ロングシート地獄

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ロングシート地獄とは、ロングシートの鉄道車両に乗車することによって生じる乗客の不快感のこと。

概要[編集]

ロングシートは無理な詰め込みが利く、乗降がしやすくなるという利点があり、必ずしも地獄だとは限らないが、一方で座席数が少なくなって着席機会が減ることや、長時間座ってお尻が痛くなったり、外の景色が背中になって眺望が削がれるといった苦痛を感じている利用者がいることを指す。
このために、ロングシートは長距離列車の運用に不向きとされるが、わざわざ長距離運用に入れる羽目になってしまう例も近年では後を絶たない。

主に18きっぱークロスシート基調のバス利用者や更新前のセミクロスシート車両が好評だった線区の利用者によりこの言葉は生まれた。

一例 (JR)[編集]

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札幌地区[編集]

転換クロスシートが多かったが、733系よりロングシートを導入し、将来的にはエアポート自由席車両もすべてロングシート車になると推測される。

東北地区[編集]

投入された701系の一部はロングシートであり、地元住民からも散々コケにされており、高齢者からも「景色が後ろ向きは苦痛」との不満がある。

田沢湖線の車両や秋田所属のうち3本、三セクの一部はセミクロスシートだが仙台支社の701系は全てロングシート。

過去には701系で黒磯一ノ関行き(福島駅仙台快速仙台シティラビット)なんて列車もあった。(現在はE721系で新白河発福島行き)

苦痛緩和の一方策として仙石線には「2WAYシート」が導入されたが、他線区には波及していない。 その2WAYシートもクロスシートで運転する運用は定期、臨時合わせても存在しない。

宇都宮線日光線[編集]

当該線区にはE131系が投入されるが、房総地区のようにセミクロスシートとはならず、オールロングシートとなっている。

もともと走っていた205系もロングシートであったが、一部セミクロスのE231系1000番台E233系3000番台の宇都宮以北運用も置き換えられたため、改悪と言える。

しかし、過去を掘り下げると急行型の165系が走っており、これが107系に置き換えられた際にロングシート地獄が始まっているとみなして良い(強引)。

横須賀線総武快速線[編集]

E217系置き換えのために当該線区に投入されているE235系は15両中一般車13両全車がオールロングシートという、長距離利用に見合わない編成構成となった。

しかし朝ラッシュのコロナ前の混雑率は武蔵小杉駅西大井駅で190%を超えたためロングシートで製造されても仕方ない。

一方従来のE217系は基本編成の千葉方3両がセミクロスシートだが、椅子はカチコチベンチシートなので相対的にはE235系と大差ないと思われる。

静岡地区[編集]

もはや代表格。しかもトイレも全くつかない場合もある。ただし、途中で長時間停車を行うものもあり、その際は停車中に駅のトイレを借りて済むほか、興津島田といった頻発末端駅での段落ち(後続)乗車を巧みに使うことで、トイレ無し対策を取ることができる。

2022年3月、旧セントラルライナー編成が静岡に転入してきたが、あくまでもトイレ無し211系編成を駆逐する目的で、最終的に315系の導入でトイレなし地獄の完全解消を実現する計画のため、ロングシート地獄の緩和は広範囲に及ばないと考えられる[注 1]。また、313系1300番台も2024年3月から静岡で運用を開始しているが、こちらは身延線2両編成の完全ワンマン化を実現する計画のために主に御殿場線のワンマン運転で使用されており、ロングシート地獄の解消が主目的ではないと判断できる。313系300番台についても211系の早期淘汰を目指して転入したものと言えよう。

名古屋地区[編集]

2023年度までに、315系に車両が統一される中央本線名古屋 - 中津川間、および朝夕の普通、区間快速、快速電車が315系に置き換わる関西本線四日市 - 亀山間で、ロングシート地獄が拡大することが避けられない[注 2]
東海道本線の名古屋口については、当面武豊線直通とその間合いを除き313系で賄われるが、将来的には、日中や大府以東の運用まで315系で賄う可能性も否定できず、その場合は少なからずロングシート地獄が進むと思われる[注 1]

南紀エリア[編集]

ここもオールロングシート車が多数を占めるエリアで面白いことにクロスシートが多いJR西日本区間ですらオールロングシートの227系が使用されている。せっかく景色が素晴らしい海沿いの路線なのに眺望には一切考慮されていない。どうしてクロスシートの223系は混雑が激しい京都に転属したのになんでオールロングの227系にしなかったんだ

しかし先代の105系は同じオールロングでもトイレすら付いていなかった時期もあったんで多少改善したとは言える。

中国山地の山間部[編集]

木次線、芸備線の備後落合以西、福塩線の非電化区間でキハ120系のロングシート車が使用されている[注 3]。ただでさえ必殺徐行で時間がかかるのに、その上ロングシートという、ロングシート地獄そのものである。ロングシートにしないと乗客を乗せきれないほど混むのだろうか?だとすれば廃止できないから安心だな。

