白河市
白河市(しらかわし)は、福島県の中通り(福島県中央部)の南端に位置する市である。
概要[編集]
この白河市は栃木県に隣接している。古くから白河関で知られる要衝で、いわゆる東北地方の玄関口であった。
白河の名が史料上で確認できるのは奈良時代の8世紀初頭であり、神亀5年(728年)に聖武天皇が先住民族の南下を抑えるために白河に軍団を設置していたのだという。平安時代末期になると、白河は院政を行なう上皇や法皇の院領となった。
鎌倉時代になって武士の時代になると、この地は白河結城氏(小峰氏)の支配下に入り、同氏によって白河城や小峰城が築城され、城下町も建設されて都市化が進められた。鎌倉幕府崩壊後、建武の新政が開始されると、白河結城氏の第4代・結城宗広は後醍醐天皇に味方して大きく勢力を拡大した。特に宗広の息子・結城親光は楠木正成らと並ぶ三木一草の1人として、後醍醐天皇に重用されるほどであった。しかし、その白河結城氏もその後は次第に衰退し、豊臣秀吉の奥州仕置によって滅亡を余儀なくされた。
江戸時代になって江戸幕府は、寛永4年(1627年)に織田信長の重臣だった丹羽長秀の長男・丹羽長重を10万石で白河藩に入れた。ここに江戸時代の白河藩が成立し、長重は小峰城を修築して城下町も近代的に整備した。江戸幕府もこれまでの政権同様、この関東と東北を結ぶ要衝の白河を重視し、藩主を頻繁に交代させて藩主家に力をつけないようにさせている。白河藩主として最も著名なのが、第11代征夷大将軍・徳川家斉の下で老中として寛政の改革を断行した松平定信であり、定信は藩政でも農業や馬産を中心とする産業振興や人口増加策を推進した。
江戸時代になると交通も整備されていたが、有名な松尾芭蕉が奥州への紀行を行なった際には江戸を経ったのが3月27日、各所の名所や社寺に詣でながら白河にたどり着いたのが4月20日ということから、歩いても1か月以内にたどり着くくらいの距離だったようである。時代が進むにつれて、白河の地はその要衝ゆえに交通が発達し、それと共に北関東から東北南部にまたがる経済圏の中心地としても発展を遂げた。
昭和24年(1949年)に白河町が大沼村と合併して市制を施行し、白河市が発足する。昭和29年(1954年)、白坂村・小田川村を編入し、翌昭和30年(1955年)に五箇村と表郷村の1部をそれぞれ編入した。平成17年(2005年)11月7日、旧白河市、西白河郡表郷村、大信村、東村の合体合併により、新市制の白河市が発足した。
白河の中心市街地は、阿武隈川と谷津田川が挟まれた丘陵地に存在し、現在では福島県南部の物資の集散地となっている。また、高速交通時代を迎えて企業誘致や観光資源の整備も行われた結果、東京都から東北新幹線で1時間少々で新白河駅に着くことができるほどになっている。
経済[編集]
産業では醸造業、伝統的な白河石、特殊ガラス工業、地場産業化したワイシャツ縫製業、ゴム工業などがある。昭和57年(1982年)6月の東北新幹線新白河駅開業を契機に、先端産業の電気や精密機械、医療品などの工場も白河市に進出した。
観光資源でも古くから歴史があり、松平定信など著名人も多く輩出していることから、多くの史跡・名勝・伝説などが存在する。また、北中川原地区には面積11.2平方メートルの白河総合運動公園があり、陸上競技場やプール、広場、体育館などがある。
企業[編集]
- 桜乳業株式会社
工場[編集]
- 住友ゴム工業白河工場
- デノン白河ワークス
- UHA味覚糖福島工場
- 日本金属福島工場
- 味の素製薬福島工場
- 朝日ラバー白河工場
- 春雪さぶーる・サガミハム白河工場
- フランスベッド東北工場
- パナソニック白河工場
商業施設[編集]
- メガステージ白河
- ベイシア白河モール
- ヨークタウン白河横町
- わしお(現在はリオン・ドールコーポレーションの子会社として営業)
- とぴあ104
- 福島県南生活協同組合CO・OPBESTA白河店
預貯金取扱金融機関[編集]
- 東邦銀行(指定金融機関) 3支店
- 常陽銀行 1支店
- 福島銀行 1支店
- 大東銀行 2支店
- 白河信用金庫 6支店
- 福島県商工信用組合 1支店
- 東北労働金庫 1支店
- 夢みなみ農業協同組合 5支店
- 東西しらかわ農業協同組合 2支店
学校[編集]
高等学校[編集]
中学校[編集]
- 白河市立白河中央中学校
- 白河市立白河第二中学校
- 白河市立東北中学校
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- 白河市立白河南中学校
- 白河市立五箇中学校
- 白河市立表郷中学校
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- 白河市立東中学校
