日本会議
日本会議(にっぽんかいぎ、英語: Japan Conference)は、1997年5月30日に「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が統合して設立された保守系の国民運動団体。政治団体の設立届けを出していない任意団体。日本会議事務総局の所在地は東京都目黒区青葉台3-10-1 VORT青葉台II(旧・パシフィックマークス青葉台)601号。機関誌は月刊『日本の息吹』。「日本を守る国民会議」の機関誌を引き継いで発行している。
会員[編集]
会員の種類は正会員(年会費1万円)、維持会員(年会費3万円)、篤志会員(年会費10万円)、議員会員(年会費1万円)、女性会員(年会費5,000円)、支援会員(年会費3,800円)からなる[1]。会員数は非公表だが2015年4月時点で約3万8,000人とされる[2]。
役員[編集]
歴代会長[編集]
組織[編集]
都道府県本部・支部[編集]
47都道府県本部と1海外本部があり、都道府県本部の下に市区町村支部が253支部ある(2017年時点)[3]。海外本部はブラジル本部の「ブラジル日本会議」がある[3]。もともとは衆院選挙の選挙区ごとに支部を設置しようとしたとされ[4]、複数の市区町村にまたがる地域や各市区町村内を分割した地域に設置された支部もある。47都道府県を9ブロック(北海道・東北・関東・北陸・東海・近畿・中国・四国・九州)に分け[5]、各支部・会員を集めた全国10ブロックにおける「ブロック大会」を開催している[6]。
役員会[編集]
日本会議の意思決定は政策委員会、常任理事会、全国理事会など各種役員会を通じて機関決定される[7]。
- 全国理事会 - 年に1度開催し、毎年度の運動方針を決定する。各都道府県の代表者や加盟団体の役員、学識経験者からなる[8]。
- 常任理事会 - 2~3ヶ月に1度程度開催し、運動の進捗状況の確認や運動方針などの協議決定をしている。日本会議に代表委員を出している団体から構成される。人数は40~50人[8]。常任理事には伊藤哲夫[9]、大原康男、勝岡寛次、西澤和明、松村俊明、百地章などがいる。
- 政策委員会
事務総局[編集]
日常的な事務や意思決定を取り仕切る[10]。日本青年協議会(日青協)が日本会議の事務局を担当していると指摘されており、日本会議もこれを認めている[11]。
専門委員会[編集]
政治学者の具裕珍は、日本会議の5つの専門委員会として、日本会議新憲法研究会、日本会議政策委員会、日本会議国際広報委員会、日本教育会議、日本女性の会があるとしている[12]。
関連団体[編集]
日本会議は運動目的(天皇崇拝と制度強化、改憲、歴史認識、教育、靖国神社など)に合わせて課題別系列組織を結成するという特徴がある[13]。日本会議の設立20周年記念誌は「日本会議の国民運動ネットワーク」として以下の団体があるとしている[3]。
(友好・提携団体)
- 美しい日本の憲法をつくる国民の会
- 「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調)
- 「日本の教育改革」有識者懇談会(民間教育臨調)
- 皇室の伝統を守る国民の会
- みんなで靖国神社に参拝する国民の会
上杉聰は日本会議の課題別系列組織として、美しい日本の憲法をつくる国民の会、民間憲法臨調、日本教育再生機構(教科書改善の会)、英霊にこたえる会、日本女性の会、また議員・首長組織として、日本会議国会議員懇談会、日本会議地方議員連盟、教育再生首長会議があるとしている[13]。
青木理は日本会議の代表的なフロント団体・友好団体として、美しい日本の憲法をつくる国民の会、民間憲法臨調、明治の日推進協議会、みんなで靖国神社に参拝する国民の会、日本の建国を祝う会、平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラムがあるとしている[14]。
「日本会議」本ブーム[編集]
菅野完が「ハーバー・ビジネス・オンライン」に連載した「草の根保守の蠢動」(2015年2月14日~)、連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書、2016年5月)が火付け役となり、日本会議に関する書籍の発行が相次いだ。
- ブーム前に刊行された書籍・論文
- 上杉聰「日本における「宗教右翼」の台頭と「つくる会」「日本会議」」(『戦争責任研究』第39号、2003年春季)
- 藤生明「右派論壇、仁義なき戦い 「つくる会」分裂だけじゃない」(『アエラ』2006年12月4日)
- 加藤紘一『テロルの真犯人』(講談社、2006年12月)
- 魚住昭『証言 村上正邦 我、国に裏切られようとも』(講談社、2007年10月)
- 俵義文『〈つくる会〉分裂と歴史の偽造――正念場の歴史教科書問題』(花伝社、2008年2月)
- 西尾幹二、平田文昭『保守の怒り――天皇、戦争、国家の行方』(草思社、2009年12月)
- 主な「日本会議」本
- 菅野完『日本会議の研究』(扶桑社新書、2016年5月)
- 上杉聰『日本会議とは何か――「憲法改正」に突き進むカルト集団』(合同出版、2016年5月)
- 俵義文『日本会議の全貌――知られざる巨大組織の実態』(花伝社、発売:共栄書房、2016年6月)
- 成澤宗男編著『日本会議と神社本庁』(金曜日、2016年6月)
- 青木理『日本会議の正体』(平凡社新書、2016年7月)
- 山崎雅弘『日本会議 戦前回帰への情念』(集英社新書、2016年7月)
- 『日本会議の人脈――秘められた保守系民間団体の活動と100人のプロフィール』(三才ムック、2016年8月)
- 松竹伸幸『「日本会議」史観の乗り越え方』(かもがわ出版、2016年9月)
- 菅野完『日本会議をめぐる四つの対話』(K&Kプレス、2016年12月)
- 藤生明『ドキュメント日本会議』(ちくま新書、2017年7月)
- 俵義文『日本会議の野望――極右組織が目論む「この国のかたち」』(花伝社、発売:共栄書房、2018年7月)
- 濱田浩一郎『日本会議・肯定論!』(たちばな出版、2018年12月)
- 具裕珍『保守市民社会と日本政治 ――日本会議の動員とアドボカシー 1990-2012』(青弓社、2022年2月)
出典[編集]
- ↑ 入会案内 日本会議
- ↑ 青木理『日本会議の正体』平凡社新書、2016年、31-32頁
- ↑ a b c 『グラフでつづる日本会議20年史「誇りある国づくりへ」(PDF)』日本会議事務総局、2017年
- ↑ 青木理『日本会議の正体』平凡社新書、2016年、43頁
- ↑ 全国ネットワーク 日本会議
- ↑ 日本会議の活動方針 日本会議
- ↑ 日本会議への批判報道を糾す(日本会議会長 田久保 忠衛) 日本会議、2017年3月15日
- ↑ a b 青木理『日本会議の正体』平凡社新書、2016年、44頁
- ↑ 伊藤哲夫「「五箇条の御誓文」の真実」『致知』2020年3月号
- ↑ 青木理『日本会議の正体』平凡社新書、2016年、44頁
- ↑ 濱田浩一郎『日本会議・肯定論!』たちばな出版、2018年、51頁
- ↑ 具裕珍『保守市民社会と日本政治 ――日本会議の動員とアドボカシー 1990-2012』青弓社、2022年
- ↑ a b 上杉聰『日本会議とは何か――「憲法改正」に突き進むカルト集団』合同出版、2016年、22頁
- ↑ 青木理『日本会議の正体』平凡社新書、2016年、44頁