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俵義文
俵 義文(たわら よしふみ、1941年1月[1] - 2021年6月7日)は、社会運動家。子どもと教科書全国ネット21代表委員[2]、日朝協会事務局長[3]。
経歴[編集]
福岡県直方市で生まれ育つ。1960年福岡県立鞍手高等学校(定時制)卒業。1964年中央大学法学部法律学科卒業。新興出版社啓林館に入社[1]、東京支社に勤務[4]。1965年教科書検定訴訟を支援する全国連絡会会員となり、家永教科書裁判を支援[1]。1988年まで新興出版社啓林館労働組合執行委員・副委員長(13期)[1][5]、教科書労働組合共闘会議(教科書共闘)副議長(9期)。1988年日本出版労働組合連合会(出版労連)書記次長・教科書対策部長(1991年まで)、教科書検定訴訟を支援する全国連絡会常任委員(1998年の全国連解散まで)。1991年出版労連教科書対策部事務局長。1998年出版労連教科書対策部副部長。1998年子どもと教科書全国ネット21の結成に参加、事務局長[1](2018年まで[6])。2000年子どもと教科書全国ネット21事務局長の任務に専念するため、新興出版社啓林館を定年前に退社[1]。同年より和光大学人間関係学部非常勤講師(1年間)、立正大学文学部(2004年から心理学部)非常勤講師[1](2016年3月まで[4])。2019年日朝協会事務局長[7]。
「教科書に真実と自由を」連絡会運営委員、早稲田大学教育総合研究室・国際共通教科書共同研究委員、労働者教育協会理事なども務めた[5]。
『ドキュメント「慰安婦」問題と教科書攻撃』(高文研、1997年)により1997年度第40回JCJ奨励賞(日本ジャーナリスト会議主催)を受賞。「日本の教科書と教育を守り続けた活動」により2021年度第64回JCJ特別賞を受賞[8]。
2021年6月7日、肺がんのため千葉県柏市の病院で死去。80歳[9]。
人物[編集]
半世紀以上にわたりライフワークとして教科書問題に取り組んだ[10]。「子どもと教科書全国ネット21」の事務局長を長年にわたって務め[2]、その中心的存在だった[11]。「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択阻止運動など教科書運動で大きな役割を果たした[12][2]。「つくる会」の初代会長を務めた西尾幹二は「私は俵義文氏は、そのエネルギーといい果てしない執念の強さといい、敵ながら天晴れと思っている」とブログで述べている[13]。
魚住昭、上杉聰、堀幸雄、猪野健治と並ぶ日本会議の先駆的研究者であるが、共産党系だとして軽視された[14][15]。
上杉聰の『脱ゴーマニズム宣言』が小林よしのりに訴えられた際に結成された「脱ゴー宣裁判を楽しむ会」の代表を務めた[16]。
2008年時点の所属[編集]
出典:[1]
- 子どもと教科書全国ネット21事務局長
- 立正大学心理学部非常勤講師(教職特別講座・テーマ「日本の教科書―その歴史と制度」)
- 日本出版労働組合連合会(出版労連)教科書対策部副部長
- 日本教育法学会会員
- 歴史教育者協議会会員
- 全国民主主義教育研究会会員
- 日本ジャーナリスト会議(JCJ)会員
- 日・中・韓共通歴史副教材(『未来をひらく歴史』)編集委員会委員・共同代表
- 「九条の会」講師団メンバー
- 「マスコミ九条の会」呼びかけ人
- 「九条の会・ちばけん」呼びかけ人
- 教育と文化を世界に開く会呼びかけ人
- 東京・教育の自由裁判をすすめる会共同代表
- 「子どもたちを大切に…いまこそ生かそう教育基本法」全国ネットワーク世話人
- 共謀罪の新設に反対する市民と表現者の会呼びかけ人
- 市民社会の自由を奪う共謀罪に“Say No!”「共謀罪」に反対するNGO・NPO共同アピール呼びかけ人
- 「歴史認識と東アジアの平和フォーラム」日本委員会事務局長
- 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NET Japan)会員
- 女たちの戦争と平和資料館(WAM・アクティブミュージアム)維持会員
- 日本の戦争責任資料センター維持会員
- 歴史教育アジアネットワーク共同代表
- 南京への道・史実を守る会共同代表
- 中国人の戦争被害者の要求を支える会運営委員
- 戦争被害調査会法を実現する市民会議運営委員
- 「南京事件」調査研究会会員
