ドイツ
ドイツ連邦共和国(ドイツれんぽうきょうわこく)は、ヨーロッパの連邦共和国で、中央ヨーロッパに位置する。人口は2021年時点で8320万人。漢字表記は「独逸」。
概要[編集]
公用語はドイツ語。経済規模ではヨーロッパの中心的存在の国家である。GDPは2023年に日本を抜き、アメリカ合衆国、中華人民共和国に続く世界3位となった。
首都はベルリンだが、ボンにも一部省庁が置かれ、終審裁判所である連邦裁判所や連邦憲法裁判所はカールスルーエ、中央銀行のドイツ連邦銀行はフランクフルトに置かれている。
ベルリンは国内の東端に近く、東部はベルリン市内を除けば人口密度の低いエリアなので、人口の集中する西部に重要機能を置いているという事情もある。
地理[編集]
面積は357,121km²。ロシア連邦を別にすれば、ヨーロッパの中で最も人口が多い。
国旗[編集]
上から順に、黒、赤、金色(実際は金色より鮮やかさを完全に上げた色で、山吹色に見える)の横3分割で構成された国旗。色の由来は、19世紀初めのナポレオン軍との戦いでの軍服から来ていて、黒はマント、赤は肩章、金色(山吹色)は金ボタンに由来し、自由と統一の象徴とされる。また同時に、色の意味としては、黒は勤勉と力、赤は情熱と自由、金色(山吹色)は名誉を表している。
歴史[編集]
西暦800年にフランク王国の後継国家として誕生した神聖ローマ帝国を起源とする。東フランク王国時代はラインラント周辺のみが領土であったが、徐々に領土を広げ、13世紀頃からベルリンなど東ドイツを支配する様になった。領土を広げるにあたり、ブランデンブルクやオーストリアといった辺境に有力貴族が配置された。
近代以降は実質数百個の領邦による国家連合の様な形になっていた。領邦の中でも国力に差があり、南東の辺境部にあるオーストリアが最大の領邦で、オーストリアの大公が皇帝を兼任する様になっていった。一方、東の辺境のプロイセン[1]が18世紀頃より急速に強大化し、帝国第二の領邦に成長した。
1806年にナポレオン・ボナパルトの攻撃によって神聖ローマ帝国は正式に各諸国に解体したが、1871年に旧ドイツ最大の国オーストリアを除く全ての国が、第二の大国プロイセンを中心に再び統一されドイツ帝国が成立し、本来は辺境であったベルリンが首都となった。三国同盟を主導し、第一次世界大戦に参戦したが大敗し、1918年に始まったドイツ革命により帝政は倒れた。
1919年にドイツ社会民主党を与党とする民主的な共和制国家ドイツ国(通称ワイマール共和国)が成立した。しかし、1930年代にワイマール共和国の民主的な体制下においてナショナリズムを巧妙に宣伝し大衆を惑わしたアドルフ・ヒトラーの国家社会主義ドイツ労働者党が台頭。イギリスやフランス共和国にも宣戦布告し、第二次世界大戦が始まった。当初はドイツが戦局を有利に運ぶもしだいに悪化。ヒトラーは自殺して、1945年にドイツは降伏した。
連合軍の分割占領を経て1949年にドイツの西部と西ベルリンを領土としたドイツ連邦共和国(通称西ドイツ)、ドイツ東部と東ベルリンを領土としたドイツ民主共和国(通称東ドイツ)に分裂した。1989年にベルリンの壁が崩壊して1990年に再統一を果たすまで分裂状態が続くことになった。
地理[編集]
行政[編集]
ドイツには16の連邦州が存在。ベルリンとハンブルクは単独で州を形成する。中央政府同様に各州に省庁が設置され、アメリカの州同様、州の権限は強い。
なお、最高裁が置かれるカールスルーエ(バーデン=ヴュルテンベルク州)や中央銀行が置かれるフランクフルト(ヘッセン州)は州都ではない。
州名 | 面積 | 州都 | |
---|---|---|---|
01 | バーデン=ヴュルテンベルク州 | 35,751.65 | シュトゥットガルト |
02 | バイエルン自由州 | 70,549.19 | ミュンヘン |
03 | ベルリン | 891.75 | ― |
04 | ブランデンブルク州 | 29,478.63 | ポツダム |
05 | ブレーメン州 | 404.23 | ブレーメン |
06 | ハンブルク | 755.16 | ― |
07 | ヘッセン州 | 21,114.72 | ヴィースバーデン |
08 | メクレンブルク=フォアポンメルン州 | 23,174.17 | シュヴェリーン |
09 | ニーダーザクセン州 | 47,624.22 | ハノーファー |
10 | ノルトライン=ヴェストファーレン州 | 34,083.52 | デュッセルドルフ |
11 | ラインラント=プファルツ州 | 19,847.39 | マインツ |
12 | ザールラント州 | 2,568.65 | ザールブリュッケン |
13 | ザクセン自由州 | 18,414.82 | ドレスデン |
14 | ザクセン=アンハルト州 | 20,445.26 | マクデブルク |
15 | シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州 | 15,763.18 | キール |
16 | テューリンゲン自由州 | 16,172.14 | エアフルト |
主要都市は以下の通り。
- ハンブルク(ハンブルク市) - 北部。
- ベルリン(ベルリン市) - 東部。首都であるが、立地が国土の東の外れに近い。
- デュッセルドルフ(NRW州) - 西部。炭鉱で栄え、エッセンなど周辺の都市と合わせてドイツ最大の都市圏を形成している。
- フランクフルト(ヘッセン郡) - 南部。ヨーロッパの金融の中心で、国際航空便が最も多い都市でもある。
- ケルン(NRW州) - 西部。大聖堂で有名。かつて西ドイツの首都があったボンの隣町。
- ミュンヘン(バイエルン州) - 南部。ドナウ川の流域で、大西洋側ではなく地中海側である。
政治[編集]
元首は大統領であるが、行政府は議院内閣制が採られている。しかし、日本のように一党で議会過半数近くを占めることは殆どなく、中道右派のドイツキリスト教民主同盟か中道左派のドイツ社会民主党のどちらかが中心となった連立政権が組まれることが多い。
議会は他国の下院に相当の有権者の直接選挙によるドイツ連邦議会と他国の上院に相当する各州代表から構成される連邦参議院の二院制である。
反ナチス・ドイツ政策が取られ、ハーケンクロイツを公共の場で用いると煽動罪になるんだとか。かつての東ドイツ側は低所得層が多くドイツのための選択肢が支持される。
交通[編集]
最大の空港は、南部のフランクフルト空港。ベルリンではない。ルフトハンザ航空がフラッグキャリア。
また、鉄道網が非常に発達しており、日本より狭い国土・少ない人口ながら、日本の1.5倍に迫る約40,000kmの鉄道網がある。ドイツ鉄道が運行している路線が多い。主要幹線の多くは交流電化だが、15kV, 16.7Hzという特殊な周波数の電源を採用している。
脚注[編集]
- ↑ プロイセンは本来、現在のロシアのカリーニングラード州、ポーランド北部、リトアニアにまたがる地域の地名であった。しかし、ベルリンの領主がプロイセンの王となって以降、事実上ドイツ北部が本国の様な状態となっていた。
外部リンク[編集]
欧州連合加盟国 |