- 白河市立大信中学校
小学校[編集]
- 白河市立白河第一小学校
- 白河市立白河第二小学校
- 白河市立白河第三小学校
- 白河市立白河第四小学校
- 白河市立白河第五小学校
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- 白河市立小田川小学校
- 白河市立五箇小学校
- 白河市立関辺小学校
- 白河市立みさか小学校
- 白河市立表郷小学校
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- 白河市立釜子小学校
- 白河市立小野田小学校
- 白河市立大屋小学校
- 白河市立信夫第一小学校
- 白河市立信夫第二小学校
交通[編集]
鉄道[編集]
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
バス[編集]
- 福島交通
- JRバス関東
- 市内に福島交通白河営業所・ジェイアールバス関東白河支店が設置されている
- JRバス白棚線は、一部区間で鉄道路盤(国鉄白棚線)転用のバス専用道路を経由する。
- 白河市循環バス
- 表郷地域巡回バス (旧表郷村地区を運行)
- 大信地域自主運行バス
- 白河市大信と矢吹町との間の福島交通バス路線が廃止され、代替として運行されている。
- 東地域巡回バス (旧東村地区を運行)
高速バス[編集]
東北自動車道の西郷バスストップからは下記の路線が利用可能。
- あぶくま号(新宿 - 西郷BS・郡山・福島)<福島交通・JRバス関東・JRバス東北>
- あだたら号(新越谷・浦和美園・佐野新都市 - 西郷BS・郡山)<福島交通・東武バスセントラル>
- ギャラクシー号(福島・郡山・西郷BS - 京都・大阪)<福島交通・近鉄バス>
- 夜行高速バス(福島・郡山・西郷BS - 名古屋)<福島交通・名鉄バス>
道路[編集]
- 高速道路
- E4東北自動車道
- (14)白河IC(西郷村)- (BS)西郷BS(西郷村) - (14-1)白河中央スマートIC - (PA)阿武隈PA
- 国道
- 福島県道
- 福島県道11号白河石川線
- 福島県道37号白河羽鳥線
- 福島県道44号棚倉矢吹線
- 福島県道58号矢吹天栄線
- 福島県道75号塙泉崎線
- 福島県道76号伊王野白河線
- 福島県道139号母畑白河線
- 福島県道183号白坂停車場線
- 福島県道184号白坂停車場小田倉線
- 福島県道185号久田野停車場線
- 福島県道232号南湖公園線
- 福島県道277号社田浅川線
- 福島県道278号釜子金山線
- 福島県道279号高萩久田野停車場線
- 福島県道280号中野番沢線
- 福島県道281号増見小田倉線
- 福島県道282号十日市矢吹線
- 福島県道388号白坂関辺線
観光[編集]
- 白河関跡 - 国の史跡
- 南湖公園 - 日本最古の公園、国の史跡及び名勝
- 白河小峰城 - 日本100名城、東北三名城の一つ
- 白河集古苑 - 歴代城主などの遺品を展示
- 白河市歴史民俗資料館 - 古代~近世までの歴史出土物を展示
- まほろん - 文化財センター
- 白川城 - 搦目城
- 白河舟田・本沼遺跡群 - 国史跡
- 丹羽長重の墓・霊廟 - 隣に、18世紀前半に白河藩主を務めた松平直矩(なおのり)、松平基知(もとちか)父子の墓、また小南湖(しょうなんこ)と呼ばれる池がある
- 鹿嶋神社 - 旧日本海軍の軽巡洋艦「阿武隈」の艦内神社はこの神社から分祀している
- 戊辰戦争の古戦場 - 稲荷山他市内に数箇所
- 白河提灯祭り - 日本三大儀式祭りの一つ 西暦奇数年9月中旬
- 白河だるま市 - 2月11日に開催
- 安珍堂 - 安珍・清姫伝説で知られる安珍は当地出身の僧侶と言われており、その安珍を祀った堂が市内萱根根田地区にある
- 白河天道念仏さんじもさ踊り - 毎年7月第一日曜日に市内関辺地区の八幡神社境内で行われる 五穀豊穣を祈る除蝗祭で、「さんじもさ」は、「山神様よ」がなまったものといわれている。
- アウシュヴィッツ平和博物館
名産[編集]
- 白河ラーメン
- 白河だるま
- 和菓子 - 江戸期創業の店を始め市内にいくつか点在している
- 蕎麦 - かって日本三大蕎麦処と称えられた
- 白河石 - 白河地方で産出される安山岩
- ビャッコイ - 日本国内では白河市表郷金山にのみ自生する植物
- 白河高原清流豚
キャラクター[編集]
- 小峰シロ - 観光物産協会が作った白河小峰城とおとめ桜をモチーフにしたご当地萌えキャラ
