山小屋

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山小屋の画像。

山小屋 (やまごや)は登山客の宿泊休憩のために設置される施設である。

広義には山にある林業や農業関係の小屋、あるいは山にある小住居も「山小屋」である。また、自然にできた洞窟や岩庇を宿泊に利用する例もあるが、これらは「岩小屋」あるいは「岩室」と呼ばれ、山小屋とは区別する。

概要[編集]

登山にかかる時間が長くなると、休憩や睡眠をとる場所が必要になる。登山客が多くなるとこれを目当てに商売しようとできたのが山小屋である。

またの名を「ヒュッテ」と言う。この由来は、ドイツ語で「小屋」を意味する「Hütte」である。厳密に言うと「ヒュッテ」は山小屋だけでなく小屋全般を指す傾向がある。かつて日本ではドイツ文化の影響が強く、日本で登山用語はドイツ語が好んで使われたので、(おしゃれな感覚で)ドイツ語で「ヒュッテ」とさかんに呼ばれたわけである。特に昭和ひとケタ~昭和10年代生まれなど、比較的年配の人々がドイツ語を(この「ヒュッテ」に限らず)好んで使う。(太平洋戦争での敗戦後、日本で米国の文化、英語文化の影響のほうが強くなったので)平成生まれの人では「ヒュッテ」と呼ぶ人は減っている。

施設の名称[編集]

個々の有人小屋の固有の名称(固有名詞)はさまざまで、たとえば「○○小屋」「○○山荘」・「○○荘」・「○○ヒュッテ」・「ロッジ○○」などがある。ただし、「(論理的に)逆は真ならず」であり、これらの言葉を名称に含んでいると言ってもその宿泊施設が必ずしも山小屋であるとは限らない。登山口の山小屋の中には、その後の山麓地域の観光開発により、一般の旅館になったものの、名称は「・・小屋」のままのところもある。また温泉を持つ山小屋の中には単に「・・温泉」と名乗る所もある。また、山小屋とは特に関係ないが、山小屋の情景に憧れて、いかにも山小屋っぽい名称を名付けられている施設もある。

有人小屋と無人小屋[編集]

山小屋は、大別して「有人小屋」と「無人小屋」に分けられる。本稿では、これ以降、特に特筆無い場合は有人小屋のことを指している。

有人小屋とは、おそらく読者諸君が想像するような、いわゆる「山小屋」。管理人が常駐し、料金を払うことで食事や寝床の提供を受けられる。

無人小屋は基本的には、ともかく風雨を防ぎ低体温症から身を守ってくれたり、雹などが頭を直撃することなどから護ってくれる場所であり、無人なので[1]、基本的に寝具類も置いていない。なお無人小屋にはトイレも水場もない小屋もある。このような小屋に最初から宿泊する計画を立てることは避けるべきである。

避難小屋[編集]

避難小屋とは、登山客の休憩や宿泊のために最低限度の設備を設けた山小屋である。常駐している管理人はいないこともある。地方自治体や企業、個人の寄付によって運営されており、宿泊料金は無料のこともあるが、施設維持のため寄付を呼びかけている。

宿泊する人がいることを念頭に置いている避難小屋の中には、トイレや水場の用意があるうえに、自炊スペースが確保されている小屋もある。その場合も寝具はないことがほとんどで、自分で食料、寝具(寝袋)や炊事道具(コッヘルストーブなど)を持参して宿泊する必要がある。設備が破損している場合もあるため、事前に管理者に確認したほうが良い。

ただし、南アルプスなどにおいては、避難小屋の名称を名乗りながら夏期のみ管理人が入り、寝具や食事(レトルト食品のようなものが大半)の提供を行い、事実上有人小屋に近い営業を行っている例も増えてきた。この場合も管理人が入る期間は通常の有人小屋より短いことが多いので、事前に確認を行った方がよい。ただし、避難小屋である以上、管理人がいない時期も小屋は無人小屋として一部が開放される。北アルプスの南岳小屋(旧・南岳避難小屋)のように「避難」の文字を削って正式に有人小屋になったところもある。

利用[編集]

設置場所[編集]

山間部の比較的広い台地に建設される場合が多い。登山客が早朝に麓から歩き始めて昼過ぎに到着するようなところに設置される。また、麓の鉄道駅バス停留所の近くに設置して、翌日の登山や帰宅に対応できるようになった山小屋もあり、この場合、宿泊客用の浴室があるなど、一般の旅館と同じ設備になることがある。

