玉突き転属
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玉突き転属(たまつきてんぞく)とは、主にバスや鉄道において、新型車両に置き換えられた古い車両が転属し、その車両が転属先のさらに古い車両を置き換えるという、まるで玉突きのように置き換えが行われる事象のことである。玉突き代替、玉突き配転ともいう。
概要[編集]
バス、鉄道共に主に都心部の車両が新車に置き換えられて郊外へ転属し、郊外の古い車両を置き換えるというパターンが多い。
廃車になる古い車両が人気だと、転属した車両が、転属先でしばらく恨まれることがある。
実例[編集]
日本国有鉄道[編集]
昭和61年11月1日日本国有鉄道ダイヤ改正によって特急「明星・あかつき」が廃止され、使用されていた14系15形が特急「彗星」に転用され、「彗星」に使用されていた国鉄24系客車を急行銀河、急行「かいもん」・「日南」に転用され、「銀河」に使用されていた14系14形が急行「だいせん」・「ちくま」に転用され、「だいせん」「ちくま」「かいもん」「日南」に使用されていた国鉄20系客車が引退した。「明星・あかつき」の廃止から「だいせん」・「ちくま」の置き換えまで数日かかった。
東北[編集]
- 十和田観光電鉄
- 晩年には中小私鉄で初めてVVVF車の玉突き転入を行ったが、そんな努力もむなしく2012年にあっさり廃止に。
- 山形鉄道
- YR-880形の置き換えのために玉突き用の中古車の購入が検討されている。
関東[編集]
- JR首都圏
- 2015年から2020年にかけて山手線のE235系がE231系500番台を置き換え、押し出されたE231系500番台が中央総武線に転属し、E231系0番台・209系500番台を捻出、そのE231系・209系により武蔵野線・八高線の205系や209系を置き換える一大スペクタクルが発生した。また、新潟地区のE127系が、南武支線用205系を置き換える事象もある。
- 東武野田線
- 1944年の東武買収以降、2013年に60000系が入るまで伊勢崎線系統からの玉突きのみであった。
- 小湊鐵道
- 自社発注のキハ200の後継として、JR東日本からキハ40系を譲受している。
- 銚子電気鉄道
- 本州最東端の譲受車天国。完全新車は歴代でもハフ1・2のみ、自社発注車もデハ101・デハ102・ユ101のみで、それ以外は譲受車となっており、令和以降も南海2200系の譲受と元伊予鉄車の廃車が実施された。
- 関東鉄道
- キハ2100・キハ2000以前は国鉄や廃止された地方私鉄からの譲受車大国で、分社化、後に廃止された筑波線や鉾田線でも昭和末期は同様の傾向が見られた。
- 茨城交通・ひたちなか海浜鉄道
- 関東鉄道と同様譲受車大国で、廃止された地方私鉄からの玉突きも過去には存在した。令和以降もキハ100形の玉突きと、国鉄車およびLE-Carの廃車を計画している。
中部[編集]
- 國鐵甲信越
- 中央東線で211系が転属し、115系や169系が淘汰された。
- 上田電鉄
- 上田交通時代に昇圧後は譲受車大国だが、2008年に地方私鉄で2例目にVVVF車を譲受した点で比較的先進的である。
- 長野電鉄
- 元・日比谷線の車両だった3500系の代替に際し、同じく日比谷線の03系を投入することになった。今でも18m級の中古車を探し続けている。
- アルピコ交通上高地線
- 長野県の上記2社に劣らず、1980年代後半以降は東急、京王、東武からの譲受車で占められている。
- 伊豆急行
- 2010年代後半からの伊豆急はJRの首都圏で使い古された115系、209系が転属し、自社発注の車両が廃車されている。
- 伊豆箱根鉄道
- 今でこそ両線ともほぼ自社発注車大国だが、駿豆線に1000系が投入されるまでは17m級旧型国電の玉突きだらけであった。
- 岳南電車
- 京王からの譲受車で、元東急車が駆逐された。
- 大井川鐵道大井川本線
