コーヒー

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
コーヒー豆

コーヒー(coffee)は、主にコーヒー豆(コーヒーノキの種子)を原料として出来る飲み物である。
コーヒーノキには大きく分けて二品種あり、「アラビカ種」と「ロブスタ種」に分類される。


概要[編集]

焙煎して挽いたコーヒー豆を、湯やなどで抽出した飲み物である。水色(すいしょく)は。好みで砂糖ミルク、さらには(ブランデーやウィスキーなどの)アルコール飲料、香辛料、食塩を入れることもある。栄養価はないが、カフェインが含まれており、覚醒作用、利尿作用がある。

歴史[編集]

コーヒーノキの発見は、野生のヤギがコーヒーノキの果実を食べて興奮していたのを発見したからと言われている。古くはイスラム教徒が眠気覚ましのために用いた。この時の生産地は北アフリカと西アジアであった。
コーヒーの飲用はイスラム世界に広がり、イスタンブールではコーヒーハウスが多数開店した。しかし、コーヒーハウスでの政府批判が活発になるとコーヒーハウスへの弾圧が始まった。この時に飲まれていたコーヒーは鍋に焙煎して挽いたコーヒー豆と水を入れて沸かし、濾さずにカップに入れたトルココーヒーであった。いわゆるコーヒー占いはここに由来する。
ヨーロッパへの移入は、ヨーロッパ側の主張では1683年オスマン帝国ウィーン包囲の失敗により撤退したオスマン帝国軍がコーヒーの入った袋を置き去りにしたという説がある。
一方、トルコ側の主張では「フランス駐在のトルコ大使が、フランス国王にコーヒーを紹介した」とあり、どちらが正しいのか、あるいは両方が正しいのか不明である。
ヨーロッパでも上流階級を中心にコーヒーハウスが流行し、やはりここでも政府批判が活発に起きるようになった。政府は弾圧をしようとしたが、これが市民革命導火線となった。

日本のコーヒー[編集]

日本には江戸時代オランダから輸入され、当初は医薬品として用いられたが、やがて蘭学者の間で流行した。明治時代になると一般の間でも流行したが高価なものであった。しかし、大正時代からは廉価になり、日本各地に喫茶店コーヒースタンドが営業するようになった。太平洋戦争では輸入が途絶え、僅かに南方から帰還した輸送船の一角に積まれる状況で、それもほとんどが軍用であった。真珠湾攻撃の際、軍用機搭乗員が航空母艦に帰還後にコーヒーの提供を受けたという。

詳細は「大日本帝国海軍の食生活」を参照


戦後、輸入が再開され、喫茶店の数も増えていった。
現在では小笠原諸島などでわずかに栽培されている。

代用品[編集]

第二次世界大戦ではコーヒーが手に入らず、各国は代用品を研究した。セイヨウタンポポの根茎を煎じたものが使われた。コーヒーが手に入りにくいドイツへ向かった大日本帝国海軍潜水艦はドイツの潜水艦東南アジア産のコーヒーの入った一斗缶を持っていくと艦長から直筆の礼状が届いたという。
松田権六によれば、「漆の実もそれなりにイケる」そうである。

現代[編集]

コーヒースタンドビュフェ喫茶店で気軽に立ち寄ってコーヒーを飲める文化があったが、いずれも廃れてしまい、代わってスーパーマーケットドラッグストアコンビニエンスストアでは缶入りやペットボトルに入ったものが買えるようになった。自動販売機でも購入できる。
一般家庭で飲めるキットや便利なインスタントコーヒーも充実している。また、コーヒーチェーン店も増えている。  

事故

コーヒーを飲み過ぎた場合、カフェイン中毒が引き起こされて、最悪の場合は死に至る時もある。カフェインの致死量はおよそ3グラムで、これは200ミリリットルのコーヒーの25杯分である。

ウィキペディアにおけるコーヒーの価格

ウィキペディアの寄付では、コーヒーは一杯500円~700円程度となっている。市場価格と比べると比較的高価である。

抽出器具および抽出方法[編集]

ここでは主なコーヒーの抽出器具および抽出方法を述べる。

イブリック[編集]

トルココーヒーなどで用いられる。煮出し法によるため、めっさ濃いが、これが中近東では普通である。マジで頭が締めつけられるくらいの濃度になる。

ネルドリップ[編集]

布で作られたフィルタで、フランネルというを使用する。ペーパーフィルターより目も粗く、油分を残して抽出できるためよりリッチな味わいになるという。ネルフィルタはドリップ後にすぐに流水で洗い流し、水に浸した状態で冷蔵庫などで保管する。その水は毎日交換しなければならないなど取り扱いには手間がかかる。しかし、その手間を差し引いてもネルドリップによるリッチなコクや滑らかな口当たりを至高のドリップと位置付けるコーヒーマニアから根強い支持を受けている。

ペーパードリップ[編集]

で作られたフィルタコーヒーメーカーやドリッパーにセットして抽出する。フィルタには円錐形(主にハリオ)と台形(カリタメリタ)の二つが主流となっており、使用する抽出器に応じて用意する必要がある。フィルタが油分などを吸着するため、比較的スッキリとした味わいになるという。フィルタは抽出ごとに使い捨てとなるが、コーヒーの殻をフィルタに包んで捨てやすいため手入れが楽である。

サイフォン[編集]

喫茶店でよく見かけるおしゃれな抽出器。下部ボールに水を、と上部ボールにフィルタとコーヒー粉をセットし、アルコールランプなどの熱源で下部ボールを加熱する。下部ボールの水が沸騰に伴い上部ボールに移動し抽出が始まる。熱源を外し、下部ボールが冷えてくるとゆっくり抽出されたコーヒーが下りてくる。ハンドドリップに比べ香りが立ちやすく、味が安定しやすいという。洗浄にひと手間かかるが、コーヒーの抽出がまるで理科の実験を思い起こさせる、見た目にも愉しい抽出器である。

コーヒープレス[編集]

フレンチプレスとも呼ばれる。取手のついたビーカーにフィルタのついた棒が刺さった蓋のような見た目の抽出器を使う。お湯とコーヒーを直接容器に入れ、抽出が終わったタイミングでフィルタを押し下げてコーヒーの殻を沈め、上澄み部分をいただく。メッシュフィルタタイプが多く、油分がそのまま抽出されるため、まろやかで複雑な雑味もつ芳醇な味わいとなるとか。欠点として、稀にコーヒーの殻がカップに入ってくることもある。構造も簡単で味が安定しやすい。紅茶用も流通しており、コーヒーに特化したもの、紅茶に特化したもの、どちらも淹れられるものがある。

薬缶[編集]

カフェ・ド・ランブルの琺瑯製の薬缶がよく知られている。色はが多い。
喫茶店ステンレス製のウォーターピッチャーの注ぎ口が上部にあるのに対し、ランブルの薬缶は底のほうから立ち上がっている。これは、「97℃から98℃」という温度の湯を充分に注ぐためである。もちろん紅茶用にも使える。

コーヒーカップ[編集]

デミタスカップと、いわゆるティーカップほどの大きさのコーヒーカップがあり、後者はいわゆる「アメリカンk-ヒー」に用いられる。

コーヒーに由来するもの[編集]

喫茶店のことを「カフェ」とよく言うが、これはコーヒーを意味するイタリア語フランス語さらに遡るとアラブ語の「カッファ」に由来している。

その他[編集]

ブリア・サヴァランは、その著書『美味礼賛』で、「コーヒーミルで挽くより、乳鉢ですったほうがウマい」と述べている。

脚注[編集]

関連項目[編集]

参考文献[編集]