日本のみならず、世界中のさまざまな山に山小屋が存在している。特に登山がさかんな国には数多くの山小屋が存在する。登山の盛んなヨーロッパアルプスロッキー山脈は特にその数が多い。無人小屋も多いし、有人小屋も多い。もともとは山小屋というものは、水・食料品・燃料などの基本的な物資をそこまで運ぶのも全て人が背負って運び上げなければならず非常に大変だったので、たとえ有人小屋でもきわめて素朴なサービスしか提供できなかったが、近年ヘリなどで物資を運ぶ小屋も出てきた結果、一部の小屋でサービスが充実化し、中には「山のホテル」と呼ぶのがふさわしいような設備やサービスがしっかり整った山小屋が、人里から遥か離れた山奥や山頂付近に設置されている例も増えてきた。

設備[編集]

便所、洗面所、売店、食堂、寝室などがあることが一般的。ただし、すべての山小屋がこれらすべてを備えているとは限らない。

また、宿泊客向けの浴室はないことが多い。上水が限られ、下水道下水処理場の整備がないからである。

利用方法[編集]

早めに到着して、翌日は早めに出発することがもっとも良い使い方である。の天候は変わりやすく、街灯もなく暗いので、夜間の移動は危険だからである。遅く到着すると食事の準備ができず、早く到着して休んでいる人に迷惑をかけることもある。このため消灯も早い。翌日も目的地に早く到着するために早く出発するのが良い。寝室は男女共用の二段ベッドでプライバシーはないに等しい。また、山小屋が登山客の避難所という性格も併せもつため、定員以上に宿泊客を泊めるために、居住性が悪化することもある。

料金[編集]

1泊2食付きで6000円以上が一般的。

設備に比して高く感じられるが、物資の引き上げに多額の金銭がかかるのでやむを得ない料金である。このため、山小屋の売店で売っている飲み物の料金も高い。

食事[編集]

食器は多くの小屋ではプラスチックの食器となるが、小屋によっては小屋の名前が入った特製の陶磁器の食器を用意しているところもある。水が極めて不足している小屋では、洗浄の必要のない使い捨ての発泡スチロール製の食器が使われる。

朝食は多くの小屋では、前日の夜にある程度の準備ができる佃煮漬物が使われることが多い。調理せずにそのまま出せる海苔納豆生卵もよく使われる。味噌汁もなく、朝食で暖かいものはご飯とお茶だけという場合も多いが、時期によっては止むを得ない。最近はバイキング形式にするところも多くなった。山小屋の朝食は極めて早い時間に用意されることが多く、従業員の一部はご飯を炊いたりを沸かしたりするために、午前3時台に起床するところもある。

宿泊者の中には朝食時間より前の、まだ暗いうちに出発することを希望する人もいる。それらの人で朝食を希望する人には、前日の夜のうちに弁当が渡される。ただ、相部屋がメインの山小屋においては、弁当を宿泊室で未明に食べるわけにはいかず、多くは屋外で(特に出発後に)明るくなってから食べるケースが多い。

昼は食堂で簡単な昼食を滞在客や通過登山者に提供する山小屋が多い。メニューはカレーライスやラーメンうどん等が多いが、最近は麺類を生麺にするところが増えている。コーヒー紅茶等の喫茶メニューや生ビールを出すところも多くなった。しかし、小規模な小屋を中心に袋入りインスタントラーメンを調理したものやカップラーメンしか用意できない小屋もある。

登山は多くのカロリーを消費するため、山小屋では大抵の人は普段よりも多食になる傾向がある。多くの山小屋はおかずのお替りは無いが、味噌汁やご飯のお替りは残りがある限り自由にできることが多いので、缶詰やふりかけ等の副食を持参する人も多い。

注意点[編集]

山小屋の中には大学や山岳会・スキー部・企業などが所有している小屋もある。これらは基本的には関係者や関係者に伴われた人しか宿泊できない。谷川岳の毛渡沢(新潟県側の登山口)の「群馬大ヒュッテ」や栂池の複数の大学小屋などがある。このような小屋でも登山地図に記載されていることがあるが、一般人が宿泊することができないだけでなく、利用者のないときは鍵がかかっていて、緊急避難にさえ利用できないことも多いため、予めの情報で利用しないようにすることが必要である。

