発電機

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発電機(はつでんき)とは、電磁誘導によって電流を発生させる機械である。

概要[編集]

現代社会において電力は欠かせないものである。この電力は発電機によって発電されることによって得られる。

種類[編集]

交流発電機[編集]

静止した界磁部分の中でコイルを含む電機子を回転させ(回転電機子形)、あるいはコイルを含む電機子を静止させてその中で界磁部分を回転させることによって(回転界磁形)、[1]コイルの導線が磁束線を切るときの誘導起電力を利用して(フレミングの右手の法則)、力学的エネルギーを電気的エネルギーに変える装置である。

  • ①.起電力を発生する導体(コイル)は円筒形の鉄心に収められ、これを電機子という。
  • ②.回転電機子形の発電機について、コイルが二個一組ならば単相交流、六個三組ならば三相交流が発生する。
  • ③.回転界磁形の発電機について、二個一組の磁極が一回転するとコイルには1サイクルの交流電圧が発生する。もし磁極を6個、つまり3対設けて円周上にN-S-N-S-N-Sとなるようにすれば、磁極の1回転に対して3サイクルの交流電圧が発生する。
  • ④.電流を取り出す部分の円い輪をすべり環といい、これと接触する金属片をブラシという。2個のすべり環は、回転コイルの半回転ごとに電流の流れ出す部分と流入する部分との役割を交替し、交流を送り出す。

磁極数をP、回転子の回転数をnsとすると

で示される周波数の交流を発生させる。周波数をfにするためには磁極数Pの発電機の回転数は上式を変形して、

[rps](毎秒の速度)

に保つ必要がある。この回転速度nsを同期速度という。なお、同期速度は毎分の速度rpmで表すことが多く、この場合、上式の値を60倍にする。同期速度で回転する交流発電機を同期発電機という。

同期機の界磁は小型のものに永久磁石を使ったものがあるが、通常は直流で励磁しており、そのために直流発電機を備えている。この直流発電機を励磁機という。

直流発電機[編集]

他励式と自励式がある。

他励式
他に直流電源を用意して励磁する。発生電圧を自由に変えることができる。
自励式
自己で発生させた電力で励磁を行うもので、次の3種類がある。
  • ①直巻発電機
    • 界磁巻線を電機子に直列に接続する。
  • ②分巻発電機
    • 界磁巻線と界磁抵抗器を電機子に並列に接続する。
  • ③複巻発電機
    • 直巻界磁巻線を直列に、分巻界磁巻線と界磁抵抗器を並列に電機子に接続する。

発電所で使用される発電機[編集]

発電所で使われる発電機は大型で回転数も大きい。このため、遠心力が大きくなると破損しやすくなるので、直径の小さくできる円筒形になる。すると発電機内部にが発生し、温度が上昇するので冷却する必要がある。冷却には水素が使用される。

送電[編集]

電気を輸送するときは高電圧にすると低電圧のときに比べて送電線で熱となって失われる電力が少ない。そのため、発電所では交流発電機で交流を作り、変圧器高電圧にして消費地に送り、消費地では再び低電圧に変えて消費者に配電する。直流では変圧器が使えず、また、直流発電機はその構造上、高電圧の発電が出来ないので送電が経済的に不利となる。

用途[編集]

発電に使用される。発電所に設置される大型のものから、人力発電、自転車ダイナモのような小さなものまである。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 堀孝正『パワーエレクトロニクス』オーム社出版局2002年2月25日第1版第7刷発行
  • 酒井善雄『電気電子工学概論』丸善株式会社
  • 力武常次、都築嘉弘『チャート式シリーズ新物理ⅠB・Ⅱ』数研出版株式会社新制第11刷1998年4月1日発行
  • 矢野隆、大石隼人『発変電工学入門』森北出版株式会社2000年9月13日第1版第4刷発行
  • 西巻正郎・森武昭・荒井俊彦『電気回路の基礎』森北出版株式会社1998年3月18日第1版第12刷発行
  • 電気学会「電気学会大学講座電気機器工学Ⅰ」社団法人電気学会2002年1月31日14刷発行

脚注[編集]

  1. 回転部分を回転子、固定部分を固定子という。