- 観光客誘客のため、小田急SE車などの往時の名車を譲られまくっていたが、ツアーバス規制の強化による輸送量の減少で、小輸送力の電車に置き換えられつつある。
- 東海道本線 (名古屋・静岡地区)
- 2023年時点では、315系は神領に集中投入されているため、大垣や静岡に回ってくるのは神領で余剰となった313系のみである。
- JR飯田線
- 玉突き転属車の最終の棲家を象徴する路線で、1980年代に旧国ブームとなった他、80系電車も飯田線で最後を迎えている。
- 数少ない新車119系を置き換えた313系3000番台や213系も、それぞれ中央西線木曽ローカルや関西線からの転属である。
- 豊橋鉄道東田本線
- 1925年の開業時に単車1形を、2008年に超低床車T1000形を自社で用意した以外は譲受時点で経年の浅かったモ780やモ800を含めすべて他社からの移籍である。
関西[編集]
- 近鉄
- 近鉄名古屋線では顕著で、機器類が旧弊な抵抗制御であっても車齢が50年を超えても、奈良線・大阪線で減便減車により余剰となった、汎用性の高い3両以下の短編成の車両は大抵名古屋線に回され、抑速ブレーキのないグループが淘汰されることが多い。この状態から脱却するのは2025年以降となる
が、1430系列や1233系列の玉突きによる置き換えが望ましい車両もちらほら存在する。 - 三岐鉄道北勢線
- 三重電気鉄道独立後に標準軌化された湯の山線や内部・八王子線から近鉄時代に全金属車両が転属して、従前の客車を置き換えた。一方、三岐鉄道譲受後の下津井電鉄廃線に乗じて、誘客策として導入しようとした「メリーベル号」の転属はならなかった。
- 三岐鉄道三岐線
- 旧弊な西武701系電車の譲受車が最後まで残っていたが、JR東海からの211系の譲受によりついに置き換えがなされることになった。
- 京都丹後鉄道
- JR東海で運用終了したキハ85系の転属とKTR001形の廃車で三セク転換してから初の玉突き転属と廃車が生じた。
- 能勢電鉄
- 自社発注車は1953年の50形・60形、完全新車に至っては1926年の31形を最後に途絶えており、現存車はVVVF車を含め旧・阪急車で揃えられている。
- 南海電気鉄道
- 7000系を代替するにあたり、運用減で余剰となった泉北高速鉄道3000系電車を14両譲受して賄った。
- 紀州鉄道
- 御坊臨港鉄道から社名変更してから、玉突き転属による譲受車ばかりで、はからずも最後のLE-Car運行線区となった。LE-Carの代替も他社から譲受の軽量気動車で賄われた。
- 野上電気鉄道
- 失敗例。
見栄で元南海1201形電車を導入して旧型車を淘汰しようとしたが、橋梁重量オーバーで転属できなかった。 - きのくに線
- 2021年3月まで紀伊田辺以南は玉突き転属車天国で、2004年に105系が中国地方から転属した際は、一部で反発された。
- 北条鉄道
- 三セク転換以降、譲受車は廃線の旧三木鉄道のLE-DC車以外なかったが、列車増発に伴い、JR東日本からキハ40系を譲受した。
中四国[編集]
- 國鐵廣島 → 國鐵山口
- 国鉄分民化直前に、首都圏から115系が大量に転属して、111系が淘汰したが国鉄型王国となった。分民化後も京阪神から103系が転属した。
- 国鉄型の根拠地は、現在山口県内に移りつつある。
- 広島電鉄
- 1980年代に京都、大阪、神戸といった市電や西鉄福岡市内線の中古車を譲受しまくり、懐古を求める観光客の目玉にしていた。
- 宮島線の最後の高床車の中には、元阪急車もあった。
- 高松琴平電気鉄道(コトデン)
- 四国では唯一の標準軌鉄道のため、京急、名市交など1067mm軌間でない民鉄などからの玉突き転属による譲受車が多い。
- もっとも、2026年に約60年ぶりの自社発注車が導入されることになった。
- 伊予鉄道鉄道線
- 1980年代後半からにコトデンと張り合うように、京王の中古車を譲受しまくった。2025年にようやく7000系が純然たる新車として67年ぶりに登場している。