賃金
賃金(ちんぎん)とは、労働者の働きに対して会社から支払われる金銭のことを指す。賃金に含まれるものは毎月支払われる「基本給」、養う家族がいる場合に支給される「扶養家族手当」、勤務時間以外に働いた時に支給される「時間外手当」、「賞与(ボーナス)」、「退職金」などである[1]。
概要[編集]
基準[編集]
同じ会社で働いていても賃金が異なる場合があるが、これは会社が労働者に複数の基準を設定しているところによる[1]。例えば年齢、勤続年数、仕事における能力、実績、責任の重さなどであり、どの基準を重視するかについては会社によって異なる[1][2]。年齢や勤続年数を重視する会社であれば年長者になるほど賃金が上がり、仕事の能力や責任の重さが重要と考える会社であれば年齢に関係なく若年であっても高い賃金を得ることがある[2]。
どのような基準を使って賃金を決定するかは会社の自由である[2]。ただし「国籍」「政治的な考え方」「性別」「労働組合への関与の仕方」などを基準にすることは禁止されている[2]。
大企業の場合、毎年2月、3月頃に、従業員の賃金について会社と労働組合の間で交渉の場が持たれる。これを春闘と呼ぶ。春闘での主な争点は、基本給と一時金それぞれの額で、基本給の引き上げのことをベースアップ、略してベアと呼ぶ。
賃金支払いの原則[編集]
労働者が労働の対価として得た賃金は労働者本人の手に確実に渡らねばならず、そのため賃金の支払い方法には「親や代理人などではなく、労働者本人に支払う」「毎月1回以上、支払日を決めて支払う」などのルールがある[2]。
この中で最も重要なのが「通貨支払いの原則」である[2]。外国では賃金を小切手で支払うケースもよくあり、この場合は労働者は銀行に赴いて小切手を現金に換える必要がある[2]。しかし日本では賃金を通貨で支払うことが決められており、現金を直接、労働者に手渡ししてもいいし、労働者の同意を得て銀行口座に振り込んでも良い[2]。支払方法にどちらをとるかは会社の自由である。
労働時間で端数を切り捨てるのは違法とされる。例えば「5分」などの単位で労働時間を管理し、端数を切り捨てて賃金計算することは「全額支払いの原則」に反している。ただし、企業側の事務作業の煩雑さを考慮し、時間外労働などの割増賃金を計算する際、1か月分の合計を計算する場合には、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げてもよいとの例外も認められている。