みんなで靖国神社に参拝する国民の会
みんなで靖国神社に参拝する国民の会(みんなでやすくにじんじゃにさんぱいするこくみんのかい)は、2001年7月に小泉純一郎首相の靖国神社参拝を支持するために結成された団体。
概要[編集]
公式サイトでは「みんなで靖国神社に参拝する国民の会は平成13年7月に、小泉首相の靖国参拝を支持するために結成されました。その後、無宗教の国立戦没者追悼施設の新設に対しては、日本遺族会と連携して反対するなどの様々な活動を展開し、今日に至っています。」としている[1]。発起人は小堀桂一郎(東京大学名誉教授)ら53名[2]。
日本会議の友好・提携団体の1つで[3]、日本会議事務総局が事務局を担当している[4]。事務局には江崎道朗(元『祖国と青年』編集長、日本会議事務総局勤務)がいる[5]。青木理によると、日本会議は課題別に運動団体を立ち上げたり、課題別に立ち上げられた運動団体を支援したりするという特徴があり、当会は日本会議の代表的なフロント団体ないし友好団体の1つである[2]。青木によると、日本会議の広報担当者は当会とのかかわりについて、「終戦60年を迎えるにあたって、日本会議が事務局となって発起人を募り、8月15日に靖国神社へ参拝しようという「20万人参拝運動」という国民運動を展開した」と説明している[2]。
『グラフでつづる日本会議20年史「誇りある国づくりへ」』(日本会議事務総局、2017年)に当会の記載はないが、「平成13年、靖國神社参拝を公約に掲げた小泉首相が登場。民間に「小泉首相の靖國神社参拝を支持する国民の会」(代表発起人に阿川弘之氏ら)が結成され、新聞広告など広報活動を行いました。」という記載がある[3]。日本会議公式サイトの「国民運動の歩み」に当会の記載はないが、2001年6月に「「小泉首相の靖国神社参拝を支持する国民の会」(小堀桂一郎代表ら)を結成し、参拝実現にむけた国民運動を展開(8月に意見広告実施)」、2002年5月に「首相の靖国神社参拝を求める国民の会(支持する会が4月に改称)、靖国神社境内で「奉納日本の心」を開催(以後、重陽の日毎に継続開催)」という記載がある[6]。
1981年に結成された超党派の議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」と密接なつながりがある[7]。
活動[編集]
2005年8月1日付の『読売新聞』と『産経新聞』に他2団体とともに「8月15日に靖国神社に集まろう」という靖国神社への「二十万参拝運動」を呼びかける全面広告を掲載した[8][9]。この広告に石原慎太郎が現職では唯一の政治家として会の発起人に名を連ねた[10]。この広告に対し、韓国の与野党の国会議員でつくる「正しい歴史教育のための議員の会」や市民団体「アジア平和歴史教育連帯」など11団体が「アジアの平和を脅かす靖国神社二十万参拝運動を即刻中止せよ」とする声明を発表した[8]。
2005年8月2日、衆議院議員会館会議室で日本会議国会議員懇談会、平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会、みんなで靖国神社に参拝する国民の会、英霊にこたえる会、日本会議の5団体が靖国神社20万人参拝運動についての記者会見を行った[11][12]。記者会見には日本会議国会議員懇談会から平沼赳夫、衛藤晟一、平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会から松下忠洋、山谷えり子、古川禎久、みんなで靖国神社に参拝する国民の会から小堀桂一郎、小野田寛郎、小田村四郎、山本卓真、百地章、篠沢秀夫、大原康男、英霊にこたえる会から倉林和男が出席した[11]。
2005年8月15日、靖国神社参道の特別テントで追悼行事「終戦60年 国民の集い」を開催した。日本会議、英霊にこたえる会、みんなで靖国神社に参拝する国民の会が主催、日本会議国会議員懇談会、平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会、靖国神社に参拝する全国地方議員の会が後援[4]。小野田寛郎、長谷川三千子、西尾幹二、金美齢などが登壇した[13]。