- ダルライザー - 商工会議所青年部が作った白河だるまをモチーフにしたご当地ヒーロー
- しらかわん - 白河のPRを行うご当地ゆるキャラ
著名人[編集]
出身者[編集]
- 安珍 - 安珍・清姫伝説
- 広瀬蒙斎 - 儒学者
- 星野文良 - 文晁門下 白河藩絵師
- 蒲生羅漢 - 南画家
- 大野文泉 - 白河藩絵師
- 阿部正功 - 白河藩主阿部正耆の次男 人類学創立に寄与
- 岡崎白信 - 彫刻家
- 和田弥太郎 ‐ 宝石鑑定家
- 川崎プッペ - 人形作家
- 関根正二 - 洋画家
- 今井珠泉 - 日本画家
- 黒須昇 - 洋画家 パリ在住
- 大谷五花村 - 川柳
- 岩淵悦太郎 - 岩波辞書編纂 国立国語研究所所長
- 中山義秀 - 歴史小説 芥川賞受賞
- 川瀬七緒 - 小説家 江戸川乱歩賞受賞
- 宮ノ川顕 - 小説家 日本ホラー大賞受賞
- 鈴木幸寿 - 東京外国語大学学長
- 佐藤公彦 - 東京外国語大学教授 歴史学
- 荒井壽夫 - 滋賀大学名誉教授
- 深谷徳次郎 - 宇都宮大学名誉教授
- 富山淳 - 東京都立大学名誉教授
- 我妻則明 - 岩手大学教授
- 鷲尾多三郎 - 福島大学教授
- 川瀬謙一郎 - 国際基督教大学教授
- 駒木敦 - 同志社大学博士課程教授
- 上原政兵衛 - 原皮毛皮貿易商 上原商事会長 旧姓松島
- 金田幸三 - ニチレイ創業者・会長 東京白河会会長
- 金子善一郎 - サカタノタネ社長
- 松島瀧三 - 日本毛皮革代表
- 鈴木義男 - 憲法学者 法務総務大臣 日本国憲法起草者<生存権>の一人
- 瀬谷俊雄 - 全国第二地銀会長 東邦銀行会長
- 川田悦子 - 衆議院議員
- 人見信男 - 警視庁副総監
- サトウトシキ - 映画監督
- 矢吹公郎 - 映画監督
- 小林正美 - 漫画家
- 藤田敦史 - マラソン選手
- 松井達徳 - プロ野球選手
- 遠藤純 - サッカー選手、なでしこジャパン日本代表
- 班目秀雄 - 競輪選手 東京オリンピック出場 2000年シドニーオリンピック日本代表監督
- 班目真紀夫 - 自転車競技選手 1992年バルセロナオリンピック出場
- 伏見俊昭 - 競輪選手 アテネオリンピック銀メダリスト
- 岡部芳幸 - 競輪選手 日本選手権優勝
- 沼田弥一 - 自転車競技選手 75`新人賞 ※表郷村出身
- 佐々木雄一 - 競輪選手
- 阿部篤史 - バレーボール選手
- 遠藤桐 - バスケ高校三冠 U17・18日本代表 アイシン所属
- はんざわかおり - 漫画家
- 有島モユ - 声優
- 橋本まい - 声優
- よのひかり - 声優、ナレーター
- 吉田菫 - ガールズバンドSilent Siren のボーカル
- 星浩 - ニュースキャスター 朝日新聞特別編集委員
ゆかりの著名人[編集]
- 結城宗広 - 南朝方の武将
- 松平定信 - 白河藩主 老中首座として寛政の改革を行う
- 谷文晁 - 江戸三筆の一人 白河藩お抱え絵師で白河だるまの図案の考案者
- 亜欧堂田善 - 洋風画家 当時白河藩領須賀川の生れ 文晃門下
- 白雲 - 画僧 市内常宣寺住職 集古十種の編纂に携わる
- 高久隆古 - 大和絵師 領地替えで白河に住む
- 真田幸貫 - 松代藩主 名君と謳われ水野忠邦と共に天保の改革を担う 定信の次男で江戸白河藩邸の生れ
- 阿部正外 - 白河藩主 幕末期江戸老中として諸外国との折衝にあたる
- 沖田総司 - 新撰組隊士 江戸白河藩邸の生れ
- 沢辺琢磨 - 日本最初の司教 白河ハリスト正教会司教を十年に渡り勤める
- 山下りん - 日本最初のイコン画家 白河ハリスト正教会に数点作品が残されている
- 小室翠雲 - 南画家 南湖十七景を描く
- 長谷部英一 - 家族が父の郷里白河へ移住 本人も大正期病気療養で長期滞在し数々の作品を制作
- 結城素明 - 画家 戦時中一時白河へ疎開
- 齋藤正夫 - 洋画家 馬の画家として知られる 父の郷里白河を故郷として慕い1600点余りを寄贈
- 伊東静雄 - 長崎の詩人 「白河」という散文のなかで当地への憧れを綴っている
- 酒井文徳 - 東京大学医学部学部長 旧制白河中学卒
- 河島英昭 - 東京外国語大学名誉教授 ピッコ・デーラ・ミランドラ賞受賞 幼少期に白河へ移住 白河高校卒
- 池谷薫 - 映画監督 少年期を白河市で過ごす
- 渡辺保 - 演劇評論家 戦時中白河に疎開
- 千葉節子 - 詩人、美術家、90年代後半より移住
- 新田祐大 - 競輪選手 ロンドンオリンピック出場 白河高校卒
- 鈴木郁洋 - プロ野球選手 2000年シドニーオリンピック出場 小中学校が市内の学校
作品[編集]
白河市が舞台となっている作品
- アニメ
- 映画