安倍晋三銃撃事件

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安倍晋三銃撃(暗殺)事件
Yamato Saidaiji station 20100403.jpg
事件現場付近(2010年4月3日撮影)
画像中央のガードレールで囲まれた部分が事件現場
場所日本国旗.png日本奈良県奈良市大和西大寺駅北口付近[1]
日付2022年7月8日
午前11時31分(JST)
概要山上徹也が元内閣総理大臣安倍晋三射殺
原因原因を参照
攻撃手段手製の拳銃で銃撃[2]
攻撃側人数1人
死亡者1人
他の被害者安倍晋三
犯人山上徹也
容疑殺人罪
対処被疑者を現行犯逮捕
影響事件当日の選挙演説が中止
詳しくは#影響を参照
管轄奈良県警察奈良西警察署
奈良地方検察庁

安倍晋三銃撃事件(あべしんぞうじゅうげきじけん)は2022年7月8日午前11時31分頃に奈良市内近鉄大和西大寺駅付近にて安倍晋三元総理大臣が銃撃され死亡した事件である[3]

太平洋戦争終結後初、かつ戦前を含めても1936年の二・二六事件以来の日本国の首相経験者が殺害された事件、及びG7諸国でも1979年以来の国家の首脳経験者が殺害されたケースとなった。

名称[編集]

一部では、五・一五事件に準え本件を『七・八事件』とも称する。

この事件は海外メディアでは暗殺(Assassination)という言葉をもって報道されることが多かったが、実行者が政治的な意図がないと供述し、暗殺のカテゴリには含まれなかったために日本国内のメディアではこの語はほとんど使われなかった。また、日本語英語では「暗殺」の意味が異なり、本ページは日本語で書かれているので以下、暗殺の言葉は使わない。

概要[編集]

事件概要[編集]

犯人と被害者の位置関係を再現したCG

2022年(令和4年)7月8日午前11時32分ごろに奈良県奈良市近鉄大和西大寺駅付近にて参議院選挙の応援演説に来ていた安倍晋三元総理大臣が背後から山上徹也 (元海上自衛隊自衛官)に自家製の拳銃[4]で銃撃されて心肺停止の状態となった[5]。安倍が応援演説を開始してからわずか2分後の出来事で、銃声は2発。次の瞬間には犯人はSPに数人がかりで取り押さえられていた。辺りは騒然となり、関係者が「看護師の方はいないか!」「救急車!」「医師はいないか!」と叫んでいた。なお、関係者によるとこの時点で安倍が受け答えをしている様子は、少なくとも関係者が見ていた状況では無かった、としている。

安倍は即座に心肺蘇生AEDを用いた蘇生活動が行われた後、ドクターヘリによって奈良県立医科大学に搬送され懸命な救助活動が行われたものの、同日午後5時3分に死亡が確認された。[6]。死因は失血死で、首に当たった銃弾が致命傷になった、と見られている。[7][8]

尚、現場でAEDは使用は試みられたものの作動しなかったとされている。これは、安倍氏の心臓の状態がAEDの効果のある心停止(心臓の筋肉が痙攣を起こしており、心臓の機能が大幅に低下している状態)ではなく、心静止(大量出血などにより心臓の機能が極度に低下しているか、全く機能していない状態)であったためだと考えらている。[9] [10]

犯人[編集]

実行犯は奈良市内に住む1980年生まれの無職の山上徹也で、銃撃後に奈良県警察によって殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。容疑者は2002年から2005年にかけて3年ほど、海上自衛隊自衛官として勤務していた[6]。勤務の中にはを使用する仕事内容も含まれていたとされているが、実際は専門的に訓練されていたわけではなかった。また、容疑者は自宅近所との付き合いは挨拶程度だった。

事件後、容疑者の自宅には家宅捜査が行われたところ、複数の爆発物とみられるものが確認された[6]

容疑者は警察の調べに対して、「安倍元総理大臣に対して不満があり、殺そうと思って狙った」といったような供述をしていた一方で、「元総理の政治信条への恨みではない」とも供述している。不満とは、統一教会に対して祝福のメッセージを送ったことである。統一教会によって家庭を破壊された山上徹也容疑者はこれを見て激怒、凶行に至った。