シーズンオフは予約がない日は小屋を閉める山小屋もあるので、このような山小屋をシーズンオフに使用するときの予約も必須である。また、山小屋によっては予約客と非予約客で部屋のグレードや、宿泊者の詰め込み具合、食事内容などに差をつけ、予約客を優遇する山小屋もあるから、やはり予約は極力するべきである。

なお、山小屋の中にも、北アルプスの燕岳へ登る合戦尾根にある「合戦小屋」や、乗鞍岳の「頂上小屋」・立山大汝山山頂の「大汝休憩所」などのように売店のみで宿泊できないところもあるので、よく調べて売店専用小屋に宿泊を予定するようなプランを立ててはいけない(このような小屋であっても、激しい雷雨や集中豪雨等の天候が極めて悪い時や、登山道が寸断された時などには緊急避難場所として仮眠させてくれる)。なお、売店専用の小屋はすべてが毎日営業しているとは限らないし、有人小屋もシーズンオフを中心に、昼間時間帯は数少ない従業員がボッカや登山道整備等のために小屋を不在にし、一時閉鎖することがある。その間は売店はもちろん、トイレの利用もできない場合があるので、特にシーズンオフに利用の際は事前に確認するべきである。

運営[編集]

経営・運営[編集]

山のガイド出身者や地元の元猟師・林業関係者など、及びその子孫による単独経営・あるいは近隣の数軒の小屋の経営を行っているケースが多い。その後代替わりにより、経営権が元登山愛好者などに移っている場合も近年は増えている。数は少ないが、地元の地方自治体第3セクターが経営している場合や、株式会社組織による大規模な経営を行っているところもある。希に石鎚神社頂上山荘や山上ヶ岳宿坊のように宗教法人が運営しているものもある。

中高年登山ブームの影響[編集]

かつては登山は比較的若年層の行うスポーツであった。そのため山小屋に宿泊する人は仕事や学校が休みとなる週末夏休みお盆に集中し、それ以外の期間はあまり宿泊者や利用者がいなかった。

しかし中高年世代の人々の間で登山が盛んになるにつれて、山域にもよるがピーク時以外もそこそこの宿泊者が見込めるようになっている。また、中高年層はできるだけ荷物を少なくするため、その分を山小屋で飲食・購入するようになった。これらの現象は山小屋の経営にとっては良い傾向と言える。ただ、中高年層は週間天気予報が良くないと山行の計画を中止する傾向があり、天候不順な年は宿泊者が以前よりも少なくなる。

山小屋のアルバイト従業員[編集]

小規模な山小屋では経営者(いわゆる「小屋主」)だけで小屋を守っていたり、管理人が1人で切り盛りしているケースもあるものの、大規模な山小屋や最盛期の山小屋を支えているのはアルバイト従業員である。以前は山の雑誌やガイドブックに掲載されたアルバイト募集広告等を見て、大学生などが応募するケースが多かったが、現在は他業種のアルバイトと同様にインターネットウェブサイトを見て応募するケースが増えている。

山小屋のアルバイトの主な仕事内容
他の宿泊施設と共通する仕事 山小屋特有の仕事や体力が必要な仕事
  • 食事の用意や食器の後片付け・食器洗い
  • 売店の店番
  • 小屋の清掃
  • 寝具の上げ下ろし
  • 宿泊客への接客
  • 小屋周辺の清掃や登山道の草刈り
  • 屋根の上での布団干し
  • ディーゼル発電機の給油(電気の通じていない小屋)
  • 食料品のボッカ
  • ランプのガラス(ほや)掃除(ランプを使用している小屋)

山小屋に到達するまでに難所があり、きちんとした装備がないと危険な場合もある。自動車道の通じた登山口の山小屋などは別にして、一般的には登山経験者以外は困難な仕事である。運が良いと荷物輸送用のヘリコプターに便乗できる時がある。

日給は決して高くはないが、アルバイト従業員の食事や宿泊の費用は山小屋側が負担するか、或いは安価な料金で給料から天引きとなるために、他に金銭を使うような娯楽施設もない山小屋での勤務期間はまったく金銭を使わずに過ごすことも可能である。しかし、携帯電話の通じる山小屋では知人への電話が多くなり、下山後思わぬ出費になることに気付く者や、給料からの天引きで割高な小屋のビールを毎日飲んだ結果、給料支払い時にその金額の大きさに気付く者などもいる。

