ジェイアールバス関東
ジェイアールバス関東株式会社(ジェイアールバスかんとう)は、関東地方と福島県・長野県・愛知県に拠点を持ち、主に東京を中心として高速バス・一般路線バス・貸切バスを運行する東日本旅客鉄道グループのバス事業者である。
概要[編集]
日本国有鉄道が分割民営化された際、国鉄が運営していたバス事業(国鉄バス)のうち関東、信越、東北各自動車局の路線がJR東日本へと引き継がれた[注 1]。
当初はJR東日本がJR東日本バスとしてバス事業を直営し、つくば号が民営化初日に開業[注 2]したことが話題になったが、1988年にバス事業が分社化されることとなり関東・信越地区の事業を引き継いで営業を開始した。なおJR東日本バス時代は東北地方も営業区域としていたが、福島県の磐越東線を境に北側はジェイアールバス東北に継承された。
会社の収益の主な柱は高速バス事業であり、東京から関東・東北・中部・近畿・四国を結ぶ近距離から長距離夜行路線と長野県内と京都・大阪を結ぶ長距離夜行路線を運行する。路線キロは2021年3月現在で5687.5km、車両数は405両を有し、日本屈指の高速バス事業者として知られる。なお、会社発足初期の高収益路線だったつくば号や東京湾岸線(東京ディズニーランド直行路線)はつくばエクスプレスや京葉線の開通で乗車実績が落ち、後者は昼行運行を廃止した。
一般路線バスは国鉄時代から引き継いだものが縮小傾向ながら運行を継続しており、近年は自治体からコミュニティバスの委託を受ける事例もある。
貸切バスは東京都(島しょ部を除く)、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、長野県、福島県を営業エリアに持ち、前述の各都県発着の貸切バスを取り扱う。2020年頃からは自社所属の貴重な車両を利用したバスツアーを自社で多く催行している。
本社は2021年9月20日までは渋谷区代々木のJR東日本本社ビル内に置いていたが、21日に江東区塩浜の東京支店構内[注 3]へ移転した。
支店・営業所[編集]
営業区域内に17の支店を有し、このうち新城と東京営業支店を除く15の支店は車庫機能を持ち、車両が配置されている。
支店が営業区域内に広く存在することから、長距離を運行する高速バスにおいて、途中で地上待機の乗務員と交代をする体制を整えている。東京から関西方面の路線は新東名高速道路新城インターチェンジ、四国・高知方面の路線は新城インターと徳島駅、東京から金沢方面の路線は上信越自動車道東部湯の丸サービスエリアで共同運行相手の地上待機の乗務員と交代する。これにより、ハンドル時間やワンマン運行の距離を法令の範囲内に収めつつ、乗務員の負担も大きく軽減している。
運行中の高速バス[編集]
東北方面[編集]
北関東方面[編集]
- 上州湯めぐり号/東京湯めぐり号(新宿/東京 - 伊香保・草津) - 上野発着の1往復は秩父鉄道観光バスが運行するアライアンス便。
- 本庄・伊勢崎ルート(新宿 - 本庄・伊勢崎) - 一部便は群馬中央バスへ管理委託
- 佐久・小諸号(新宿 - 佐久平・小諸)
- 那須・塩原号(新宿 - 那須・塩原) - 関東自動車と共同運行
- マロニエ新宿号/マロニエ東京号(新宿/東京 - 佐野)
- ひたち号(東京 - 日立・高萩) - 茨城交通と共同運行
- みと号(東京 - 水戸) - 茨城交通・関東鉄道と共同運行
- つくば号(東京 - つくば) - 関東鉄道と共同運行
- かしま号(東京 - 鹿島神宮・カシマサッカースタジアム) - ジェイアールバステック・京成バス・関東鉄道と共同運行
- [直行]カシマサッカースタジアム号(東京 - カシマサッカースタジアム) - 京成バス・関東鉄道と共同運行
南関東方面[編集]
- 東京駅-流山おおたかの森・柏の葉キャンパス線(東京 - 柏の葉キャンパス) - 東武バスセントラル・京成バスと共同運行
- 吉川・松伏号(東京 - 松伏)
- ムーミンバレーパーク直行号(東京 - ムーミンバレーパーク)
- 東京 - 境町線(東京 - 境町高速バスターミナル) - 関東鉄道と共同運行
- エアポートバス東京・成田(東京 - 成田空港) - 平和交通・あすか交通・西岬観光・京成バス・成田空港交通・京成バスシステム・京成トランジットバスと共同運行
- 東京-富里・航空科学博物館・多古線(東京 - 多古台バスターミナル) - 千葉交通と共同運行
- 房総なのはな号/新宿なのはな号(東京/新宿 - 安房白浜) - 日東交通と共同運行
- 新宿-TDR線(新宿 - 東京ディズニーリゾート) - 京成バスと共同運行
- マイタウン・ダイレクトバスTDR・新浦安線(東京 - 東京ディズニーリゾート・新浦安) - 京成バス・東京ベイシティ交通と共同運行
- 秦野丹沢登山号(東京 - 秦野丹沢登山口大倉)
- 東京港フェリー線 (東京駅 - 国際展示場駅 - 東京港フェリーターミナル)
甲信方面[編集]
- 東京・河口湖号(東京 - 河口湖) - 富士急バス・フジエクスプレスと共同運行
- 中央高速バス諏訪岡谷線(新宿 - 諏訪・岡谷) - 京王バス幹事[注 4]。フジエクスプレス・富士急行・山梨交通・アルピコ交通と共に共同運行
中部方面[編集]
