ビール
ビール(英: beer、独: bier)は、麦(主にオオムギ)の麦芽によって穀物を糖化したものを、酵母で発酵させた醸造酒である。
概要[編集]
日本で主流のビールはアルコール度数が5%と低く、冷やしてストレートで飲むことが多い。色は黄金色であるが、麦芽を焦がして醸造した黒ビールは黒色である。
日本においてビールと言った場合はラガービールのピルスナータイプがほとんどである。しかし各国においては小麦を原料にした白ビールや製造時に凍らせるビールなど、様々なビールが生産されており、日本においても地ビールとして個性豊かなビールが製造され続けている。
製法[編集]
オオムギを温水に浸して発芽させ、これをすり潰す。麦芽にはアミラーゼという酵素があり、これがデンプンを麦芽糖に変える。これにホップを加えて苦味と香りをつけ、さらに酵母を加えて発酵させる。
沿革[編集]
紀元前4000年頃の古代エジプトではピラミッド建設の作業員にパンとビールの給食を与えていた記録が残っている。メソポタミアにおいても一般的であり、いわゆる「豊穣半月弧」(ハーベスト・クレッセント)地域において発展したと推定されている。
大航海時代は、船員の飲み水として腐りやすい水の代わりにビールを給食にしていたが、熱帯航路ではビールでも腐るのでブドウ酒やラムを支給していた。
日本にビールが本格伝来したのは、黒船来航後で、ドイツ語読みが日本での語源となっている。
ビールの種類[編集]
- エール
- エールは酵母が発酵により液面(上面)に浮かび層を成すことから上面発酵と言われる。代表的なものにペールエールが存在し、複雑で濃厚な味わいが特徴である。種類によって適温が異なり、冷やし過ぎると香りが立たないため10℃前後で呑まれることも多い。
- 自然発酵
- ランビックに代表される発酵方法であり、自然の酵母を用いて発酵するもっとも伝統的なビールであるともされる。現在ではあまり見られない発酵方法であるためランビック以外あまり見かけることはない。
分類[編集]
- 上面発酵によるもの
- ペールエール - イギリスで主流のビール。
- インディア・ペールエール - ホップを大量に使用した苦みが強いビール。
- ヴァイツェン- 小麦多く使用したビール。白ビール。
- スタウト - ギネスビールのように度数がちょっと高めで色が濃いビールである。
- ポーター - ギネスビールの元になったビールである。
- トラピストビール - トラピスト会修道院で作られるビール。
- 下面発酵によるもの
- 日本の税制によるもの
- ビール - 麦芽(50%以上)ホップと水を主原料とし、その他の原料は麦芽の1/2以下であるもの。
- 発泡酒 - 麦芽や麦を原料の一部とした種類で発泡し、アルコール度数が20度未満のもの。ベルギービールの一部がこちらに分類されることもある。
- 第三のビール - 発泡酒にアルコール飲料を混ぜ、リキュールとしたもの。
カクテル[編集]
基本的にそのまま飲むことが多いが、トマトジュースとのレッドアイやジンジャーエールとのシャンディー・ガフなど、多くのレシピが存在している。ビール自体が炭酸のため、ほとんどがビルドである。なお、ブラック・アンド・タンのようにペールエールとギネスを1:1で注ぎ、二層に分けたカクテルも存在している。
鉄過剰[編集]
アフリカの一部地域で自家醸造されたビールには市販品と比較して非常に多量の鉄が含まれており、鉄過剰症の原因となっている。