みえ (列車)
みえは、JR東海でキハ75形気動車により、運行されている快速列車のことである。JR東海と伊勢鉄道が名古屋駅 - 鳥羽駅間を関西本線・伊勢鉄道伊勢線・紀勢本線・参宮線経由で運行している。また、伊勢市駅から名古屋駅の区間運転列車も存在する。
停車駅[編集]
名古屋駅 - 桑名駅 - 四日市駅 - 鈴鹿駅 - 〈中瀬古駅〉 - 津駅 - 松阪駅 - 多気駅 - (外城田駅) - (田丸駅) - (宮川駅) - (山田上口駅) - 伊勢市駅 - (五十鈴ケ丘駅)- 二見浦駅 - (松下駅) - 鳥羽駅
- ( )は上下の一部列車のみ停車、〈 〉は上りの一部列車のみ停車。
- 鈴鹿サーキットでレースなどのイベント開催時には鈴鹿サーキット稲生駅に一部列車が臨時で停車することがある。
- この他、弥富~中瀬古間の大半を除く区間に亘って、単線が多い[注 1]ため、客扱いを行わない列車交換のための運転停車が行われることがある。
- 近鉄の乙特急と、停車駅の配置・間隔がほぼ同じである。
過去[編集]
- かつては鈴鹿駅を通過する列車もあった。また、土曜・休日ダイヤにおいて蟹江駅・弥富駅にも停車する列車(現在の区間快速停車駅)も設定されていた。池の浦シーサイド駅の営業日には、同駅に一部列車が臨時停車することもあった。
運用[編集]
車両[編集]
キハ75形気動車(JR東海名古屋車両区)が使用される。増結時は美濃太田所属車も借り出される。
かつてはキハ58・65が充当されていた。
座席[編集]
自由席[編集]
転換クロスシート。四日市以南は朝通勤時や行楽イベント時を除き、座席確保が比較的容易。
指定席[編集]
列車により、1両まるごと指定席の場合と1両の半分の場合がある。座席は自由席と同じで転換クロスシートで、リクライニングができない近郊列車仕様となっている。実質、名古屋〜四日市間の車内密回避のための手段化しているが、かつてのセントラルライナーのような下りの四日市以南での自由席開放は行われていない。
自由席と設備が同じで、違いがわかりにくいため、誤乗車トラブルが相次いでいることは察して下さい。
歴史[編集]
伊勢神宮を抱えることから、名古屋〜亀山〜伊勢市間の直通列車は戦前から運転され、1942年に近鉄伊勢線の新松阪〜大神宮前が廃止されて、近鉄が名伊直通を中断し、松阪も市街西寄りの新松阪[注 2]に止まったことから、亀山を迂回するにも関わらず、戦後は国鉄が唯一の名伊間直通輸送を担った。
しかし、伊勢湾台風襲来後の1959年12月に近鉄名古屋線が改軌され、松阪・宇治山田直通可能となって独占を失い、当時の近鉄鳥羽線未成や名古屋以遠への直通不可だったのを狙って、1966年に岐阜〜鳥羽間で急行「いすず」が新設された[注 3]が2年余りで廃止されるなど、徐々に国鉄は競争力を失い、1972年3月には、東京直通かつ唯一の名伊直通の国鉄急行だった急行「紀伊」が廃止となった。翌年には河原田〜津間を短絡する国鉄伊勢線(1987年3月に第三セクター化)が開通したが、特急、急行の直通は紀州路につながる名古屋〜松阪(多気)間に止まり[注 4]、分割民営化まで推移した。
分割民営化後のJR東海の東海鉄道事業本部は、中都市が連続する三重県の諸都市を市場として捉え、1988年にトライアルというべき「ホームライナーみえ」を名古屋〜伊勢市間で運行を開始し、1990年の3月のダイヤ改正でキハ58・キハ65を用いた快速「みえ」を名古屋〜松阪間を中心に設定。翌年には、参宮線への常時乗り入れを果たした。
その他[編集]
JR東海(特に新幹線鉄道事業本部)の意識[編集]
実際問題、JR東海は国鉄時代から変わらず、特に新幹線鉄道事業本部は、(関東から)伊勢・奈良方面へは新幹線と近鉄特急をご利用下さいなんて言っていることから、この列車は社内でも重みに温度差があるのかもしれない…。さらに、特定特急料金[注 5]や割引きっぷなどで、近鉄特急への対抗策を行わない特急「南紀」は相当見捨てられているかもしれない。
JR東海が優位な点[編集]
- 近鉄より運賃が安い区間が(意外と)存在。
- 名古屋 - 四日市間
- 津 - 松阪間
- 松阪 - 伊勢市間
- 伊勢市 - 鳥羽間(JRが地交線の中で意外)
