萩原健一
萩原 健一(はぎわら けんいち、昭和25年(1950年)7月26日 - 平成31年(2019年)3月26日)は、日本の俳優、歌手。ニックネームは「ショーケン」。本名は敬三(けいぞう)。
来歴[編集]
埼玉県出身。昭和42年(1967年)にザ・スパイダーズの弟分として売り出した5人組のグループサウンズであるザ・テンプターズのボーカルとしてデビューする。当時のグループサウンズブームに乗ったこともあり、アイドル的人気を博し、ヒット曲を連発する。
ザ・スパイダーズ解散後、ライバルだった沢田研二と共にロックバンドPYGを結成するが、1年で解散する。
昭和47年(1972年)の映画・「約束」で、萩原は約束に助監督として参加していたのだが、主演俳優が降板して急遽代役となり高い評価を得て本格的に俳優として転身する。同年の「太陽にほえろ!」のマカロニ刑事役で出演して人気を博した。
テレビドラマではNHK大河ドラマの勝海舟、日本テレビ系「太陽にほえろ!」「前略おふくろ様」「傷だらけの天使」、映画では「影武者」「いつかギラギラする日」などに出演した。昭和50年(1975年)に初のソロアルバムである「惚れた」、昭和62年(1987年)にはシングル「愚か者よ」を発売する。平成30年(2018年)には自身初のレーベル「Shoken Records」を設立し、22年ぶりのシングルとなる「Time Flies」を発売した。
また俳優としてだけではなく、脚本家としても活動している。
私生活は波乱万丈であり、昭和58年(1983年)に大麻の不法所持で逮捕され、1年間の活動停止を余儀なくされる。昭和59年(1984年)には酒気帯び運転で交通事故を起こして逮捕された。平成16年(2004年)には萩原が運転する自動車が対向車線をはみ出してオートバイと正面衝突し、オートバイの男性に足を骨折させるなどの重傷を負わせて逮捕された。平成17年(2005年)には途中降板した映画の出演料をめぐり、プロデューサーに対して電話をかけて暴力団の名前を挙げておよそ1050万円を奪い取ろうとした恐喝未遂の罪で有罪判決となり、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年を言い渡された。平成19年(2007年)には制限速度を37キロオーバーしたとして検挙された。
女性関係も破天荒で、昭和50年(1975年)にモデルの女性と結婚(3年後の昭和53年(1978年)に離婚)したのを皮切りに、昭和55年(1980年)に女優のいしだあゆみと事実婚状態になり、平成8年(1996年)にはヘアメイクの女性と結婚し(平成18年(2006年)に離婚)、平成23年(2011年)にモデルの冨田理加と3度目の結婚をする。昭和59年(1984年)には女優の倍賞美智子とのツーショット写真を週刊誌に撮られて激昂し、カメラマンと編集者に暴行して書類送検されてもいる。
平成23年(2011年)には消化管間質腫瘍に侵されて闘病を開始する。また平成30年(2018年)夏頃からは左手が自由に動かなくなるなどの症状が現れ始めていた。このため、同時期にライブツアーが計画されていたが、ギターやブルースハープ演奏などで左手に大きな負担をかけるツアーは断念せざるを得なくなったという。関係者によるとこの頃、萩原は死を覚悟していたのかもしれない、と語っている。しかし本人の強い希望で病名の公表は控えられていた。平成31年(2019年)3月25日に自宅で倒れて救急搬送され、翌3月26日午前10時30分に消化管間質腫瘍のため、東京都内の病院で死去した。68歳没。妻の冨田によると眠るように息を引き取ったという。
評価[編集]
- 「人間的には欠陥があったけれど役者としては天才的」(倉本聰)。
- 「かわいくて、いけない魅力的生き者」(桃井かおり)。
- 「少年の頃の一番の憧れ」(高橋克典)。
- 「急な訃報で今は言葉になりません」(水谷豊)。
- 「何事に対しても節度があった」(梅宮辰夫)。
作品[編集]
アルバム[編集]
- 惚れた(1975年8月)
- Nadja〜愛の世界(1977年3月)
- Nadja2〜男と女(1978年6月)
- Nadja3〜エンジェル・ゲイト(1979年6月)
- 熱狂雷舞(1979年10月)
- Don Juan(1980年7月)
- Don Juan Live(1980年12月)
- White & Blue(1981年6月)ベスト・アルバム
- D'erlanger (1982年3月)
- Shanti Shanti(1983年)
- Thank You My Dear Friends(1984年3月)
