新常磐交通
新常磐交通株式会社(しんじょうばんこうつうかぶしきがいしゃ)とは、福島県いわき市に本社を置くバス事業者。
概要[編集]
福島県浜通り地方を中心に路線バスなどを運行しているグリーンキャブ系のバス事業者である。また、タクシー事業を行う常交タクシーや常交南部タクシーなどもグループ企業として存在している。「常交」という略称や前身である常磐交通の名で呼ばれることも多い。
福島県内は公営バスがなく、会津地方の会津バス、中通り地方の福島交通、そして浜通り地方の新常磐交通、中通り南部のJRバス関東、中通り北部のJRバス東北によって路線バスが運行されている。
いわき市から南相馬までの各地域における路線バス、県内外の主要都市を結ぶ高速バスを主に運行しているが、東日本大震災以降いわき市以北のほとんどの路線が運休している。こと路線バスに至っては富岡町と浪江町、および川内村を連絡するバスの運行程度である。特急としていわきと広野町、楢葉町や富岡町をつなぐ路線は運行されている。2023年現在、これらの運休路線の運行再開のアナウンスはない模様。
いわき市内において路線バスを運行している企業は新常磐交通のみであり、同市内で路線バスとタクシーを運行する唯一の企業でもある。
路線は常磐交通時代からほぼ変わらず、利用者にとっては社名が変わったこと以外で違いはほぼないようなものであった。なお、社名変更に伴い所有しているバスの「常磐交通」という文字の横に小さく「新」という字が入ったステッカーが貼られていた。現在では新車導入の際に「新常磐交通」の名前で塗装しなおされるため、あまり見られないものになっている。
近年は利用者の減少や従業員不足に合わせ、路線を維持しつつも便数を減らすなど業務の効率化を狙っているようである。もっとも、常磐交通時代から山間部などの路線が廃止されることも多く、全国的に見ても早期からデマンド型乗合タクシーに置き換えられていった背景があるため[1]、将来的に営業路線が縮小される可能性は否定できない。
長らくICカード決済は導入されず、回数券や磁気式のバスカードが決済手段のひとつとして用意されていたが2023年11月に地域連携ICカードの導入が発表された[2]。2024年春にサービス開始予定であり、従来のバスカードは同年秋をめどにサービス終了の予定とのこと。
歴史[編集]
陸運統制令によって、福島県浜通りの乗合事業者が統合して、1943年に発足した常磐交通自動車とその子会社である常交中小型自動車を前身とし、常磐交通より常交中小型自動車へ2006年に事業譲渡された後に新常磐交通と社名を変更したものである。
前身の常磐交通自動車が多角経営の悪化による債務過剰に陥り、新旧分離方式による会社再建の結果生まれた会社である。再建に伴い、東京都のタクシー事業者であるグリーンキャブの出資を受けて同社の子会社となっている。
関連事業[編集]
- 自動車教習部
- いわき市の中心に近い場所にある常交自動車教習所を運営している。いわき市で最も早く指定教習所の指定を受けた教習所でもある。
- 商事事業部
- 2箇所のガソリンスタンドの運営を行っており、一つは出光ブランドでもう一つは独自ブランドである。給油以外にもカーケアサービスも行っており、代行車検も行っている。
- 整備事業本部
- 自動車の整備を行う常交整備、自動車の販売を行う常交平マイカーセンターなどを運営している。特に常交整備は指定整備工場であり、路線バスの整備や常交タクシーの車両などの車検なども自前で行うことができるという。
このほかにも旅行プランニングを主とする観光事業部(常磐交通観光)や不動産関連の仲介や取引などを行う不動産事業部が存在している。
外部リンク[編集]
脚注[編集]
関連項目[編集]
- 福島交通 - 福島県内で路線バスの営業圏が隣接しているバス会社