ベルギー
ベルギー王国(ベルギーおうこく)とは、ヨーロッパ大陸の北西部に位置する国家である。政体は立憲君主連邦制。国土面積は3万1000平方キロ(日本の九州の約8割)。人口は2011年の時点で1043万1000人。人口密度は341.7人/㎢。首都はブリュッセル。最大の都市もブリュッセル。国名の由来は先住民のベルガエ族の名に由来すると言われており、語義はケルト語の「bhelgh(活発な、行動的なを意味する)」からと言われているが、諸説があってよくわかっていない。なお、フラマン語読みではベルヒエ、ワロン語読みではベルジックといい、ベルギーはフラマン語訛りの日本での慣用地名である。
概要[編集]
北はオランダ、南はフランス、南東はルクセンブルク、東はドイツと国境を接する。
歴史[編集]
この地域は中世はフランドル伯領、ブラバント公国などの一部として支配されていた。15世紀になるとブルゴーニュ家、ハプスブルク家、フランス王国などの一部として支配される。古くからオランダやルクセンブルクなどと文化、歴史的な結びつきが強く、そのためこの2か国とともに「ベネルクス3国」と呼ばれてきた。
1815年、オランダに併合されるが、オランダはプロテスタント、ベルギーはカトリックが主流という背景もあり、1831年に独立を果たした。1839年には永世中立国として各国から保障を受けた。独立間もない新生国家だったが、この国は当時から石炭資源が豊富だったことから、これを利用して早くに産業革命を成し遂げている。なお、第1次世界大戦後には永世中立の方針を転換して中立政策は放棄している。1932年に言語法を制定して南北に言語地域を二分した。しかし間もなくナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーの脅威が迫り、第2次世界大戦が開始されると中立を宣言したもののヒトラーに無視されて侵攻され、無条件降伏をせざるを得なくなる。このような歴史から「道」と呼ばれる事がある。後に連合軍によって解放され、1945年12月27日には国連に加盟した。
1957年にはヨーロッパ経済共同体(EEC)の設立に参加し、後にブリュッセルに現在のEU本部が設置されることになった。ベルギー自体は小国であるが、その地理的条件や地政学的要件を生かして北大西洋条約機構(NATO)の本部が置かれ、周辺7か国のテレビを受信することも可能な状態である。
ただ、この国はそもそも独立に至るまでフランス、オランダ、ドイツなど周辺の強国の支配を受けてきた関係から内部事情が非常に複雑で、特にオランダ語系とフランス語系のベルギーという国を二分する言語対立が内包されていた。1963年になってこの対立を解消するために言語境界線なるものが設けられ、1980年にはワロンとフラマンの2言語地域に部分的な自治を認める法律が成立した。しかし、オランダ系フラマン人とフランス系ワロン人の人種的・言語的対立はその程度では解決に至らず、1988年にはベルギー東部のフーロンで武力衝突に発展するほどであった。これはいわゆる「EU統合の中の分裂」とまで言われるほどで、5年後の1993年にベルギー議会は、ワロン・フラマン・ブリュッセルの各地域の政府と、オランダ語とフランス語とドイツ語の各言語共同体政府からなる連邦国府に移行する憲法改正案を可決する。これにより同年5月、ベルギーは世界でも例がほとんど無い君主制の連邦国家としてのスタートが開始される。つまり、この新しい連邦制法案において通商・環境・農業政策などの権限をワロン、フラマン両地域に移譲して、中央政府の権限を縮小したのである(ただし弁護するために言っておくが、フラマン人は大柄で実直、慎重であると言われ、ワロン人は小柄で辛辣だが社交的な気質を持っていると言われている)。
1994年、ベルギーで徴兵制が廃止。さらに1995年では西欧諸国の中では唯一存続させていた死刑制度も全廃した。1999年にはEU単一通貨であるユーロの導入の第1陣に参加している。2002年にはオランダに次ぐ形で世界で2番目に安楽死法を可決・成立させた。
文化など[編集]
我々日本人がベルギーを思い浮かべるイメージとしては、名作『フランダースの犬』と首都にある小便小僧などであるが、それ以外にも童話『青い鳥』やダイヤモンド加工などこの国には多くの文化、技術の面で誇るものが数多く存在する。
また食通の国としても有名で、ブリュッセルでの人口当たりのレストランの数は、ヨーロッパ各国の首都の中では1位である。ベルギー料理の水準は決してフランス料理に引けを取らぬと言われており、ベルギーワッフルやプラリネという生のチョコレート、トラピストビールなどの嗜好品の面でも注目されている。
地理など[編集]
この国の北部はフランドル平原が広がっているが、南下するにつれて高度が増して、南東部に至ると平均高度は500メートルに至るアルデンヌ高原がある。偏西風の影響で冬季も比較的温和なのだが、内陸部は積雪も多くて寒さも厳しい。降水量は年間で見るとほぼ一定している。
この国はその地理的条件や欧州統合の動きなどから、「ヨーロッパの十字路」と呼ばれており、地政学的には非常に重要な位置を占めている。
首都・ブリュッセルの年平均気温は10.2度で、最高気温が7月の17.9度、最低気温は1月の3.1度であり、年間降水量は823ミリである。
経済など[編集]
製鉄、機械、石油化学、食品加工、通信機器などの工業が非常に盛んな国で、ダイヤモンドの研磨が特にベルギーを代表する産業の1つとなっている。
社会保障制度が整備され、賃金水準は非常に高く、EU諸国の中では最高水準を誇っている。
宗教[編集]
住民[編集]
- オランダ系が58パーセント。
- フランス系が31パーセント。
言語[編集]
通貨単位[編集]
国内総生産[編集]
- 1人当たり国内総生産は4万2630米ドル(2010年)
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 王室
- 連邦政府
- 地域政府
- 日本政府
- 観光
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