2005年12月2日、ウェブサイトに「「国立追悼施設を考える会」加盟の自民党議員リスト」を公開した[14]。「「国立追悼施設を考える会」は、「日本遺族会」など自民党支持基盤の動きを警戒し、同会への参加議員名簿を非公開としていた」が、国民の会の調査によって衆議院議員37名、参議院議員9名の計46名の自民党国会議員が参加していることが公開された[7]。国民の会は「この議連の背後には、中国共産党、盧武鉉「親北」政権、公明党、そして山崎拓という「靖国つぶしネットワーク」があるといえましょう。この国立追悼施設に対しては、遺族の最大集団である日本遺族会も正式に反対を表明しています。にもかかわらず、中韓両国の内政干渉に迎合して、追悼施設賛成の議連に加盟しているこれら自民党議員のリストは、次の選挙において大いに活用したいものです」としている[14]。
公式サイトは2009年8月14日以降、更新されていない(2025年1月現在)。
発起人[編集]
出典:[4]
- 天池清次(元同盟会長)
- 石原慎太郎(東京都知事)
- 板垣正(日本遺族会顧問・元参議院議員)
- 市村真一(京都大学名誉教授)
- 入江隆則(明治大学教授)
- 宇佐美忠信(富士社会教育センター理事長)
- 江本盂紀(元参議院議員)
- 大原康男(國學院大学教授)
- 岡崎久彦(岡崎研究所所長)
- 小田村四郎(前拓殖大学総長)
- 小野田寛郎(小野田自然塾理事長)
- 加瀬英明(評論家)
- 加藤郁乎(詩人・俳人)
- 加藤芳郎(漫画家)
- 川上源太郎(評論家)
- 城内康光(元ギリシャ大使)
- 木村治美(エッセイスト)
- 日下公人(評論家)
- クライン孝子(ノンフィクション作家)
- 小堀桂一郎(東京大学名誉教授)
- 篠沢秀夫(学習院大学名誉教授)
- 高池勝彦(弁護士)
- 高竹和明(日本青年会議所会頭)
- 竹本忠雄(筑波大学名誉教授)
- 田中英道(東北大学名誉教授)
- 所功(京都産業大学法学部教授)
- 都倉俊一(作曲家)
- 中條高徳(日本国際青年文化協会会長)
- 中西輝政(京都大学教授)
- 西尾幹二(評論家)
- 長谷川三千子(埼玉大学教授)
- 橋幸夫(歌手)
- 浜畑賢吉(俳優)
- 平川祐弘(東京大学名誉教授)
- 福田富昭(日本レスリング協会会長)
- 船村徹(日本音楽著作権協会会長)
- 堀江正夫(英霊にこたえる会会長)
- 前野徹(アジア経済人懇話会会長)
- 水谷研治(中京大学大学院教授)
- 三好達(元最高裁長官)
- 百地章(日本大学教授)
- 山本卓眞(富士通㈱名誉会長)
- 屋山太郎(政治評論家)
- 渡部昇一(上智大学名誉教授)
公式サイトには「発起人(平成17年7月7日現在)」として上記44名のうちの37名の名前を掲載している[1]。青木理によると、発起人は小堀桂一郎ら53名である[2]。公式サイトの記事によると、小林よしのり(漫画家)[15]も発起人である。山崎雅弘によると、津川雅彦は「みんなで靖国神社に参拝する国民の会」および「首相の靖国神社参拝を求める国民の会」の発起人である[16]。
出典[編集]
- ↑ a b みんなで靖国神社に参拝する国民の会 - ライブドアブログ
- ↑ a b c d 青木理『日本会議の正体』平凡社新書、2016年、34-35頁
- ↑ a b 『グラフでつづる日本会議20年史「誇りある国づくりへ」(PDF)』日本会議事務総局、2017年
- ↑ a b c 終戦60年の8月15日は靖國の社に集まろう 日本会議
- ↑ 戦後政治の原点としての〈東京裁判〉批判 みんなで靖国神社に参拝する国民の会、2005年7月4日
- ↑ 国民運動の歩み 日本会議
- ↑ a b 権聖主「戦後日本の歴史認識をめぐる政治過程と 日韓関係への含意」博士論文、2015年4月23日
- ↑ a b 改憲団体の靖国参拝広告/韓国国会議員ら抗議/声明発表 しんぶん赤旗、2005年8月5日
- ↑ 靖国神社参拝広告 勝手に韓国大使館の名称 KBS WORLD Japanese、2005年8月3日
- ↑ 靖国神社参拝の中止に関する申し入れ 日本共産党東京都議会議員団
- ↑ a b 平沼前産業経済大臣、靖国問題で記者会見 みんなで靖国神社に参拝する国民の会、2005年8月2日
- ↑ ニューヨーク・タイムズでも報じられた靖国20万人参拝運動 みんなで靖国神社に参拝する国民の会、2005年8月2日
- ↑ 「終戦60年国民の集い」報告特集号のご案内 みんなで靖国神社に参拝する国民の会、2005年9月29日
- ↑ a b 「国立追悼施設を考える会」加盟の自民党議員リスト みんなで靖国神社に参拝する国民の会、2005年12月2日
- ↑ 靖国神社へ行こう――小林よしのり氏からのメッセージ みんなで靖国神社に参拝する国民の会、2005年7月15日
- ↑ https://x.com/mas__yamazaki/status/654147680961040384