電車が来ない都道府県
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本項では、鉄道路線において電車が来ない都道府県の一覧を掲載する。
一覧[編集]
電化率0%の都道府県と概ね一致するが、烏山線や香椎線のように非電化であっても蓄電池式の電車が来る場合があるので、全線非電化とイコールにはならない。
ここでは、道内の振興局や旧令制国も含める。
電車運用なし[編集]
- 徳島県
- 国内で唯一の電化率0%・気動車しかいない県である。架線がどこにも設置されていないので、物理的に入線が不可能。蓄電池電車や燃料電池電車の入線経験もない。バッテリー型気動車「Smart BEST」の入線実績はあるが、こちらは正式には気動車扱いとなる。
- 県民から列車のことは「汽車」と呼ばれている。
- 鉄道事業法に基づかない乗り物も含めると、電気で動く交通機関としてケーブルカーが存在するが、これは車上に動力を持たないため「電車」には該当しない。
- 電気軌道を称する会社(阿波電気軌道)は存在し、高徳線の板野以東や鳴門線を開通させたが、結局電化せずに現在に至っている。
- 一応、法規上鉄道ではない、遊具扱いの路線では、奥祖谷観光周遊モノレールが該当するが、2023年現在は運行されていない。
- 北海道のうちオホーツク、根室、釧路、十勝、日高、檜山、留萌、宗谷の各管内
- 人口密度が低く、電化が大幅に遅れている。なお、檜山、日高、留萌の各管内に関しては、鉄道自体が全路線廃止された。
- 岐阜県の旧飛騨国
- 旧国内の路線は非電化の高山本線のみ。電化路線は旧美濃国に集中している。かつては電化計画があったがボツになった他、旧国内にかつて通っていた神岡鉄道神岡線も廃止まで非電化であった。
- 鳥取県の旧因幡国、および島根県の旧石見国
- 後述の1982年伯備線電化以降も電化路線が掠っていない。
- 長崎県の旧壱岐国と旧対馬国
- そもそも離島のせいなのか鉄道路線自体がない。
普通鉄道による電車運用なし[編集]
- 沖縄県
- 国内で唯一、2本のレールで走る一般の鉄軌道が存在しない。
- 県内唯一の鉄軌道路線である沖縄都市モノレール(ゆいレール)は直流1500Vで電化されており、モノレール車両は電気の力で自走できることから「電車」には該当する。県内の電化率も100%である。
- 戦前は路面電車が走っていたが経営難のため廃止。残った遺構も戦争で破壊されてしまった。
- 高知県
- 県内の路線は軌道法適用のとさでん交通を除きすべて非電化となっており、かつJR線上において蓄電池電車や燃料電池電車が乗り入れたこともない。
- かつて、とさでん交通の前身となる土佐電気鉄道は、地方鉄道法[注 1]が適用された電化の鉄道路線(安芸線など)を運営していたこともあったが、すでに廃止されている[注 2]。
- 電化率は8.2%と、上記徳島県に次いで低い。
JR在来線の電車運用なし[編集]
- 富山県
- 北陸新幹線開業でその時点で県内を走るJRの電化路線がすべて第三セクター(あいの風とやま鉄道)に経営分離されたため、県内を走るJR在来線(氷見線、高山本線、城端線)は全て非電化となり、気動車が運用されている。氷見線、城端線はあいの風とやま鉄道への経営分離が決まっており、高山本線の経営分離の如何および、移管先[注 3]の次第によっては、県内からJRの在来線自体がなくなることになる。
- JRでは北陸新幹線が電車で乗り入れているほか、私鉄では、前述のあいの風とやま鉄道と富山地方鉄道が電車を運行し、富山地鉄には元JR電化路線の富山港線[注 4]が含まれている。
- 電化率は79%程度で、それほど低くはない。
- 渡島管内(予定)
- 北海道新幹線全通後、全電化路線が道南いさりび鉄道に移管される予定。下手をすると貨物新幹線導入とそれに伴う運用合理化で電化撤去され道南いさりび鉄道内でも在来線の電車が全滅する[注 5]可能性もある。過去にも、1988年の青函トンネル開通まで電化路線が全く存在しなかった。
- 三重県の旧志摩国