- Andree Marlou Live(1985年)
- Straight Light(1987年2月)
- Shining With You(1988年5月)
- Thank You My Dear Friends Live(1989年)
- ANGEL or DEVIL〜2010 LIVE記念盤(2010年:ライヴ会場限定5曲入りミニ・アルバム)
- ANGEL or DEVIL(2010年:全16曲入り通常盤)
シングル[編集]
- ブルージンの子守唄 c/w 少年の魂(1972年7月)
- お前に惚れた c/w 兄貴のブギ(1975年7月)
- 別れの詩 c/w 雨のしおり(1977年)
- 前略おふくろ c/w 酒と泪と男と女(1977年4月)
- 時は流れて c/w 蜃気楼(1978年7月)
- 大阪で生まれた女 c/w 本牧綺談(1979年5月)
- ムーンシャイン c/w ルーシー(1980年6月)
- ぐでんぐでん c/w 砂時計(1980年9月)
- ラストダンスは私に c/w 泣くだけ泣いたら(1981年2月)
- ホワイト&ブルー c/w フラフラ(1981年5月)
- ハロー・マイ・ジェラシー c/w シャララ(1982年)
- Ah!Ha! c/w ひとつぶの涙(1982年)
- もう一度抱いて c/w セクシー・ロンリー・ナイト(1983年11月)
- 九月朝、母を想い c/w 54日間、待ちぼうけ(1984年)
- 愚か者よ c/w めぐり逢い(1987年1月)
- See Saw c/w 友(1987年)
- 桜子 c/w 今(1987年7月)
- Angel c/w Ma いいかァ I Love You(1988年4月)
- クリスマス・プレゼント c/w Shining With You(1988年11月)
- Gambler c/w Angel(1992年9月)
- 泣けるわけがないだろう c/w I Love Youさえ言えない(1996年1月)
- 時代おくれ(2009年11月4日:配信およびライヴ会場限定)
- Time Flies c/w Good Action、Dejavu(2018年5月9日:3曲収録)
- UKAWANIMATION!(ボーカル&ハープでゲスト参加)
- 惑星のポートレイト 5億万画素(2008年9月24日:AVCD-31395)
提供楽曲[編集]
作詞
- かまやつひろし「豚ごろしの歌」作曲:かまやつひろし(1970年)アルバム「ムッシュー/かまやつひろしの世界」に収録。屠殺業者を描いた内容により放送禁止となる。2000年の再発CDには未収録だったが、2016年盤に再収録された[1]。
- 根津甚八「泣き笑い」作曲:速水清司(1986年)アルバム「PLAY IT AGAIN」に収録。
作曲
なお、テンプターズでの楽曲制作は「愛の小径」(作曲:かまやつひろし)のみ。PYGでは「何もない部屋」(作曲:沢田研二)のみ。萩原健一ソロ作品は作詞多数、作曲は2018年発表のシングル「Time Flies」収録の3曲[2]。
出演[編集]
※「 - 」は役名
映画[編集]
- ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを(1969年、東宝、監督:内川清一郎) - 山川健一
- めまい(1971年、松竹、監督:斉藤耕一) - 下条吾郎
- 喜劇 命のお値段(1971年、松竹、監督:前田陽一) - 後藤明夫
- 春だドリフだ全員集合!!(1971年、松竹、監督:渡辺祐介) - 健チャン
- 約束(1972年、松竹、監督:斉藤耕一) - 中原朗
- 虹をわたって(1972年、松竹、監督:前田陽一) - 次郎
- 股旅(1973年、ATG、監督:市川崑) - 黙太郎
- 化石の森(1973年、東宝、監督:篠田正浩) - 緋本治夫
- 青春の蹉跌(1974年、東宝、監督:神代辰巳) - 江藤賢一郎
- 雨のアムステルダム(1975年、東宝、監督:蔵原惟繕) - 作田明
- アフリカの光(1975年、東宝、監督:神代辰巳) - 順
- 鴎よ、きらめく海を見たか めぐり逢い(1975年、ATG) - 川村
- 八つ墓村(1977年、松竹、監督:野村芳太郎) - 寺田辰弥
- その後の仁義なき戦い(1979年、東映、監督:工藤栄一) - 飲み屋の客
- 影武者(1980年、東宝、監督:黒澤明) - 武田勝頼
- 魔性の夏〜四谷怪談より(1981年、松竹、監督:蜷川幸雄) - 伊右衛門
- 誘拐報道(1982年、東映、監督:伊藤俊也) - 古屋数男