警備態勢[編集]

当時は多くの警察官が警備に当たっていたが犯行を食い止めることが出来なかった。警備態勢に不備はなかったが、群衆の中から特定することは不可能であったからである。容疑者に前歴もなく、特定の組織にも所属していない自由自在に動くことが出来る一匹狼の犯行であった。

使用された銃 (山上砲)[編集]

銃身は鉄パイプで、一方をタップで切り、ボルトらしいもので止めてある。銃床はベニヤ板である。外観はカメラにも似ている。引き金は電流を流す開閉器となっており、これを引くと内臓している乾電池から電流が流れ、黒色火薬に引火する。いわば火縄銃の機関部が電気回路に置きかわったものである。黒色火薬の原料である黒鉛、硫黄硝酸アンモニウムはホームセンターで購入できるものであった。

反応[編集]

自民党内[編集]

  • 岸田文雄総理大臣は、参議院選挙の演説のため山形県に出向いていたが、事件の発生を受け急遽予定を切り上げて帰京した。岸田氏は首相官邸にて以下のようにコメントをした[6][11]
奈良県で安倍晋三元総理が銃撃され、現在深刻な状況にあると聞いております。何とか一命を取り留めていただくよう心から祈りたいと思っています。民主主義の根幹である選挙が行われている中で起きた卑劣な蛮行であり、決して許すことはできないと思っています。最大限の厳しい言葉で非難をいたします。 — 岸田文雄
いかなる理由であれ、今回のような蛮行は許されるものではなく、断固非難する。政府としては各種の対応に万全を期している。 — 松野博一
  • 高市早苗自民党政調会長は自民党本部にて「政治テロとして許せない。とにかく今は生きていらっしゃることを祈っている。絶対に許せない」と述べた[12]
  • 河野太郎自民党広報本部長は自身のツイッターにて以下のようにコメントした[13]
安倍晋三元総理の心からのご冥福をお祈りします。私も安倍内閣で外務大臣、防衛大臣を務め、安倍外交の一翼を担いました。故人の遺志を受け継ぎ、自由で開かれたインド太平洋の実現に力を尽くします。 — 河野太郎
  • 菅義偉元総理大臣は自身のツイッターにて「まずは何よりも、安倍元総理の回復を心からお祈りする。今回の蛮行は、選挙活動という民主主義の根幹を否定する極めて卑劣な行為であり、断じて許すことはできない。」とコメントした[14]
  • 山本一太群馬県知事は自身が以前に沖縄北方担当大臣にて安倍氏にお世話になったという経緯を踏まえ、記者による質問にて以下のように述べた[15]
ぼう然自失の状況で言葉を失っている。本当に驚いたし、日本でこんなことが起こるとは信じられない思いだ。なぜこんな事件が起こったのか、背景もよく分かっていないが、いかなる理由があろうと断じて許されない卑劣な行為だ。本当に心配だが、とにかく回復してほしい。国会議員の時代から長い間お世話になり、私にとっては特別な方だ。知事になってからも助けてもらい、どうしても必要な人なので、何とか回復してほしい。政治家としてあれだけ危機を乗り越えて来た人なので、今回も何とか乗り越えてほしい。 — 山本一太
  • 小泉進次郎元環境大臣は「民主主義の根本を守るため、選挙をとめることはあってはならない!」とコメントした[16]

自民党外[編集]

