大学

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大学(だいがく、:university,college)とは、学術の中心として広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的および応用的能力を展開させることを目的とする高等教育機関のことである。日本では学校教育法第52条で設置の意義が定義されている。

概要[編集]

大学学部は卒業すると学士(Bachelor)の学位が授与されるため、学士課程と俗称され、高等学校卒業[注 1]を入学資格とする。
学部学科の設置状況によって単科大学(college)と総合大学(university)に、設置者の区分によって国立公立私立に大別される。

日本国内では、修業年限は大勢が4年間[注 2]である。一方、医学部医学科、薬学部薬学科、歯学部歯学科、獣医学科は6年間である。単位制で在籍期間は修業年限の2倍、休学可能期間は修業年限と同一に設定されているところが多い。国公立大の大半は独立行政法人が運営し、私立大は学校法人が運営する。また、修業年限が2年間もしくは3年間の短期大学もある。さらに、実習を重視し職業教育を進化させた専門職大学や、通信教材学習とスクーリング受講で単位を修得する大学通信教育もある。

上部に大学院(博士前期〔修士〕課程[注 3]、博士後期課程)があり、日本国内には学部を有さず、大学院研究科のみ設置している大学院大学もある。

沿革[編集]

日本の大学[編集]

学制により定められた。帝国大学令の施行により帝国大学が設立された。大学令の施行により単科大学や公立や私立の大学も設立できるようになった。医科大学[注 4]以外は戦後の1947年3月まで大学令による旧制大学が建学した[注 5]が、1947年4月の学校教育法施行により、以後に建学した大学は新制大学となった。

問題点[編集]

  • 少子化により18歳人口が減少する反面、昼間通学制大学が次々と建学され、定員割れや運営難を起こす大学が増えている。
  • 反面、夜間に授業を行っていた、大学の2部や夜間主の学部を置くところは著名大学を中心に減少しており、学資支弁や教育機会均等の観点から問題となっている。

主な学部[編集]

文系学部[編集]

文化、社会を扱う学部。入試において、国語と地理歴史あるいは公民の比重が高い一方で、数学と理科の比重が低い、あるいは課されないのが特徴。

  • 法学部
    法の解釈、外国法と日本の法の違い、歴史を学ぶ。日本国憲法大日本帝国憲法を学ぶことから始まる。司法試験を受けたい人が多く行くが、近年は人気が落ちているとも言われる。
  • 経済学部
    マクロ経済学ミクロ経済学マルクス経済学が基本。金の動きという数量を扱う世界で、数学と密接だが、何故か入試での数学の比重が農学部や医学部より低い。
  • 文学部
    古典漢文近代文学外国文学など、学ぶ範囲は広い。いわゆる文学に限らず、哲学歴史学心理学、大学によっては社会学など人文科学のあらゆる領域が含まれる。深い教養が必要。直接の応用に結びつく・つかない関係なく学問を極める所。
  • 社会学部
    社会におけるトレンドや行動を研究する社会学を学ぶ。批判的精神の人に向いているが国公立大は少ない。
  • 国際系学部
    文科省が国際化施策を打ち出してから激増したが、日本の過度な英語・アメリカ偏重行政の影響もあり、英語に偏っている。
  • 福祉系学部
    1980年代前半までは全国でも数えるほどしかなかったが、高齢化社会を反映して増加している。

理系学部[編集]

自然現象を扱う学部。入試において、数学と理科の比重が高い一方で、国語、地理歴史、公民の比重が低い、あるいは課されないのが特徴。外国語の比重は文系と変わらないことが多く、理系向きの学生にとってはネックとなる。

  • 理学部
    数学物理学化学生物学地球科学といった進路が数学・理科の先生しか思いつかない。直接の応用に結びつく・つかない関係なく学問を極める所。
  • 工学部
    エンジニアの育成を行う。日本が技術大国になれたのも工学部のお陰である。戦時中の工業専門学校増設によって理系では人員が多い。世の中の理系に対する先入観・偏見はだいたい工学部ローカルの事柄だったりする。就職に強かったり、高等専門学校からの編入者が多いのが特徴。
  • 情報系学部
    21世紀になって、工学系から分化して増加している。
  • 農学部
    農場を所有し、学生が田植えをしたり、ウシの世話をしたりする。最近は応用生命科学みたいに称することもある。一方で東京農業大学の相撲部のようにスポーツ強豪で知られる大学もある。
  • 獣医学部
    農学系では例外的に難関。6年制学部(学科)。卒業すると獣医師国家試験を受験できる(が合格するとは限らない)。
  • 医学部
    • 医学科
      多くの大学で最難関。在学中も実験、実習、リポートの提出で忙しい。遺体の解剖もやる。体力のない人には向かない。卒業すると医師国家試験を受験できる(が合格するとは限らない)。
    • 医療技術学科
      看護師、理学療法士など医師以外の医療従事者や看護研究者を養成する学科。東京大学にもある。
  • 歯学部
    • 歯学科
      多くの大学で医学部に準じて難関のはずだったが…。卒業すると歯科医師国家試験を受験できる(が合格するとは限らない)。
  • 薬学部
    多くの大学で医学部に準じて難関のはずだったが、定員割れの学部が出てきている。卒業すると薬剤師国家試験を受験できる(が合格するとは限らない)。6年制の薬学科と、薬学研究者養成を主とし薬剤師養成は行わない4年制の薬科学科がある。

学際系学部[編集]

  • 教育学部
    教員採用試験を受けたい人が多く行くが、近年は教員就職者が減少しているとも言われる。一時増加した教員免許取得を義務付けないゼロ免課程は教員退職者の増加でほぼ無くなった。
    文理双方の教員を抱えるため、文学部、理学部志願者の受け皿ともなっている。
  • 教養系学部
    東京大学の後期課程特有の学部(教養学部)だったが、1974年に広島大学教養部を総合科学部に改組してから、同種の学部を設置する大学が増加しだし、桜美林大学のように学部決定の決め手が得られない受験生にターゲットにされている大学もある。
    教育学部同様、文理双方の教員を抱えるため、文学部、理学部志願者の受け皿ともなっている。

その他[編集]

  • 短期大学高等専門学校卒業者や2年制専門学校および高校専攻科修了者を対象とした大学3年次編入学は、「2年以上在学かつ62単位以上修得」の大学生もその資格を持つ。それ故、大学3年次編入学資格を持っての中退は、それを持たない中退者よりも価値が高いはずだが、現状、準学士の称号を大学中退者が得ることができないので、単位修得の多少に関わらず、大学中退は格差なく扱われる。

大学に類似する教育機関[編集]

日本においては、学校教育法で一条校以外の「大学」使用が禁止されているが、「大学校」の名称には制約がないので、防衛大学校などの省庁大学校や高度専門教育を施す四年制の専修学校などで、「大学校」の名称を使う教育施設が存在する。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 高認合格者など、高卒同等の学力を有すると認定された者を含む。入学資格審査を通過することで高認非合格でも入試受験資格を得られるが、大学院修士課程に比べると非高卒者への門戸は厳しい。
  2. 過去に多かった夜間授業の2部の修業年限は多くが5年だった。
  3. 6年制学部には博士前期課程はない。
  4. 医科大学は1950年まで旧制医学専門学校から昇格した旧制大学があった。
  5. 他方、1946年には官立神宮皇學館大学廃校となった。