- 御殿場プレミアム・アウトレット号(東京・新宿 - 御殿場プレミアム・アウトレット) - ジェイアールバステックと共同運行
- しみずライナー(東京 - 清水) - しずてつジャストラインと共同運行
- 新宿・静岡号(東京 - 静岡) - しずてつジャストライン・ジェイアール東海バス・京王バスと共同運行
- 知多シーガル号(東京 - 知多半田)
- ドリーム知多号(東京ディズニーランド・東京 - 太田川) - ジェイアール東海バスと共同運行。旧・知多シーガル夜行便。
- 東名ハイウェイバス/新東名スーパーライナー(東京 - 名古屋) - ジェイアールバステック・ジェイアール東海バスと共同運行
- 中央ライナー可児号 / ドリーム可児号(東京・新宿 - 可児) - 東濃鉄道へ運行委託
- ドリームなごや号(東京・新宿 - 名古屋) - ジェイアール東海バスと共同運行
北陸方面[編集]
- グランドリーム金沢号/青春ドリーム金沢号(東京ディズニーランド・東京・新宿 - 富山・金沢) - 西日本ジェイアールバスと共同運行
- 青春ドリーム福井号(東京ディズニーランド・東京・新宿 - 福井)
関西・四国方面[編集]
- グラン昼特急/青春昼特急(東京 - 京都・大阪) - 西日本ジェイアールバスと共同運行
- グランドリーム号/ドリームルリエ号/プレミアムドリーム号/青春エコドリーム号(東京ディズニーランド・東京・新宿 - 京都・奈良・大阪・USJ・三宮) - 西日本ジェイアールバスと共同運行
- ドリーム阿南・徳島号(東京ディズニーランド・東京・新宿 - 徳島・阿南) - ジェイアール四国バスと共同運行し、徳島バスへ運行委託
アライアンス運行路線[編集]
他社との共同運行ではなく、提携という形で提携相手がJRバス関東に準じたデザインの車両で運行する路線。2024年9月時点では秩父鉄道観光バスとアライアンスを組んでいる。
- ゆめぐり埼玉号(加須・行田・熊谷 - 伊香保温泉・草津温泉)
- 東京ゆめぐり号(上野・東京 - 伊香保温泉・草津温泉)
過去の高速バス路線[編集]
- さわら・いたこ・あそう号(東京 - 佐原・潮来・麻生) - 2005年9月一杯で撤退。現在は関東鉄道単独運行。
- はさき号(東京 - 神栖・波崎) - 2023年3月一杯で撤退。現在は関東鉄道単独運行。
- 中央ライナーなごや号(東京・新宿 - 桃花台・栄・名古屋) - 2024年(令和6年)3月廃止[注 5]。廃止前はジェイアール東海バスと共同運行
- 青春ドリーム信州号(小諸・佐久平・長野 - 京都・大阪) - 2024年運行休止。休止時点では西日本ジェイアールバスと共同運行
一般路線バス[編集]
国鉄から引き継いだ路線を一部枝線を廃止した程度で運行を継続していたが、1993年から98年にかけて当時有していた一般路線バスの総距離のうち40%にあたる591.6kmを利用者数の著しい減少などを理由に廃止にすると表明。会社発足時におよそ1700kmあった一般路線バスは1997年時点で1214kmにまでおよそ500km近く減少した。廃止対象路線の一部は自治体からの補助金や、運行主体を自治体に変えてJRバス関東が引き続き運行を受託するという形で存続しているものもあるが、2000年代以降も南筑波線(土浦 - 下妻本町 - 古河)などを廃止している。
存続路線のうち、館山・小諸管轄の一部では高速バスが直通運行するものもあり、限られたリソースで効率よく地域輸送を維持している。
- 白棚線・磐城南線(白河駅 - 新白河駅 - 磐城棚倉 - 祖父岡)
- 塩原線(那須塩原 - 西那須野 - 塩原温泉)
- 水都西線(作新学院前 - 東武駅前 - JR宇都宮 - 宇大前 - 芳賀町工業団地管理センター前 - 市塙 - 茂木)[注 6]
- 霞ヶ浦線(土浦駅 - 美浦トレセン - 江戸崎)
- 君島線(土浦 - 阿見 - 君島 - 江戸崎)
- イオンモール土浦線(土浦/つくばセンター - イオンモール土浦)
- あみプレミアム・アウトレット線(荒川沖駅 - あみプレミアム・アウトレット)
- ひたち野うしく線(ひたち野うしく - 牛久英進高校 - つくばセンター)
- 深夜バス土浦リレー号(取手駅 - 土浦/土浦 - ひたち野うしく)
- 東古河線(古河 - 駒羽根 - 大網)
- 多古線(成田 - 三里塚 - 多古台バスターミナル - 八日市場)
- 栗源線(多古台バスターミナル - 佐原)
- 国際医療福祉大学成田病院線(成田 - 国際医療福祉大学成田病院・病院南)
- 南房州本線(館山駅 - 安房神戸 - 安房自然村 - 安房白浜)
- 州の崎線(館山 - 休暇村館山前 - 平砂浦ビーチホテル - 伊戸漁港 - 南房パラダイス - 安房自然村)
- 志賀草津高原線(長野原草津口駅 - 草津温泉 - 白根火山)
- 碓氷線(横川駅 - 軽井沢駅)
- 高峰高原線(佐久平 - 小諸 - 浅間山登山口 - 高峰温泉)
- 和田峠北線(上田 - 大屋 - 丸子中央病院 - 長久保)
- 高遠線(上伊那農業高校 - 伊那北 - 伊那市 - 高遠駅 - さくらの湯 - 高遠高校 - 古屋敷)
脚注[編集]
注[編集]
東名ハイウェイバス(東名高速線) |