- もどり川(1983年、三協、監督:神代辰巳) - 苑田岳葉
- カポネ大いに泣く(1985年、ケイエンタープライズ、監督:鈴木清順) - 桃中軒海右衛門
- 瀬降り物語(1985年、東映、監督:中島貞夫) - 木下一
- 恋文(1985年、松竹、監督:神代辰巳) - 竹原将一
- 南へ走れ、海の道を!(1986年、松竹、監督:和泉聖治) - 権藤竜二
- 離婚しない女(1986年、松竹、監督:神代辰巳) - 岩谷啓一
- 夜汽車(1987年、東映、監督:山下耕作) - 田村征彦
- 竜馬を斬った男(1987年、アルマンス、監督:山下耕作) - 佐々木只三郎
- 極道の妻たち三代目姐(1989年、東映、監督:降旗康男) - 赤松徹郎
- 226(1989年、フィーチャーフィルムエンタープライズ、監督:五社英雄) - 野中四郎
- 裏切りの明日(1990年、東映、監督:工藤栄一) - 沢井刑事
- 激動の1750日(1990年、東映、監督:中島貞夫) - 時津忠久
- 渋滞(1991年、ディレクターズ・カンパニー、監督:黒土三男) - 藤林蔵
- いつかギラギラする日(1992年、松竹、監督:深作欣二) - 神崎
- 居酒屋ゆうれい(1994年、東宝、監督:渡邊孝好) - 壮太郎
- JOKER 疫病神(1998年、ギャガ、監督:小松隆志) - 村越
- ダブルス(2001年、オメガ・ミコット、監督:井坂聡) - key
- 天使の牙B.T.A.(2003年、ワーナー・ブラザース映画、監督:西村了) - 君国辰郎
- 月の砂漠(2001年、サンセントシネマワークス、監督:青山真治) - 社長
- ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム(2004年、アルタミラピクチャーズ、監督:サン・マー・メン)
- TAJOMARU(2009年、ワーナー・ブラザース映画、監督:中野裕之) - 足利義政
テレビドラマ[編集]
- 時間ですよ2(1971年、TBS)
- 刑事くん 第1部 第12話「もどらない日々」(1971年、TBS / 東映) - 井上タカユキ
- お祭り銀次捕物帳 第1話「出発の歌」・第2話「裏切られた女」(1972年、フジテレビ) - すずめ
- 太陽にほえろ!(1972年 - 1973年、日本テレビ) - 早見淳(通称:マカロニ)刑事
- 明智探偵事務所(1972年、NHK) - タカシ
- 風の中のあいつ(1973年、TBS) - 黒駒勝蔵
- 同棲時代(1973年、TBS)
- 祇園花見小路(1973年、中部日本放送)
- 河を渡ったあの夏の日々[3](1973年、NHK)
- くるくるくるり(1973年、日本テレビ)
- 大河ドラマ(NHK)
- 新宿さすらい節(1974年、TBS) - 中岡ムサシ(通称:ザジ)
- 傷だらけの天使(1974年 - 1975年、日本テレビ) - 木暮修
- 前略おふくろ様(1975年 - 1976年、日本テレビ) - 片島三郎
- 前略おふくろ様II(1976年 - 1977年、日本テレビ) - 片島三郎
- 祭ばやしが聞こえる(1977年 - 1978年、日本テレビ)
- 死人狩り(1978年、フジテレビ) - 浦上刑事
- 露玉の首飾り(1979年、TBS)
- 花冷え(1981年、読売テレビ)
- わが愛の城〜落城記より(1981年、テレビ朝日)
- 忍びの忠臣蔵(1981年、フジテレビ)
- ガラスの知恵の輪(1982年、毎日放送)
- 松本清張の時間の習俗(1982年、TBS) - 三原紀一
- 君は海を見たか(1982年、フジテレビ) - 増子一郎
- 宣告(1984年、TBS)
- 温泉サギ師(1986年、TBS)
- 見えない絆(1988年、フジテレビ)
- 飢餓海峡(1988年、フジテレビ) - 樽見京一郎
- 精性生(1988年、NHK)※東海北陸のみ
- 隠密・奥の細道(1988年、テレビ東京)
- 六条執念(1989年、関西テレビ)
- お市御寮人(1989年、日本テレビ) - 織田信長
- ラストバラードは君に(1989年、TBS)
- あいつがトラブル(1989年 - 1990年、フジテレビ) - 沖田淳一
- ネコノトピアネコノマニア(1990年、NHK) - 上田邦夫
- 豆腐屋直次郎の裏の顔(1990年 - 1992年、朝日放送) - 花井直次郎
- 旅のはじまり(1990年、NHK)
- 徒然草 殺しの硯(1990年、テレビ東京) - 吉田兼好
- 月のひかり(1991年、NHK)
- 課長サンの厄年(1993年、TBS) - 寺田喬