九州のほぼ全域[編集]

九州の電車は最近ロングシート化が進行しておりさらに一部の車両は座り心地が最悪というまさに改悪の天下とも言えるような状況になっている。

もっとも、福岡近郊ではクロスシートにより座席撤去の地獄を招かざるを得ない状況だったことは確かである。

一例 (関東以外の私鉄)[編集]

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関東の首都圏では既にロングシートが当たり前なので扱わないが、東武日光線系統の末端のみは観光路線とみなし例外として扱う。

東武日光線東武宇都宮線[編集]

これらの線区にかつてはびこっていたセミクロスシートの6050系を置き換えた20400型は、ロングシートはおろかトイレもなく、さらに車体長まで短いため輸送力減少地獄に改悪されたと思われる。

名古屋鉄道[編集]

自動車に対抗するため、2ドアのクロスシートでの通勤をモットーとしていたが、1973年のオイルショックを機に3ドアを投入。2005年の空港開業以降は8両中後ろ2両がロングシートという特急も現れた。

ほぼ我慢大会となるのは名鉄774列車で、2時間半ロングシート&トイレなしで、鳴海で前方の車両に乗り換えていると停車時間が4分しかないためトイレに行く暇が全くない。

また、瀬戸線築港線豊田線は絶対にロングシートの電車しか来ない。三河線蒲郡線は基本的にはロングシートの電車しか来ないが、代走でクロスシート車が来ることがある。

なお、かつてパノラマカー白帯車で座席指定を行っていた頃はロングシート部分からも座席指定料金を取っていた。

近鉄名古屋線[編集]

急行の一部に4ドアオールロングトイレ付きが入る(1400系FC07編成、2800系AX17編成、1200系FC92・93編成)ことがあるが、むしろラッシュ時に5200系をぶち込まれた方が混雑は甚だしく、こちらのほうが地獄と言って良い。

普通列車はすべてロングだが、短距離移動が主で、かつ座面の固いシリーズ21の配置がない以上それほど苦だと思う必要はない。

近鉄大阪線[編集]

ほとんどの峠越え急行が2610系ロングシート車により運転されるが、トイレがついている分は安心である。

南海電気鉄道[編集]

一般車はオールロングのトイレなしであるが、快速急行極楽橋行きについてはそれに1時間半以上耐えなければならない。

かつてはロングシート部分からも座席指定料金を取る定期特急もあった。

阪急京都線・京阪のハズレ特急[編集]

京阪間の特急のクロスシートサービスを充実させたという印象のある両私鉄線だが、全てをクロスシート編成では賄えず、ロングシート編成の特急も運転され「ハズレ特急」と呼ばれて、新快速の編成が均一のJRより好感度を下げている。なお、ハズレ率は阪急の方が高いらしい。

阪神・山陽のハズレ直通特急[編集]

平成初期は、阪神が全車ロングシートであったのに対し、山陽は特急がクロスシートでほぼ統一されていた。ここで1998年、両者の直通運転が開始され、阪神のロングシート車が姫路まで、山陽のクロスシート車が大阪梅田まで乗入れる様になり、阪神車が「ハズレ直通特急」のレッテルを貼られる様になった。ただしその後、阪神がクロスシートの9300系を、山陽がロングシートの6000系を投入する様になり、車輌の所属だけでは当たり外れが決まらない様になっている。

その後[編集]

2022年に入り、JR九州にてロングシートより恐ろしい改造を施された車両が現れ、こちらについては一般客からも1時間ずっと立ちっぱなしだったなどと酷評を買い[注 4]、海外の草創期の鉄道の三等車並みの格差を感じる原因ともなりかねない。結局ロングシート化により終焉を迎えることとなり、座席撤去地獄は解消される。

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈
  1. a b なお、車両番号の都合で、313系のY30→K編成は静岡への全数転属の可能性が極めて高く、穴埋めのための大垣向けの315系投入によるロングシート地獄の拡大は確定と思われる。もっとも、大垣では転換クロスシートで混雑を助長させていることから少なからずロングは必要とわかるが、315系の4×2による新快速は朝夕や代走以外で極力避けてほしいところ。
  2. 関西本線の日中については、初稿当時、315系4連編成の仕様が不明な状況であり、313系2連ワンマンの存廃も含め、見通しが全くつかなかったが、結局遠隔カメラ使用のワンマン運転対応となった。このため、関西本線で事実上の信用乗車方式の採用、あるいは無人駅管理システム導入で315系による全4連化が、2026年以降に実施された場合は日中もロングシート地獄となる。なお、かつては4連の場合、ワンマン廃止もしくは駅務員配置の都市型ワンマンで対処する必要があるとされたが、完全無人駅を含む八高南線で電車四連ワンマン、水戸線で電車5連ワンマンが実施されている。
  3. ただし木次線や芸備線にもクロスシートを備える200番台や300番台がいる、乗る時は当たるように願おう。
  4. 初版投稿者についても旅先で苦労したと述べた。
出典


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