心からお悔やみを申し上げる。無念だったと思う。暴力による言論封殺は絶対に許せない。改めて最大限の怒りと悲しみをもってこの蛮行を非難する。ご遺族のご心痛を考えると言葉にならない。安らかにお眠りください。 — 玉木雄一郎
  • 日本維新の会松井一郎代表は京都市内の事務所にて「日本に必要な人だ。平和安全にかかわる法制に信念をもっている。回復を祈っている。」とコメントした[18]
  • 立憲民主党泉健太代表は、立憲民主党の公式ホームページにて以下のように投稿した[19]
許されない蛮行である。まずは安倍元総理が無事であっていただきたい。民政治活動中に、演説中の人間に対して危害を加える行為は、絶対に許されてはいけない。怒りを持って今回の行為を非難したい。 — 泉健太
  • 共産党志位和夫委員長は「言論を暴力で圧殺することは絶対に許してはならない」と兵庫県神戸市内の街頭演説で語った[20]
  • れいわ新選組山本太郎代表は公式ホームページにて声明を出した[21]
  • NHK党立花孝志党首は自身のユーチューブにて『安倍元総理死去 お世話になりありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。これからの日本は私が先頭に立って守って参ります。天国でゆっくりして下さい。』という内容の動画を投稿した[22]

海外[編集]

各方面への影響[編集]

容疑者に対する報道・憶測[編集]

当初は反・安倍の人物と思われていたが、実際は安倍元首相の功績をある程度認めており、反安倍派に対して否定的な意見を行っていた。犯行の直前、容疑者は安倍元首相の演説に対して拍手をしており、冷静沈着に、むしろ、自分自身を安倍派だと洗脳していた。これによって殺人マシンと化した容疑者の任務遂行に成功した。

政界への影響[編集]

容疑者の母親がある特定の宗教に心酔し、多額の献金を行っていたことがわかり、このある特定の宗教と政治家との関係が問題となった。各地の地方自治体の議会ではこの特定の宗教との絶縁宣言を行った。

脚注[編集]

  1. “事件がわかる:安倍晋三元首相銃撃事件”. 毎日新聞. (2022年8月3日. https://mainichi.jp/articles/20220802/osg/00m/040/001000d 2022年8月7日閲覧。 
  2. “安倍氏銃撃容疑者宅の拳銃押収、事件の手製拳銃と類似 周到に準備か”. 毎日新聞. (2022年7月9日. https://mainichi.jp/articles/20220709/k00/00m/040/057000c 2022年8月7日閲覧。 
  3. 安倍元首相 銃で撃たれ心肺停止の状態か 奈良市で演説中”. 2022年7月8日確認。
  4. 当初は散弾銃だと言われていた。
  5. 安倍元首相 銃で撃たれ心肺停止の状態か 奈良市で演説中”. 2022年7月8日確認。
  6. a b c d e “安倍元総理 銃で撃たれ心肺停止の状態か 奈良市で演説中”. 2023年7月6日確認。
  7. https://gentosha-go.com/articles/-/44089
  8. https://www.sankei.com/article/20220708-2W22CLQIV5N47KO5LSV6WNM3DA/
  9. https://aed-zaidan.jp/report/20220714.html
  10. https://www.sankei.com/article/20220806-4YDNEVY6ZFNYVNTJQUGLQQNFA4/?outputType=amp
  11. https://web.archive.org/save/https://news.yahoo.co.jp/articles/11293b3af3dbd478686f54d709333593cd17b95c
  12. https://web.archive.org/save/https://news.yahoo.co.jp/articles/469367b657641e37ca89327cf895af50e77ef84e
  13. https://twitter.com/konotarogomame/status/1545335376704704512
  14. https://twitter.com/sugawitter/status/1545289385402580992
  15. https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220708/1000082002.html
  16. https://news.yahoo.co.jp/articles/278c847b68853e8903fa76f034d10d97f1f2aef9
  17. https://twitter.com/tamakiyuichiro/status/1545335020671606784
  18. https://www.sankei.com/article/20220708-5FQMLBHYRNMH3HZXWBM674OOU4/
  19. https://cdp-japan.jp/news/20220708_4123
  20. https://www.sankei.com/article/20220708-BTNGY6VV7ZPF3MEMOVVKLFXXOA/
  21. https://sanin2022.reiwa-shinsengumi.com/archives/3260
  22. https://www.youtube.com/watch?v=CRcVW-OPr1k
  23. https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000260800.html
  24. https://www.jiji.com/jc/article?k=2022070800805&g=int

関連項目[編集]

参考文献[編集]