- 課長サンの厄年スペシャル(1994年、TBS) - 寺田喬
- 幸福の条件(1994年、NHK)
- ハイこちら駐在です!(1995年、フジテレビ)
- 放送記者物語(1995年、NHK)
- 三都結婚物語 第3話・奈良篇「花嫁はゴースト」(1995年、関西テレビ)
- 外科医柊又三郎(1995年、テレビ朝日) - 柊又三郎
- されど、わが愛(1995年、NHK) - 石橋英雄
- 冠婚葬祭部長(1996年、TBS) - 小山田竜平
- 外科医柊又三郎2(1996年、テレビ朝日) - 柊又三郎
- テロリストのパラソル(1996年、フジテレビ) - 菊池敏彦(島村圭介)
- 月曜ドラマスペシャル 最後の恋(1997年5月、TBS) - 川村秀一
- 月曜ドラマスペシャル 坪内警部補・父と娘の事件簿(1998年、TBS)
- 土曜ワイド劇場(テレビ朝日)
- 華やかな喪服(1998年)
- 広域捜査官楠錬三郎 北へ南へ1(2000年) - 楠錬三郎
- 広域捜査官楠錬三郎・北へ南へ2(2002年) - 楠錬三郎
- 広域捜査官楠錬三郎3(2003年) - 楠錬三郎
- 松本清張の証言(2004年3月) - 奥平為雄
- 父さん(2000年、フジテレビ)
- 藤沢周平の人情しぐれ町(2001年、NHK) - 菊田屋新蔵
- ファイティングガール(2001年、フジテレビ) - 吉田祐三
- 女と愛とミステリー(テレビ東京)
- 西村京太郎トラベルサスペンス・日本一周“旅号”殺人事件(2003年4月、大映テレビ) - 十津川警部
- 坊さん弁護士・郷田夢栄(2003年1月) - 郷田夢栄
- 坊さん弁護士・郷田夢栄2(2004年7月) - 郷田夢栄
- 鴨川食堂(2016年1月 -2月、NHK BSプレミアム) - 鴨川流 [4]
- 日曜ワイド 明日への誓い(2018年3月25日、テレビ朝日) - 原案、神谷将太郎
- 不惑のスクラム(2018年、NHK総合) - 宇多津貞夫
バラエティ番組・ドキュメンタリー番組・音楽番組[編集]
- SMAP×SMAP(2001年、関西テレビ・フジテレビ、「BISTRO SMAP」ゲスト)
- うたばん(2003年11月27日、TBS、ゲスト)
- チューボーですよ! (2009年8月29日、TBS、ゲスト)
- ザ・ノンフィクション ショーケンという「孤独」(2009年9月13日、フジテレビ)
- 芸能人の告白 特別編(2009年12月20日、フジテレビ)
- 名作ドラマ大辞典!豪華スター同窓会SP(2011年9月21日、TBS、ゲスト)
- ザ・インタビュー〜トップランナーの肖像〜 (2015年7月18日、BS朝日)
- ダウンタウンなう(2016年5月27日、フジテレビ、ゲスト)
- 2017 FNSうたの夏まつり 〜アニバーサリーSP〜(2017年8月2日、フジテレビ)
CM[編集]
- サントリー「モルツ」「シングルモルトウイスキー山崎12年」
- 協和「仙生露」(健康食品)
- マツダ「カペラ」
- ライオン 「薬用毛髪力」
- 大日本除虫菊「アリキンチョール」
- NTTパーソナル 「パルディオPHS」(木村佳乃と共演)
- マンダム「ギャツビー」
- ワンカップ大関 「ワンカップ大関」
- UCC上島珈琲 「メジャーコーヒー」
- 日新製鋼
- 明治製菓 「チョコレートデュエット」
書籍[編集]
- 『俺の人生どっかおかしい』(1984年 ワニブックス、ISBN 978-4584200803)
- 『ショーケン』(2008年 講談社、ISBN 978-4062145220。2010年6月 講談社文庫)
- 『日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~』(2010年 ワニブックス、ISBN 978-4847060236)
- 共著 絓 秀実
新聞連載[編集]
- 「我が道」(スポーツニッポン 2009年11月1日 - 11月30日)
脚注[編集]
- ↑ かまやつひろし、ソロ・アルバム『ムッシュー~かまやつひろしの世界』を再発CDジャーナル 2016年8月3日
- ↑ 萩原健一、自身のレーベル「Shoken Records」より22年ぶりシングル発表ナタリー 2018年4月27日
- ↑ 河を渡ったあの夏の日々 - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス
- ↑ “忽那汐里、NHK連ドラ初主演 父役の萩原健一は11年ぶりドラマ出演”. ORICON (2015年9月15日). 2015年9月15日確認。