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上杉聰
上杉 聰(うえすぎ さとし、1947年 - )は、部落史研究家[1]。日本の戦争責任資料センター事務局長。
経歴[編集]
岡山県生まれ。1970年上智大学文学部哲学科卒。千葉工商高等学校(現・敬愛学園高等学校)教諭[2]。結婚を機に[3]1975年大阪の被差別部落に居住し、部落史研究を開始[2]。1982年関西大学文学部講師[2][注 1]。2009年大阪市立大学人権問題研究センター特任教授。2011年大阪市立大学人権問題研究センター特別研究員、同和地区関係資料研究会代表。2017年関西大学人権問題研究室委嘱研究員、大阪市立大学・関西大学非常勤講師。2018年に大学関係の仕事を退職[2]。
1986年より1995年まで「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む会」事務局長。1993年「日本の戦争責任資料センター」設立に参加し、事務局長[4]。2005年「強制動員真相究明ネットワーク」設立に参加し、内海愛子、飛田雄一とともに共同代表となる[5]。2006年「「韓国・朝鮮の遺族とともに―遺骨問題の解決へ―」全国連絡会」設立に参加し、内海愛子、清水澄子、殿平善彦とともに共同代表となる[6]。「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心を刻む会」呼びかけ人[7]。「市民のための人権大学院/じんけんSCHOLA」共同代表[2]。
部落史や日本の戦争責任問題を研究し、日本の戦後補償運動や「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択阻止運動で大きな役割を果たす[8][9]。日本会議の先駆的研究者でもある[1][10]。1998年頃より日本会議とその周辺の調査を開始する[1]。アメリカのキリスト教原理主義者などに対して使われる「宗教右派」「宗教右翼」という用語を日本会議など日本の勢力を捉える概念として利用する先鞭をつけた[10]。論考に「日本における「宗教右翼」の台頭と「つくる会」「日本会議」」(『季刊 戦争責任研究』第39号、2003年)、「教育基本法改悪を狙う宗教右翼勢力」(『週刊金曜日』2003年6月13日号)、「日本会議―安倍の知られざる基盤 中核は宗教原理主義者」(『選択』2006年10月号)、「安倍と「日本会議」の関係微妙に 宗教右派とどう付き合うつもりか」(『選択』2006年11月号)、「宗教右翼と現代日本のナショナリズム」(『年報 日本現代史』第12号、2007年)などがある。
著書[編集]
単著[編集]
- 『明治維新と賤民廃止令』(解放出版社、1990年)
- 『天皇制と部落差別――部落差別は今なぜあるのか』(三一書房[三一新書]、1990年)
- 『部落を襲った一揆』(解放出版社、1993年、新装版2011年)
- 『脱ゴーマニズム宣言――小林よしのりの「慰安婦」問題』(東方出版、1997年、新装改訂版2002年)
- 『部落史がかわる』(三一書房、1997年)
- 『よみがえる部落史』(社会思想社、2000年)
- 『知っていますか?君が代・日の丸一問一答』(解放出版社、2001年)
- 『これでわかった!部落の歴史――私のダイガク講座』(解放出版社、2004年)
- 『部落史がかわる』(鳥取県部落解放研究所編集、鳥取県部落解放研究所、2005年)
- 『天皇制と部落差別――権力と穢れ』(解放出版社、2008年)
- 『これでなっとく!部落の歴史』(解放出版社、2010年)
- 『日本会議とは何か――「憲法改正」に突き進むカルト集団』(合同出版[合同ブックレット]、2016年)
共著[編集]
- 『筑前竹槍一揆論』(石滝豊美共著、海鳥社[海鳥ブックス]、1988年)
- 『部落史を読みなおす――部落の起源と中世被差別民の系譜』(寺木伸明、中尾健次共著、解放新聞社編、解放出版社、1992年)
- 『いま歴史教育を考える――自由主義史観を批判する』(藤永壯、高龍秀、金井英樹、本田芳孝、金慶子、李哲豪共著、全国在日朝鮮人教育研究協議会[全朝教ブックレット]、1997年)
- 『いらない!「神の国」歴史・公民教科書』(君島和彦、越田稜、高嶋伸欣共著、明石書店、2001年)
- 『「つくる会」教科書はこう読む!――隠された問題点の数々』(君島和彦、越田稜、高嶋伸欣共著、明石書店、2001年)
- 『使ったら危険「つくる会」歴史・公民教科書――子どもを戦争にみちびく教科書はいらない!』(大森明子、高嶋伸欣、西野瑠美子共著、明石書店、2005年)
- 『遺骨の戦後――朝鮮人強制動員と日本』(内海愛子、福留範昭共著、岩波書店[岩波ブックレット]、2007年)
- 『よさみストーリー』(主著、住吉区東部人権教育研究協議会編、浅香地区まちづくり協議会、2014年)
編著[編集]
- 『近代部落史資料集成 第1巻 「解放令」の成立』(原田伴彦共編、三一書房、1984年)
- 『近代部落史資料集成 第2巻 「解放令」反対一揆』(原田伴彦共編、三一書房、1985年)
- 『脱戦争論――小林よしのりとの裁判を経て』(編著、東方出版、2000年)
- 『豊かな部落史の学びのために――DVDシリーズ「映像でみる人権の歴史」公式ガイドブック』(外川正明共編著、岡本健、武田純子著、解放出版社、2024年)
脚注[編集]
注[編集]
出典[編集]
- ↑ 以下の位置に戻る: a b c 「日本会議はものすごい“後ろめたさ”を抱えている」先駆的研究者・上杉聰が語る日本会議の最大の問題とは? リテラ、2016年6月20日
- ↑ 以下の位置に戻る: a b c d e 講師プロフィール じんけんスコラ
- ↑ 君が代強制反対キリスト者の集い大阪2018 天皇制の呪縛を解くために 人民新聞
- ↑ 以下の位置に戻る: a b 脱ゴーマニズム宣言―小林よしのりの「慰安婦」問題 (新装改訂版) 紀伊國屋書店
- ↑ 飛田雄一「「強制動員真相究明ネットワーク」の歩み」『コリア研究』第10号、2019年
- ↑ 全国連絡会 韓国・朝鮮の遺族とともに 全国連絡会
- ↑ 遺骨の戦後―朝鮮人強制動員と日本 紀伊國屋書店
- ↑ 「集団自決」軍命削除の教科書検定抗議 沖縄のうねり NPO法人ヒューマンライツわかやま
- ↑ 【日本の戦争責任資料センター 上杉聰さん 「つくる会」惨敗は平和と人権意識の勝利】『週刊MDS』705号、2001年09月14日
- ↑ 以下の位置に戻る: a b 塚田穂高「戦後日本における「宗教右派」「 宗教右翼」概念の形成と展開」『上越教育大学研究紀要』第40巻第1号、2020年8月