大統領
大統領(だいとうりょう、President)は、共和国における国家元首もしくは政府の長を指す言葉の一つ。
概要[編集]
アメリカ合衆国が独立宣言によって建国したときにジョージ・ワシントンが初代大統領に就任。このとき、初めて国家元首としての大統領が誕生した。アメリカ合衆国以前にも「president」という言葉自体はあったものの、国家元首としての意味は用いられていなかった。現在でも「President」という言葉には議長などの意味合いがあり、日本における大統領のように国家元首及び政府の長を指すとは限らない。
アメリカ大統領の弾劾裁判[編集]
アメリカ憲法に規定された「反逆、収賄または重罪と不品行」に問われた大統領は、弾劾罷免する訴追手続きができる。これは下院で審議を経て、弾劾訴追が成立した場合は、上院に弾劾裁判所を設置する。最高裁長官が議長となり、上院本会議で3分の2以上の議員が賛成すれば、有罪・罷免の判決が下される。
2019年までに弾劾裁判にかけられたアメリカ大統領は第17代大統領のアンドリュー・ジョンソンと第42代大統領のビル・クリントンだけであり、これらは罷免を免れている。ウォーターゲート事件を起こしたことで知られる第37代大統領のリチャード・ニクソンも弾劾が迫ったが、自ら大統領職を辞職することで免れている。
第45代のドナルド・トランプは、在任半ばの2019年に弾劾裁判にかけられたが罷免を逃れ、2021年には在任大統領初の2度目の弾劾訴追となったが、1週間後に任期満了となり「返り咲き再任阻止のための初の元大統領に対する弾劾裁判継続」の是非が問われた。結局有罪評決とはならなかったが、退任した元大統領の復権阻止のための弾劾訴追の前例を作ってしまった。
大統領の権限[編集]
大統領の権限は国家によって様々である。
- 象徴的な意味合いが強い大統領
- 議会には直接関与せず、行政としての権限を行使していく大統領
- 一定の議会への関与がある大統領(半大統領制)
大統領の名の由来[編集]
日本で大統領の名が用いられたのは江戸時代末期とされる。マシュー・ペリーが来航し江戸幕府に開国を求めた際、幕府は当時のアメリカの統治者をどう表現するかで迷った。当時の世界でアメリカは世襲による君主制ではなく独裁国家でも無いため、王や大君などを用いることに儒学者などから反対があったとされる。といって変な呼称を用いれば相手に失礼の上、日本の将軍の品位まで下がってしまうという問題があり、様々な議論の末に棟梁、それに大をつけ、さらに領土を統べる者として大統領とした、とされている。
大統領が存在する国家[編集]
- アイルランド共和国 - アイルランド大統領
- アメリカ合衆国 - アメリカ合衆国大統領
- イタリア共和国 - 共和国大統領
- オーストリア共和国 - 連邦大統領
- 大韓民国 - 大統領
- 中華民国 - 中華民国総統
- ドイツ連邦共和国 - 連邦大統領
- フランス共和国 - 共和国大統領
- ロシア連邦 - ロシア連邦大統領
- キューバ共和国 - 大統領(2019年に新設)