- 南京事件70周年国際シンポジウム呼びかけ人・共同代表
- 大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会(沖縄戦首都圏の会)呼びかけ人
- 労働者教育協会理事
- 勤労者通信大学講師(経済学教科委員)
- 侵華日本軍南京大賭殺史研究会・日本歴史教科書問題研究分会特別研究員
著書[編集]
単著[編集]
- 『子どもたちがねらわれている――教科書はどう変えられたか』(学習の友社[シリーズ世界と日本21]、1992年)
- 『教科書攻撃の深層――「慰安婦」問題と「自由主義史観」の詐術 子どもたちがねらわれているPARTⅣ』(学習の友社[シリーズ世界と日本21]、1997年)
- 『ドキュメント「慰安婦」問題と教科書攻撃』(高文研、1997年)
- 『徹底検証 あぶない教科書――「戦争ができる国」をめざす「つくる会」の実態』(学習の友社[シリーズ世界と日本21]、2001年)
- 『歴史歪曲教科書を斬る――新しい歴史教科書をつくる会 「戦争ができる国」をめざす「あぶない教科書」がやってくる』(国連・憲法問題研究会[国連・憲法問題研究会連続講座報告]、2001年)
- 『あぶない教科書NO!――もう21世紀に戦争を起こさせないために』(花伝社、発売:共栄書房、2005年)
- 『〈つくる会〉分裂と歴史偽造の深層――正念場の歴史教科書問題』(花伝社、発売:共栄書房、2008年)
- 『日本会議の全貌――知られざる巨大組織の実態』(花伝社、発売:共栄書房、2016年)
- 『日本会議の野望――極右組織が目論む「この国のかたち」』(花伝社、発売:共栄書房、2016年)
- 『戦後教科書運動史』(平凡社[平凡社新書]、2020年)
共著[編集]
- 『小学校教科書を読む――新検定をへて』(山住正己共著、岩波書店[岩波ブックレット]、1992年)
- 『中学教科書はどう変えられたか――続・子どもたちがねらわれている』(石山久男共著、学習の友社[シリーズ世界と日本21]、1993年)
- 『高校教科書検定と今日の教科書問題の焦点――子どもたちがねらわれているPARTⅢ3』(石山久男共著、学習の友社[シリーズ世界と日本21]、1995年)
- 『ちょっと待ったぁ!教育基本法「改正」――「愛国心教育」「たくましい日本人」「心のノート」のねらいを斬る』(小森陽一、三宅晶子、俵義文、斎藤晴雄、古野博明共著、子どもと教科書全国ネット21編、学習の友社[シリーズ世界と日本21]、2003年)
- 『とめよう!戦争への教育――教育基本法「改正」と教科書問題』(高橋哲哉、石山久男、村田智子共著、子どもと教科書全国ネット21編、学習の友社[シリーズ世界と日本21]、2005年)
- 『安倍晋三の本性』(横田一、魚住昭、本誌取材班、佐高信共著、金曜日、2006年)
- 『「改正」基本法で教育は「再生」できるか』(成嶋隆、木附千晶、鶴田敦子、山本由美、石山久男他共著、子どもと教科書全国ネット21編、学習の友社[シリーズ世界と日本21]、2007年)
- 『「村山・河野談話」見直しの錯誤――歴史認識と「慰安婦」問題をめぐって』(林博史、渡辺美奈共著、かもがわ出版[安倍新政権の論点]、2013年)
- 『軍事立国への野望――安倍政権の思想的系譜と支持母体の思惑』(小森陽一、山田朗、石川康宏、内海愛子共著、かもがわ出版、2015年)
編著[編集]
- 『検証・15年戦争と中・高歴史教科書――新(93~95年度用)旧(81~83年度用)教科書改述の比較 資料集』(編著、学習の友社[学習資料]、1994年)
分担執筆等[編集]
- 非核の政府を求める会編『シンポジウム非核・平和教育を国民のものに』(平和文化、1990年)
- 『新学習指導要領で教育はどうなる』(新日本婦人の会、1990年)[1]
- 子どもと教育・文化を守る国民会議編『若者を戦場に送るな』(労働旬報社[メッセージ21]、1993年)
- 教科書検定訴訟を支援する全国連絡会編『教科書から消せない戦争の真実――歴史を歪める藤岡信勝氏らへの批判』(教科書検定訴訟を支援する全国連絡会[教科書裁判ブックレット]、発売:青木書店、1996年)
- 伊藤洋子編『21世紀のマスコミ・04 出版――出版文化の崩壊はくい止められるか』(大月書店、1997年)
- 教科書検定訴訟を支援する全国連絡会編『検定に違法あり!――家永教科書裁判最高裁判決 判決全文収録』(教科書検定訴訟を支援する全国連絡会[教科書裁判ブックレット]、発売:青木書店、1997年)