営業キロ | 運賃 | 所要時間 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
近鉄名古屋・山田線 | 20.7km | 490円 | 急行・25分 | |
JR紀勢本線 | 19.1km | 330円 | みえ・19分 |
運賃計算キロ | 運賃 | 所要時間 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
近鉄山田線 | 19.3km | 490円 | 急行・14分 | |
JR紀勢・参宮線 | 22.9km | 420円 | みえ・25分 |
営業キロ | 運賃 | 所要時間 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
近鉄山田・鳥羽線 | 13.8km | 390円[注 6] | 19分 | |
JR参宮線 | 14.1km | 240円 | 19分 |
- 伊勢市 - 松阪間で、近鉄の急行の間が空く間、特急券を払うより得に普通を捨てても速く着く場合がある。
誤乗車[編集]
誤乗車が相次いでいるため、どのようなことが誤乗車した人に起こるかをこの節で説明する。
- 車掌「本日は誤乗車ありがとうございます。車内改札に参りました。切符を拝見致します。」
- 乗客が切符を差し出す。
- 車掌「お客様、指定券もご提示願います(指定券の所持を前提に対応)。」
- 乗客「指定券がいるの?私、持ってないです。」
- 車掌「えっ、持ってないですね。それでは指定席料金の520円をお支払い下さい。[注 7]」
- 乗客「自由席に移るので払わなくてもいいですか?」
- 車掌「何をおっしゃるのですか?指定席に座っている時点で指定券を購入する義務があるのですよ。お支払い下さい。(帰らせないぞ)」
- 乗客が泣く泣く指定券を購入する。
とまあ、こんな感じなので注意しよう。
加えて、青春18シーズンには、伊勢鉄道分は別払いということを認知しない人とトラブルになっている。これは自由席でも然り。
今後[編集]
特急南紀でHC85系での置き換えが完了しキハ85系が淘汰しているため、キハ75の老朽取替時期にはハイブリッド気動車が来ると予想される。
もっとも、平日に混んで4両以上が必要なのはせいぜい電化区間の四日市以北であり、伊勢平野は平坦なので、どうせなら313系、315系と併結可能で電化区間で架線運用可能な2両編成基本のハイブリッド気動車か蓄電池電車の方を一気に「みえ」に投入し、多気以北で「南紀」の近鉄特急対抗料金値下げを実施[注 5]して、車両・乗務員運用を合理化する手はないのだろうかと感じる[注 8]。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- 注
- ↑ 但し、戦前は、現在の阿漕~高茶屋間、松阪~徳和間、多気~宮川間、山田上口~伊勢市間が複線だった。
- ↑ 大黒田町にあり、近鉄伊勢線廃止後にバスターミナルとなり、バス撤退後にデニーズ松阪店が建ったが、2010年に閉店。
- ↑ 「いすず」設定以前には、準急「ひだ」の四日市乗り入れが存在した。
- ↑ 普通列車も関西本線電化で名古屋~多気間(亀山経由)の直通が消滅した。
- ↑ a b JR東海は格安の特急料金を営業キロが30kmまでの区間、および営業キロが50kmまでの区間で設定しているが、前者で7.2kmだけ超過の名古屋~四日市間、後者でJRの営業キロ10km以上超過の名古屋~松阪~多気間で無慈悲にも非適用である。
- ↑ 伊勢市駅から徒歩圏の宇治山田駅だと360円
- ↑ 時期により、指定席料金が320円の場合がある。
- ↑ 2014年から2015年にかけて313系電車を気動車にしたようなキハ25形が紀勢・参宮線に投入されているが、2014年3月時点でJR東日本ではハイブリッド気動車も蓄電池電車も普通列車に投入されていたことを思うと、正直、JR-Cのハイブリッド気動車や蓄電池電車の優先順位が低すぎるとしか思え
ず、かつ四日市以南の乗車状況から変態連結、あるいは奇数両組成ができないと投入の意味がないと感じる。
- 出典
東海旅客鉄道の在来線列車 |