- 電化路線は近鉄鳥羽線および志摩線のみで、JRの参宮線は国鉄時代から非電化である。
過去の事例[編集]
全47都道府県に電車が来なかった時期が存在するが、そのうち特筆できるものを挙げる。
- 京都府
- 1895年に京都電気鉄道(後の京都市電、1978年廃止)が開業し、日本で最も早く電車が走った都道府県。しかし、電化率は82%程度で、旧平安京周辺に電化路線が集中し、関西本線や京都丹後鉄道宮舞線、嵯峨野観光鉄道など非電化路線がそこそこ残る。
- 東京都
- 1904年に甲武鉄道(後の中央本線)が電化され、後に国鉄を経てJRとなる路線の中では日本で最も早く電車が走った都道府県。1996年に貨物線を除く電化率100%も達成し、気動車の旅客列車も全滅している。
- 鳥取県・島根県
- 1982年の伯備線電化まで国鉄の電車が全く来なかった。電車自体は鳥取県では法勝寺鉄道線廃止時に一旦全滅。島根県も一畑電車のみが電車を運行していた。
- 両県の電化率もそれぞれ23%、30%程度と低く、鳥取県に至っては上記徳島県、高知県に次いで低い。
- なお、鳥取県については今でも県庁所在地の鳥取市に電車が来ない。旧国内ごとに見ると出雲国、伯耆国に電化路線が集中していることになる。
- 宮崎県
- 1974年の日豊本線電化をもって日本で46番目に電化路線が通った県。電化路線が存在しなかった時期でも、非電化の宮崎交通が蓄電池電車を運行していたことは特筆できる。
- 電化率は県内を走っていた志布志線や高千穂鉄道あたりの廃止により53%程度にまで上がっているが、それでもやや低めである。
番外編[編集]
- 三重県
- 県庁所在地でJR在来線の電車運用がない例。上記の徳島県・鳥取県・高知県、および下記の長崎県も該当する。県庁所在地の津市内を通るJRはすべて非電化で、蓄電池電車や燃料電池電車の入線経験もない。近鉄に関しては津市内でもすべて電化されている他、名古屋近郊の桑名や四日市はJRでも一部または全部が電化されている。一方、旧国内ごとに見た場合、先述のように志摩国にJRの電化路線がなく、伊賀国についてもJRの電化路線は草津線のごく僅かな区間のみである。紀伊国に関しては現在の和歌山県部分に電化路線が集中している。
- 電化率は50%程度だが、電車が来ない市は熊野市と尾鷲市のみである。
- 山口県
- 県庁所在地の代表駅にJR在来線の電車が来ない例。上記の徳島県・鳥取県・高知県・三重県、および下記の長崎県も該当する。県庁所在地の代表駅となっている山口駅は非電化で、電車の乗り入れは困難な状況にある[注 6]。
- 電化率は54%程度と低めだが、電車が来ない市は長門、美祢、萩の3市だけであり、旧国内ごとに電化路線は存在する。
- 長崎県
- 県庁所在地からJR在来線の電化が撤去された例。西九州新幹線暫定開業により肥前浜 - 長崎間の電化撤去に伴い、県庁所在地の長崎市内にはJR在来線の電車が来なくなった。以降のJRの電化在来線は佐世保線と大村線のハウステンボス以北となっており、かつ日中の普通列車は早岐までの入線となる。
- 電化率は27%と島根県より低く、上記JRの電化在来線に至ってはすべて佐世保市に位置する。旧国内ごとに見ると鉄道路線自体が肥前国に集中している。
- 北海道
- 他県から道庁所在地まで電車で乗り入れできない例。函館本線の新函館以北は東室蘭や小樽まで非電化路線しかなく、電車単独での乗り入れは不可能である。
- 電化率は24%と上記長崎県より低い。
- 岐阜県・岩手県
- とりわけ目立つわけではないが、電化率が50%未満の例。電化率50%未満に関してはこの2県と島根、長崎、北海道、鳥取、高知、徳島のみである。岐阜県の電化率は43%で、かつ上記のように飛騨国に電化路線を持たず、岩手県については電化率が42%であり、県内の東北新幹線、秋田新幹線、東北本線、田沢湖線、IGRいわて銀河鉄道線以外はすべて非電化となっている。
外国[編集]
電車が来ない国[編集]
安価に石油が手に入ったり、国家の財政的に電化する余裕がなかったりの場合、非電化のままになることが多い。むしろ日本自体も世界的に稀な電化大国と言われている。