なお、アルバイトに応じた者の居住地から山小屋までの交通費は支払う山小屋と支払わない山小屋がある。アルバイト従業員の宿泊部屋は、一人一人に個室が与えられる山小屋もあるが、多くは男女別相部屋の従業員部屋である。

登山や自然に興味を持つ者の応募が多く、少々賃金が低くても山に住めるだけでも満足している者も多い反面、相部屋での長期間の共同生活に起因するトラブルが発生することもある。ただ、無事勤務期間を満了できた者は、翌シーズンも山小屋での勤務を希望する傾向がある。

物資の輸送[編集]

登山口の山小屋等、車道が通じている山小屋や、ロープウェイ・リフトが通じている山小屋は別として、多くの山小屋にとって物資の輸送は重要な問題である。

人力による輸送
従来から主に行われて、現在でも小規模な山小屋を中心に行われているのが、人力による輸送である。山小屋の従業員・アルバイトや物資専門を職業としている人(ボッカ)が登山口から物資を人力で担ぎ上げる。訓練された人では100kgを超える物資を一度に担ぎ上げることができる。ヘリコプター輸送も併用し、ガスボンベや石油等の食品以外や米などの重くて腐らないものは小規模な小屋でもヘリコプターを使ってまとめて輸送し、生鮮食料品は人力輸送する所は今でも多い。
ヘリコプターによる輸送
少し規模が大きい小屋や、小規模な山小屋でも大きな荷物やまとまった量の物資輸送に使われるのがヘリコプター輸送である。山麓のヘリポートから山小屋まで物資を吊り下げて輸送し、山小屋の敷地で物資を下ろす。この方法の欠点は有視界飛行に頼るために、視界が利く強風ではない雨が降らない日しか輸送できないことである。天候が悪い日が続いた時は、生鮮食料品を中心に人力輸送を行わざるを得なくなる。また、距離によって運搬料金が大きく変わるために、できるだけ山奥にヘリポートが作られるが、それでも輸送コストは大きい。
特殊車輌(ブルドーザー等)による輸送
富士山の山小屋の場合はブルドーザーによる物資輸送が行われている。そのために登山口から山頂に至るブルドーザー専用の通行路が作られている。ブルドーザーの維持費や減価償却費、燃料費、ブルドーザー道の借地料なども輸送コストになる。大分県法華院温泉山荘などのように、山道を通行できる小型車両で物資を輸送しているケースもある。
専用索道による輸送
数は少ないが、道路から山小屋まで(あるいは途中まで)専用の荷物用索道を設置し、物資輸送に使っている例もある。この場合は索道の運転費用の他に索道の維持費用や索道通過用地の借地料なども山小屋の輸送コストになる。

どの方法でも輸送コストは非常に大きくなる。そのことは宿泊料金や売店で売られている商品の販売価格に反映される。商品の場合はメーカー希望小売価格でなく、重量と大きさにより加算額が大きくなるために、ハンカチガムなどよりも清涼飲料水や缶ビールなどの値段がメーカー希望小売価格よりも高くなる。これら缶飲料は空き缶を麓に下ろすコストも販売代金に加えられている。

水の確保[編集]

谷川沿いの山小屋は別として、多くの山小屋ではの確保に大変苦労しており、登山者は“水は貴重品である”との認識で節水に心がけるようにしたい。

水源がある場合
谷川沿いの小屋の場合谷川の水を使う。ただし本流は大抵の場合、さらに上流にある山小屋のトイレなどが原因で細菌で汚染されており、支沢の奥の水源から長大なゴムホースで飲料水を得ているところが多く、大雨の後などは取水地点の修復が必要になる。また秋は水源が涸れることもあり、この場合は稜線上の山小屋と同じ苦労をすることになる。
ポンプ(電動)
稜線上の小屋の場合は白馬山荘など大規模な山小屋の中には、大規模な自家発電により得られた電気を使って大規模な水のポンプアップを行っており、比較的水が豊富なところもある。
雨水
小規模な稜線上の山小屋で多く採用されている方法は天水(雨水)の貯蔵である。山小屋の屋根に降った雨水を樋を使ってたくさんの空きドラム缶に貯蔵する方法が一般的である。この場合、飲用にする場合は煮沸が必要になる。
ヘリコプターによる輸送
極端な渇水の年などは、秋に水源が涸れることが稀にある。このような場合は飲料水をヘリコプター輸送する山小屋もある。
ボッカによる輸送
大都市近郊の山小屋の中には、大気汚染により保健所から天水の飲用許可がおりず、天水は飲用以外の用途のみに利用し、飲用水は水源からボッカにより得ているところもある。
残雪の利用
近くに残雪がある山小屋の中には、残雪が消えるまでは水が豊富に使えるところもある。

