえるのだが…。
- ↑ 代わりにCBCテレビがJNN系の一部にネットする『3分クッキング』を制作している。
- ↑ 愛知県内に6店舗あるが、鳴海店(現・なるぱーく)閉店以降、名古屋市内には店舗が存在しない。そのため、市内ではユニー(アピタ・ピアゴ)やイオン(GMS(同年9月1日から、市内のダイエー5店舗の運営を承継)とマックスバリュ中部)などが多い。
- ↑ 2017年を目処に愛知県長久手市のリニモ・公園西駅付近に出店予定。
- ↑ 2007年から2009年の間、名古屋・栄地区、ナディアパーク付近にインテリア専門店「インザルーム」を出店していた。現在はユニクロになっている。
- ↑ 隣県では豊橋市の市境に近い静岡県湖西市白須賀に1990年代に出店している。
- 出典
- ↑ ダイヤ改正「蒲田飛ばし」解消 区は安堵「協力して沿線街づくり」 東京新聞 2012年8月1日
- ↑ “世界の都市総合力ランキング(GPCI-2019)”. The Mori Memorial Foundation. 2020年4月29日確認。
- ↑ “都市総合力ランキング2012”. 森記念財団. 2020年4月29日確認。
- ↑ ASOKO
- ↑ “JR東海の名駅前新ビルにビックカメラ”. メ〜テレ (2015年5月14日). 2015年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月18日確認。
- ↑ “ビックカメラ、名古屋駅前JR高層ビルに出店 ヨドバシが断念”. 日本経済新聞社 (2015年5月14日). 2015年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月15日確認。
- ↑ お買い物がますます楽しくなる空間へ 松坂屋名古屋店「2015秋 ヨドバシカメラオープン」、大丸松坂屋百貨店プレスリリース、2015年6月9日
- ↑ ヨドバシ、松坂屋名古屋店に出店 11月開業、日本経済新聞、2015年6月9日
- ↑ 松坂屋名古屋店内にヨドバシが出店 中部初、11月開業へ,フジサンケイビジネスアイ,2015年6月9日
- ↑ ヨドバシカメラ、中部に初進出 松坂屋名古屋店に出店、朝日新聞デジタル、2015年6月10日
- ↑ お買いものがますます楽しく便利に!! 松坂屋名古屋店 第3期改装計画 10月末 先行オープン、大丸松坂屋百貨店プレスリリース、2015年10月16日
- ↑ ヨドバシカメラ中部・東海エリア初出店! マルチメディア名古屋松坂屋店 2015年10月29日(木)開店!、ヨドバシカメラ、2015年10月16日
- ↑ ヨドバシカメラが松坂屋名古屋店にオープン 中部初 - 中日新聞(2015年10月29日 11時14分)
- ↑ ヨドバシが名古屋進出 中部初、松坂屋に入居 - 産経ニュース(2015.10.29 13:56)
- ↑ 名古屋ヨドバシオープン 悲願の東海進出 - 読売新聞(2015年10月30日)
- ↑ コストコ
- ↑ H&M、松坂屋名古屋店に開店へ 売り場面積日本最大級朝日新聞2012年4月18日
- ↑ FOREVER 21/名古屋進出、イオンモールに出店流通ニュース2014年06月19日
- ↑ 名古屋ゼロゲート詳細発表 フォーエバー21やアメリカンイーグルなど5店舗
- ↑ ラオックス名古屋進出へ 爆買い対応、丸栄と交渉、中日新聞(CHUNICHI Web) 2015年12月7日
- ↑ フライング タイガー コペンハーゲン 名古屋栄ストア登場 - 東海エリアに初出店 | ニュース - ファッションプレス(2015年7月1日閲覧)
関連項目[編集]
- 大阪飛ばし - 名古屋民のレジスタンス