- 「教科書に真実と自由を」連絡会編『いまなぜ戦争責任を問題にするのか』(教育史料出版会、1998年)
- 藤原彰編『南京事件をどうみるか――日・中・米研究者による検証』(青木書店、1998年)
- 教科書検定訴訟を支援する全国連絡会編『家永教科書裁判のすべて』(民衆社、1998年)
- 岩波書店編集部編『これからどうなる21――予測・主張・夢』(岩波書店、2000年)
- 子どもと教科書全国ネット21編『教科書攻撃のウソを斬る――「新しい歴史教科書をつくる会」がねらうもの』(青木書店、2000年)
- 「教科書に真実と自由を」連絡会編『徹底批判『国民の歴史』』(大月書店、2000年)
- 小森陽一、坂本義和、安丸良夫編『歴史教科書何が問題か――徹底検証Q&A』(岩波書店、2001年)
- 安田常雄、吉村武彦編『別冊歴史読本 テーマ別検証 歴史教科書大論争』(新人物往来社、2001年)
- 世界編集部編『歴史教科書問題 未来への回答――東アジア共通の歴史観は可能か』(岩波書店[世界第696号別冊増刊]、2001年)
- 子どもと教科書全国ネット21編『徹底批判『最新日本史』――あぶない教科書・高校版』(学習の友社[シリーズ世界と日本21]、2002年)
- 大田堯、尾山宏、永原慶二編『家永三郎の残したもの 引き継ぐもの』(日本評論社、2003年)
- 週刊金曜日編『教科書から消される「戦争」』(金曜日[「週刊金曜日」別冊ブックレット]、2004年)
- 日中韓3国共通歴史教材委員会編著『未来をひらく歴史――東アジア3国の近現代史』(高文研、2005年、第2版2006年)
- 子どもと教科書全国ネット21編『ここが問題「つくる会」教科書――新版歴史・公民教科書批判』(大月書店、2005年)
- 週刊金曜日編『教育基本法「改正」のここが問題』(金曜日、2006年)
- 週刊金曜日編『日本はどうなる2007――暴走する国家に抗うための論点』(金曜日、2006年)
- 子どもと教科書全国ネット21編著『最良の「教科書」を求めて――「教科書制度」への新しい提言』(つなん出版、2008年)
- 子どもと教科書全国ネット21編著『竹島/独島問題の平和的な解決をめざして』(つなん出版、2010年)
- 「歴史認識と東アジアの平和」フォーラム・東京会議編『東アジアの歴史認識と平和をつくる力――東アジア平和共同体をめざして』(日本評論社、2010年)
出典[編集]
- ↑ 以下の位置に戻る: a b c d e f g h i 自己紹介 俵のホームページ
- ↑ 以下の位置に戻る: a b c きょうの潮流 しんぶん赤旗、2021年6月18日
- ↑ 俵義文さん死去 朝日新聞、2021年6月8日
- ↑ 以下の位置に戻る: a b 日本会議の野望―極右組織が目論む「この国のかたち」 紀伊國屋書店
- ↑ 以下の位置に戻る: a b 徹底検証あぶない教科書―「戦争ができる国」をめざす「つくる会」の実態 紀伊國屋書店
- ↑ 事務局長名での声明・アピール等 安倍教育政策NO!ネット
- ↑ 日本コリア協会・高知 Facebook
- ↑ JCJ賞と贈賞歴 日本ジャーナリスト会議
- ↑ 俵義文さんが死去 教科書の「集団自決」削除撤回求め運動 80歳 琉球新報、2021年6月9日
- ↑ 本田由紀「「戦後教科書運動史」書評 「生き字引」が記す重要な問題」朝日新聞、2021年2月27日
- ↑ 小林和子「俵義文さんを悼む」週刊金曜日公式サイト、2021年6月11日
- ↑ 【アジア 人】新しい歴史教科書をつくる会の教科書阻止「ネット21」俵事務局長 中央日報、2005年9月6日
- ↑ 怪メール事件(四) 西尾幹二のインターネット日録、2006年4月22日
- ↑ 菅野完、塚田穂高「誰も語らなかった「通史としての戦後宗教界」――シリーズ【草の根保守の蠢動】特別企画「宗教と政治の交わるところ」第二回【中編】」ハーバービジネスオンライン、2015年7月12日
- ↑ 菅野完「どうしても会わなくてはいけなかった男――シリーズ【草の根保守の蠢動 特別編】」ハーバービジネスオンライン、2016年5月20日
- ↑ 脱ゴー宣裁判を楽しむ会/参加の呼びかけ 脱ゴー宣裁判を楽しむ会
外部リンク[編集]
- 俵のホームページ(2009年3月27日時点のアーカイブ)
- 元号は自明か?:元号法制化と戦後日本社会(俵義文)
- 【リレー時評】俵義文さんのJCJ賞特別賞受賞に思う=清水正文(JCJ代表委員): Daily JCJ