低体温症
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低体温症(ていたいおんしょう)とは、寒さなどで体熱が失われることである。
概要[編集]
身体の深部の温度が35度を下回ると全身に障害が出てくるとされる。32度から35度では血圧が上昇して震えが出る。32度以下では震えが止まり、意識障害や脈拍の低下などの症状が出て、放置すれば死亡の恐れがある。体温の調節機能が衰えた高齢者に起きやすく、死亡率が高い。この症例による死亡は一種の凍死でもある。厚生労働省の人口動態統計によると平成12年(2000年)から平成28年(2016年)の日本国内の凍死者は合計しておよそ1万6000人であり、熱中症の1.5倍に上る。
低体温症は山岳遭難など特殊な環境で起きると思われがちであるが、屋内の発症例が非常に多い。日本救急医学会の平成26年(2014年)の調査では、全国の救急医療機関など91施設に低体温症で搬送された合計705人のうち、屋内での発症は517人と7割以上を占めている。患者の平均年齢は72.9歳で、高血圧や糖尿病、精神疾患などの病歴のある人物が目立ち、死者は161人に達した。北日本だけではなく兵庫県や熊本県などの西日本でも多くの症例が確認されている。1980年代まで凍死者は年400人前後だったが、1990年代からは急増している。理由として地球温暖化による気候変動の激変や強い寒波の襲来、独居で認知症の症状があったり貧困などによる十分な栄養が摂取できていないなどの理由が見られている。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 若松秀俊、陸高華、脳低温療法のための患者生体温熱モデル 電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) 123 巻 (2003) 9 号 p. 1537-1546,
- トムラウシ山遭難事故調査特別委員会「トムラウシ山遭難事故報告書」(PDF) 内 pp.49-63に「低体温症について」と「低体温症の考察」が掲載されている。