- カンボジア
ラオス- ラオス鉄道公社の路線は2008年の開業時より非電化。中国ラオス鉄道は2021年12月の開業当時より電化。
- ミャンマー
- 2016年よりヤンゴン臨港線で路面電車を運行していたが半年後にあっさり休止に。
- スリランカ
- インドと同規格とされており、非電化複線大国でもある。
- ネパール
- 運用休止中。すべてインドからの直通。
サウジアラビア- 2018年、交流電化の鉄道がメッカ〜メジナ間に開業して解消。
- シリア
- イスラエル
- スーダン
- ケニア
- タンザニア
- ザンビア
- モザンビーク
- ナイジェリア
- コソボ
- 旧ユーゴスラビアやノルウェーからのディーゼル機関車・気動車を使用。
- モルドバ
- ボリビア
- ニカラグア
- 2001年に鉄道路線自体がなくなった。
- コスタリカ
- かつては電化されていたが、架線の盗難が相次いだため撤去されている。
- パラグアイ
- 蒸気機関車しか来ない。
- アイスランド
- 現状鉄道自体がない。
日本同様、電車の来ない県・州のある国[編集]
- ノルウェー
- 電化率が高く、ほとんどの県に電化路線があるが、北端のトロムス・オ・フィンマルク県には電車が来ない。なお、北海道の半分以上の面積があるトロンデラーグ県は1路線、インランデ県は2路線しかなく、電車の少ない地域であると言える。
- スウェーデン
- 大陸側は全県に電化路線があるが、離島であるゴットランド県には鉄道が無い。なお、北海道より広いノールボッテン県をはじめ、ヴェステルボッテン県、イェムトランド県、ダーラナ県といった、人口密度11人/km2を下回る北極圏の県には、鉄道空白地帯も多い。
- デンマーク
- 首都、シェラン、南デンマークの3県には電化路線があるが、中ユラン、北ユランの2県は全線非電化。
- フィンランド
- オーランド諸島には鉄道そのものが無い。大陸側は全県に電化路線があるが、北海道より広いラッピ県をはじめ、カイヌー県、北ポフヤンマー県といった北極圏の県は鉄道空白地帯も多い。
- エストニア
- 電化路線があるのは首都タリンのあるハリュ県のみで、他の14県には電車が来ない。
- ラトビア
- 電化路線があるのは首都リガおよび周辺の10県ほどに限られ、電車の来ない県が大半である。
- キューバ
- 電化路線はハバナとマタンサスを結ぶハーシー電気鉄道の1路線、約90kmのみ。当該路線自体は3州にまたがって伸びている。
- アメリカ合衆国
- 言わずと知れた鉄道大国だが、鉄道自体貧乏人の乗り物という国民性なのか需要が少なく、内陸部や西海岸に非電化路線が多い。また、アラスカ州内は全然非電化であり、ハワイ州については2023年6月末のホノルル高架鉄道の開業により「電車」の来ない状態が解消されている。
- オーストラリア
- 北部のノーザンテリトリーには非電化の大陸横断鉄道しか存在しない。
- イギリス
- かつては非電化大国として知られていた。2023年現在でも北アイルランド内の鉄道はすべて非電化。
- アイルランド
- 首都ダブリン近郊の路線DART(総延長53km)以外はすべて非電化。
関連項目[編集]
注[編集]
- ↑ JR発足前の地方私鉄に関する鉄道事業法の前身法。
- ↑ 軌道法を適用した路線は法規上普通鉄道に分類されない。
- ↑ 移管する場合はJR東海とあいの風とやま鉄道の2つが有力候補と考えて良い。
- ↑ 奥田中学校前以北は鉄道事業法による区間。
- ↑ 貨物新幹線を導入した場合、旧江差線区間の電化は不要になり、かつ函館 - 新函館北斗間も電化撤去しない場合は孤立電化となる。
- ↑ 小郡町平成大合併前の山口市域では、上嘉川駅、深溝駅を含む区間が1944年に山口市に含まれた時点で国鉄在来線の電化区間が生じた。また、1961年6月に国鉄山陽本線の嘉川駅を挟む区間が電化されている
。更に言ってしまうと、新山口 - 山口間は蓄電池電車の運用ができそうに見えるが…。