水が貴重な小屋においては、水といえども無料とは限らない。宿泊者に対しては水を無料にしているところもあるが、一定量までは無料でそれ以上になると有料になる所も多い。また、そのような小屋では宿泊者以外は多くの場合有料となり、水が極端に不足している小屋では宿泊者以外には水を売らない小屋もある。

電気・通信[編集]

電気

夜間の照明は、ディーゼル発電機による自家発電によって、日没後午後9時くらいまで時間を限って電灯をつける小屋が多い。

近年は多くの小屋で、自然エネルギーの活用がなされている。尾根筋の小屋では風力発電、沢筋の小屋では小規模水力。屋根の上に太陽電池を設置して、蓄電池と併用して夜間照明としている事例もある。白馬山荘のようにNEDOの補助金を受け、風力・太陽光のハイブリッドシステムを採用し電力のかなりの部分を賄っている小屋もある。

小規模な小屋の中には未だに石油ランプを使うところもあり、自家発電が普通になった現代においては、逆に「ランプの小屋」を売り物にしている小屋もある。

消灯時間後は真っ暗になって懐中電灯が欠かせない小屋と、蓄電池や石油ランプにより最低限の常夜灯を点灯するところがあるので、利用の際は予め確かめた方が良い。ただし、蓄電池の高性能化と、省電力なLED電球の普及により、常夜灯が点灯される小屋が増えている。真っ暗になる小屋では就寝時に枕元に懐中電灯を置く人が多い。

登山口の山小屋や近辺に自動車道が通じている山小屋の中には、送電線が通じていて通常の電気が供給されているところもある。

例外的には富士山の一部の山小屋や徳島県剣山頂上ヒュッテのように、近くの測候所に電気を供給する地下ケーブルが設置されたために、山小屋にも通常の電気が供給されているところもある。

通信

従来から一部の山小屋には電話が設置されている。登山口の山小屋は別として、以前は無線電話が一般的だった。そのため天候などにより音質が劣化した。今は通信衛星静止衛星)を利用したNTTドコモ衛星電話ワイドスター)が一般的であるため、パラボラアンテナさえあればどこでも電話を設置できるようになり音質も安定したが、衛星まで36,000kmもあるため衛星中継同様に応答の遅延時間が大きくなり、通話料も無線電話よりも高くなるのが欠点である。なお、公衆電話と山小屋の業務用の電話は、回線が共通の1回線だけの場合がほとんどなので、山小屋に問い合わせの電話が入った時や山小屋側が電話を使用中の時などは、公衆電話は使えなくなる。小屋によっては受付カウンターに公衆電話機を設置し、その電話機を業務用にも併用しているケースも多い。

稜線の山小屋などでは携帯電話電波が送受信できることが多くなり、このような小屋では以前ほど通信に苦労しなくなった。ただ、このような小屋においても全ての携帯電話会社の電波が送受信可能ではないことが多い。以前は同じ会社でも2G3Gの違いで、片方だけしか電波が送受信できない場合があった。

電話もなく、携帯電話も送受信できない小屋で通信の主流になっているものは、専用無線通信である。山小屋と山小屋のオーナーや管理人の自宅・あるいはチェーンの山小屋の場合は本社とを結んでいる無線通信である。このような山小屋に緊急に連絡を取りたい場合は、連絡先に電話をすると、無線通信で用件を伝えてくれる。昼は自家発電を行わない山小屋がほとんどであるため、無線機には蓄電池が欠かせない。

脚注[編集]

  1. 一部に不届き者がいるため、無人だと、何を置いておいても勝手に持ち帰られてしまう(窃盗されてしまう)ことが起きるため。何であれ、無人小屋内のものを勝手に持ち帰ってはいけない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

/やまさいがねが:国道291号清水峠(新潟県側)